問題
厚生年金保険の在職定時改定に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はウです。
「在職定時改定の基準日は毎年10月1日」という記述が誤りです。厚生年金保険法第43条第2項は基準日を毎年9月1日と定め、改定は基準日の属する月の翌月、つまり10月分から行われます。基準日(9月1日)と改定月(10月分)を混同しないことが重要です。
アは正しく、特別支給の老齢厚生年金には適用されず(附則第9条)、被保険者は70歳未満(第9条)なので、対象は65歳以上70歳未満です。イは正しく、基準日の属する月前(8月まで)の期間が反映されます。エは正しく、在職老齢年金は改定後の額で引き続き判定されます。オは正しく、高齢任意加入被保険者は老齢厚生年金等の受給権を有しない者です(附則第4条の3)。
在職定時改定の仕組み(令和4年4月施行):
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 基準日 | 毎年9月1日(ウが「10月1日」と誤記) | 第43条第2項 |
| 対象 | 基準日に被保険者である老齢厚生年金の受給権者(基準日に資格を取得した場合を除く) | 第43条第2項 |
| 対象外 | 特別支給の老齢厚生年金 | 附則第9条 |
| 年齢の範囲 | 被保険者は70歳未満のため、実質65歳以上70歳未満 | 第9条 |
| 計算の基礎 | 基準日の属する月前の被保険者期間(前年9月〜当年8月が新たに加わる) | 第43条第2項 |
| 改定反映 | 基準日の属する月の翌月=10月分から | 第43条第2項 |
ウの誤りの詳細(基準日の混同):
- 9月1日:基準日(この日に被保険者であるかを判定し、8月までの期間を反映)
- 10月分:改定後の額が適用される最初の月
ウは「10月分から反映」という正しい情報を「10月1日基準」にすり替えた誤りです。
エ(正)の在職老齢年金との関係:
在職定時改定で基本月額が増えても、基本月額と総報酬月額相当額の合計が650,000円を超えれば、超過分の1/2が支給停止されます(第46条)。
オ(正)の高齢任意加入被保険者:
70歳以上の者は第9条の被保険者になりません。70歳以上で任意加入できるのは、老齢厚生年金・老齢基礎年金等の受給権を有しない者に限られ(附則第4条の3第1項)、受給権を取得すると資格を喪失します(同条第5項)。受給権者が被保険者である場面が生じないため、在職定時改定の対象になりません。
【在職定時改定の条文構造・対象者の絞り込み・在職老齢年金との複合効果】
在職定時改定は、令和2年の年金制度改正法(令和2年法律第40号)で設けられ、令和4年4月に施行されました。従来は、65歳以降に在職して納めた保険料が年金額に反映されるのは、退職して1か月を経過したとき(退職時改定・第43条第3項)や70歳到達による資格喪失のときでした。
第43条第2項の文言と対象者の絞り込み:
第43条第2項は、受給権者が毎年9月1日(基準日)において被保険者である場合に、基準日の属する月前の被保険者期間を計算の基礎として、基準日の属する月の翌月から年金額を改定すると定めています。条文そのものに年齢の定めはありません。対象が「65歳以上70歳未満」になるのは、次の2つの規定の組合せによります。
| 規定 | 内容 | 効果 |
|---|---|---|
| 附則第9条 | 第43条第2項は特別支給の老齢厚生年金には適用しない | 65歳未満は対象外 |
| 第9条 | 適用事業所に使用される70歳未満の者が被保険者 | 70歳以上は原則被保険者でない |
| 附則第4条の3 | 70歳以上の任意加入は老齢年金等の受給権がない者に限る | 受給権者が被保険者になる場面がない |
基準日(9月1日)と改定月(10月分)の関係:
| 時点 | 意味 |
|---|---|
| 9月1日(基準日) | この日に被保険者であるかを判定。8月までの被保険者期間を計算の基礎にする |
| 10月分から | 改定後の額が適用される |
| 12月の支払期月 | 10月分・11月分が支払われる(第36条第3項) |
なお、基準日が資格の喪失から再取得までの間にあり、その間が1か月以内であるときも、同じように改定されます(第43条第2項ただし書)。
在職定時改定と退職時改定の関係:
- 66歳の9月改定:前年9月〜当年8月の期間が反映
- 67歳の9月改定:次の1年分が反映
- その後12月に退職:9月以降の期間は、資格喪失後1か月を経過したときの退職時改定(第43条第3項)で反映
定時改定で反映した期間を退職時に二重に数えるものではなく、順に反映されます。
在職老齢年金との複合効果(エの詳細):
在職定時改定で老齢厚生年金が増える → 基本月額が増える → 在老の停止額が増える場合がある
例(説明用の仮の値):
- 改定前:基本月額10万円+総報酬月額相当額60万円=70万円 → 超過5万円の1/2=2.5万円停止
- 改定後:基本月額10.2万円+総報酬月額相当額60万円=70.2万円 → 超過5.2万円の1/2=2.6万円停止
令和8年度の支給停止調整額は650,000円で、令和7年度の51万円から引き上げられました(令和7年法律第74号)。
社労士実務での説明のポイント:
1. 定時改定による毎年の増額見込みを示す(「9月1日基準・10月分から・12月支払分から増額」)
2. 在老の停止額をあわせて試算し、手取りの増減を確認する
3. 退職時期を検討する際は、退職時改定の時期(資格喪失から1か月経過)も含めて説明する
- 厚生年金保険法第43条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第43条第2項(在職定時改定)・第46条(在職老齢年金)・第9条(被保険者は70歳未満)・附則第9条(特別支給の老齢厚生年金には第43条第2項を適用しない)・附則第4条の3(高齢任意加入被保険者)(https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115) 確認日: 2026-09-30 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

