社労士 厚生年金保険法 問53:厚生年金保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
厚生年金保険の受給権者の現況届に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア老齢厚生年金の受給権者は、毎年10月31日までに日本年金機構に現況届を提出しなければならない。
- イ現況届は、受給権者が生存していることを確認するための届出であり、原則として受給権者の誕生月に提出が求められる(誕生月基準)。
- ウマイナンバーと年金情報の連携が完了している受給権者は、現況届の提出が自動的に省略され、別途手続きは不要である。正答
- エ現況届の提出が遅れたり、提出しなかった場合は、老齢厚生年金の受給権が消滅する。
- オ厚生年金保険の受給権者の現況届は日本年金機構に提出するが、国民年金の老齢基礎年金の現況届は市区町村に提出するという区別がある。
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正答はウです。
マイナンバーと年金情報が連携されている受給権者は、現況届の提出が省略されます(日本年金機構がマイナンバーを使って住民基本台帳で生存確認を行うため)。マイナンバー連携済みの者は特段の手続きなしで自動的に省略されます。
アは誤り。現況届は「毎年10月31日」という統一期限ではなく、受給権者の誕生月を基準として提出します。
イは正しい内容を含みますが、「誕生月に提出が求められる」という表現はおおむね正確です(ただし現況届は廃止・簡略化が進んでいるため、ウの方がより現在の制度実態を正確に表しています)。
エは誤り。現況届未提出は受給権の「消滅」ではなく「支払一時差止め」の原因となります。
オは誤り。老齢基礎年金の現況届も日本年金機構に提出します(市区町村ではない)。
現況届(住所・生存の確認)の仕組み:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出先 | 日本年金機構(老齢基礎年金・老齢厚生年金とも) |
| 提出時期 | 受給権者の誕生月(誕生月基準) |
| 省略の条件 | マイナンバーと年金情報の連携が完了している者は省略可 |
| 未提出の効果 | 受給権消滅ではなく支払一時差止め |
アの誤り(毎年10月31日という統一期限はない):
年金受給権者の現況届は受給権者全員が一斉に提出する制度ではなく、各受給権者の「誕生月」に個別に提出する仕組みです(誕生月基準)。誕生月にその受給権者の現況届の送付・提出が行われます。
ウ(正)の詳細(マイナンバー連携による省略):
マイナンバーと年金情報の連携が完了した受給権者については:
- 日本年金機構が住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を通じて生存確認を行う
- 現況届の提出が不要(自動的に省略)
- 受給権者は手続き不要
この「現況届の省略」は、マイナンバー制度の普及に伴い令和元年(2019年)以降段階的に拡大されています。
エの誤り(現況届未提出の効果):
現況届を提出しない場合:
- 年金の支払が一時差し止められる(支払停止・厚年法第98条の2)
- 受給権そのものは消滅しない
- 後日提出・確認が取れれば差止め分も支払われる
受給権の「消滅」は、婚姻・死亡・養子縁組等の消滅事由によって生じるものであり、現況届未提出は消滅事由ではありません。
【現況届制度の変遷・マイナンバー活用の実際・電子化推進の行政的背景】
現況届(旧称:「現況届」・かつては「生存確認」とも呼ばれた)は、年金受給権者が生存していることを定期的に確認する制度です。社会保険の給付は「受給権者が生存している限り支給する」という設計上、生存確認が不可欠です。
現況届の歴史的変遷:
昭和〜平成初期: 毎年10月に全受給権者が一斉に現況届を提出する「一斉提出制度」。受給権者数が少なかった時代に機能していました。
平成初〜中期: 「誕生月提出制度」に変更。受給権者数が増加し、10月一斉提出では処理が困難になったため、受給権者の誕生月に分散して提出する方式に移行。
令和元年〜: マイナンバーを活用した省略制度の導入。マイナンバーと年金情報の連携が完了した受給権者は現況届が不要に。
令和3年〜(オンライン完全対応): スマートフォン・マイナポータルを活用した電子的な現況確認が可能に。現況届のオンライン提出・省略がさらに拡大。
マイナンバー連携の仕組み(ウの詳細・技術的背景):
日本年金機構は地方公共団体情報システム機構(Jリス)が管理する「住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)」に接続しています。マイナンバーと年金番号の紐付けが完了した受給権者については:
1. 日本年金機構が定期的に住基ネットに問い合わせ
2. 受給権者のマイナンバーで住民基本台帳を照合
3. 「生存中(住民登録あり)」の確認 → 現況届省略
4. 「死亡届提出済み」の場合 → 年金機構に自動通知 → 年金停止
この自動連携により、受給権者の手続き負担が大幅に軽減されました。ただしマイナンバーと年金情報の連携が未完了の受給権者(登録名義の不一致等)は引き続き現況届の提出が必要です。
支払差止と支払停止の区別(エの誤りの詳細):
年金の「支払差止め」と「支払停止」は異なる法的効果です:
支払差止め(第98条の2):
- 現況届未提出・住所不明等の場合
- 年金の支払いを一時的に「差し止め」る
- 受給権は存続
- 後日確認が取れれば差止め期間分も支払われる
支払停止(第38条の2等):
- 受給権の停止事由(他の年金との調整等)による支払いの停止
- 停止事由が解消されれば再開
受給権の消滅(第51条〜):
- 受給権者の死亡
- 婚姻・養子縁組(遺族の場合)
- 特定の離婚等
現況届未提出は「差止め」(一時的な支払い保留)であり「消滅」(永続的な権利の終了)ではない点が重要です。
現況届の確認事項(誕生月提出制度の詳細):
現況届で確認される事項:
- 受給権者の生存
- 現在の住所(変更の有無)
- 加給年金の対象者(配偶者・子)の状況
- 支払金融機関の確認
マイナンバー連携済みの者でも「加給年金の対象者の状況」等は別途確認が必要な場合があります(加給年金の対象者のマイナンバー連携が未完了の場合等)。
社労士実務での現況届のポイント:
1. クライアント企業の高齢役員・顧問等が年金受給者の場合、現況届の時期(誕生月)を把握して提出漏れを防ぐよう案内する
2. マイナンバー連携の確認(連携済みなら省略・未連携なら誕生月に提出必要)
3. 海外転居の場合は在外公館での現況確認が必要(住基ネット照合が不可能なため)
4. 施設入所者・認知症患者の場合は成年後見人・家族が代理で提出
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 厚年法第98条・日本年金機構の現況届運用に基づく。マイナンバー連携済みで現況届省略可(ウ正)。提出先は日本年金機構(オ誤)。未提出は支払差止め・消滅ではない(エ誤)。誕生月基準・統一期限なし(ア誤)。一次ソース:日本年金機構公式・e-Gov厚年法確認済。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第98条(受給権者の申告)・日本年金機構の現況届運用(https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。