社労士 厚生年金保険法 問48:厚生年金保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
加給年金の支給停止に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア受給権者(老齢厚生年金受給者)に加算されている加給年金は、配偶者が老齢厚生年金・退職共済年金の受給権を有し、その年金の被保険者期間が20年年以上である場合に支給停止となる。
- イ加給年金の支給停止は、配偶者が実際に老齢厚生年金等を受給している場合のみに適用され、配偶者が繰り下げ待機中(老齢厚生年金の支給繰下げ中)であれば、加給年金は停止されない。正答
- ウ加給年金の対象となっている子が18歳年度末(3月31日)を経過したとき、その子に係る加給年金は翌月分から支給停止となる。
- エ配偶者が障害等級1〜3級の障害厚生年金の受給権を有するときは、配偶者に係る加給年金は支給停止となる(障害基礎年金も受給している場合を含む)。
- オ受給権者の配偶者が死亡したとき、配偶者に係る加給年金の受給権は消滅するが、子がいる場合は子に係る加給年金は引き続き支給される。
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正答はイです。
「配偶者が繰り下げ待機中であれば加給年金は停止されない」という記述が誤りです。加給年金の支給停止は、配偶者が老齢厚生年金等の「受給権を有し」かつ被保険者期間が20年年以上であることが条件です。受給権を有していれば実際に受給中でなくても(繰り下げ待機中でも)停止となります。「実際に受給している場合のみ」というイの記述は誤りです。
他の選択肢はすべて正しい内容です。ア(20年年以上で停止)、ウ(子の18歳年度末で停止・翌月から)、エ(障害3級以上で停止)、オ(配偶者死亡→配偶者分消滅・子分は継続)はいずれも正確な内容です。
加給年金の支給停止事由の全体整理(厚年法第44条第4項):
| 停止事由 | 対象 | 開始タイミング |
|---|---|---|
| 配偶者が老齢厚生年金等(被保険者期間20年年以上)の受給権を有するとき | 配偶者分の加給年金 | 受給権発生月の翌月から |
| 配偶者が65歳に達したとき(老齢基礎年金受給開始・振替加算に移行) | 配偶者分の加給年金 | 65歳到達月の翌月から |
| 配偶者が障害等級1〜3級の障害厚生年金の受給権を有するとき | 配偶者分の加給年金 | 受給権発生月の翌月から |
| 子が18歳年度末(3月31日)を経過したとき | 子分の加給年金 | 翌月(4月)から |
| 配偶者が死亡したとき | 配偶者分の加給年金(消滅) | 死亡月の翌月から |
イの誤りの核心(受給権≠実際に受給中):
加給年金の停止要件は「配偶者が老齢厚生年金等の受給権を有し、かつ被保険者期間が20年年以上」です。重要なのは「受給権を有する」という状態であり、実際に受給しているかどうかは関係ありません。
配偶者が65歳に達して老齢厚生年金の受給権を得た後、繰り下げ申出をして受給を先送りにしている場合でも、「受給権を有する」という状態は変わらないため、加給年金は停止されます。
エ(正)の障害3級での停止理由:
障害3級の障害厚生年金を受給中の配偶者が加給年金の対象の場合、「配偶者に別の年金受給権がある」ということで加給年金が停止されます。障害1〜2級と同様に障害3級も停止対象である点が試験頻出です(障害基礎年金は1〜2級のみなので障害3級の者は障害厚生年金のみ受給・これでも停止)。
【加給年金の支給停止制度の精緻な理解・実務的な配偶者年金との調整・制度廃止議論との接続】
加給年金(厚年法第44条・第44条の2)は、老齢厚生年金受給権者が一定の要件を満たす配偶者・子を有する場合に加算される定額給付です。令和8年度の配偶者に係る加給年金額は年額423,700円/年円(昭和18年4月2日以後生まれの受給権者・基本額+特別加算合計)が主な水準です。
「受給権を有する」の法的精緻化(イの誤りの詳細):
厚年法第44条第4項の規定では「配偶者が老齢厚生年金(又は退職共済年金)の受給権を有するとき(被保険者期間が20年年以上の場合)」と規定しています。
「受給権を有する」の意味:
- 65歳到達により受給権が発生した → 停止対象
- 65歳未満でも特別支給の老齢厚生年金の受給権が発生 → 停止対象
- 繰り下げ申出中(待機中) → 受給権は有する → 停止対象
- 年金額の計算上支給ゼロ(在職老齢年金で全額停止中)でも → 受給権は有する → 停止対象
このように「受給権の有無」と「実際の支給額」は別概念であり、加給年金の停止は「受給権の有無」で判定されます。
被保険者期間20年年以上の意味(特例を含む):
配偶者の「20年年以上」の被保険者期間には、以下の中高齢者の特例期間が含まれます:
- 昭和26年4月1日以前生まれの男性:15〜19年(年齢による短縮)
- 昭和31年4月1日以前生まれの女性:15〜19年(同上)
これらの特例に該当する配偶者が老齢厚生年金の受給権を持つ場合も加給年金は停止されます。
障害3級での加給停止(エの正の詳細):
障害3級の障害厚生年金は:
- 最低保障額:年額635,500円/年円(昭和31年4月2日以後生まれ・令和8年度)
- 障害基礎年金は支給されない(障害厚生年金のみ)
配偶者がこの障害3級の障害厚生年金を受給していれば、「配偶者が別の公的年金の受給権を有する」として加給年金が停止されます。「障害基礎年金が支給されていないから停止されない」という誤解が試験で問われます。
加給年金の対象となる要件(参照知識):
加給年金が支給開始される時点での要件(受給権者側):
- 老齢厚生年金の被保険者期間が20年年以上
- 受給権取得当時(または65歳到達時)に生計を維持していた配偶者または子がいること
- 配偶者:65歳未満(65歳到達で振替加算に移行・加給年金は停止)
制度廃止議論との接続:
加給年金は「専業主婦(夫)優遇」として制度廃止・縮小の議論があります。特に男性の受給権者が配偶者(妻)に対して受け取る加給年金は「昭和時代の専業主婦モデルを前提とした設計」として批判されています。令和6年財政検証では加給年金の廃止・縮小は検討課題の一つとして言及されており、将来の制度改革で変更される可能性があります。令和8年度試験では現行制度が出題対象です。
社労士実務・FP実務での活用:
年金相談において「配偶者が就職して厚生年金に加入した」という情報は、加給年金の停止タイミングを見極める上で極めて重要です。特に「配偶者が20年年未満の厚生年金被保険者期間で65歳になる場合」は加給年金が継続されますが、「20年年以上になると停止」という切替点を正確に把握することが求められます。
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 厚年法第44条第4項に基づく。加給停止は「受給権を有する」が要件・繰り下げ待機中も停止(イ誤)。障害3級の障害厚生年金受給でも停止(エ正)。配偶者死亡で配偶者分消滅・子分継続(オ正)。一次ソース:e-Gov厚年法・日本年金機構公式確認済。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第44条第4項(https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。