社労士 雇用保険法 問15:雇用保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
雇用保険法における被保険者の適用除外(雇用保険に加入できない者)に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア1週間の所定労働時間が20時間未満である者は、雇用保険の被保険者とならない(適用除外)。
- イ同一の事業主に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者は、雇用保険の被保険者とならない(適用除外)。ただし、雇用契約が更新される可能性がある場合は、31日未満の契約であっても被保険者となりえる。
- ウ季節的に雇用される者であって、4か月以内の期間を定めて雇用される者は、雇用保険の被保険者とならない(適用除外)。ただし日雇労働被保険者の要件に該当する者は除く。
- エ学校教育法第1条の学校の学生・生徒は、卒業後も就職を予定せず学業に専念する場合には、雇用保険の適用除外となる。
- オ船員保険の被保険者である者は、別途、雇用保険の被保険者にはなれない。正答
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正答はオ(誤っている記述)です。
オは「船員保険の被保険者は雇用保険の被保険者になれない」としていますが、これは誤りです。船員保険は2010年(平成22年)の改正で医療部門が健康保険に統合されました。それ以前は船員保険に雇用保険部門が含まれていましたが、現在の船員保険は労災相当給付と独自給付に特化しており、雇用保険の適用除外ではありません。現在の雇用保険法第6条には「船員保険の被保険者」を適用除外とする規定はなく、船員も一定要件を満たせば雇用保険に加入します。
アは正しく、週20時間未満は適用除外。イは正しく、31日未満見込みは適用除外(更新見込みがあれば加入)。ウは正しく、4か月以内の季節労働者は適用除外。エは正しく、学生は原則適用除外です。
雇用保険の適用除外(法第6条)の主要類型:
| 適用除外事由 | 根拠・例外 |
|---|---|
| 週所定労働時間20時間未満 | 20時間未満なら全従業員対象。パート・アルバイトで多い |
| 同一事業主での31日以上雇用見込みなし | 「見込み」判断。更新されれば遡及加入の場合も |
| 季節的雇用・4か月以内の期間限定雇用 | 農業季節労働者等。ただし日雇労働被保険者要件を満たす者は別途加入 |
| 学校教育法第1条の学校の学生・生徒(昼間学生) | 定時制・通信制・夜間学生は例外として被保険者になりうる |
| 国・都道府県・市区町村等の事業に雇用される者で「労働保険の保険料の徴収等に関する法律第3条のただし書きの規定による事業の事業主に雇用される者」等 | 国の直営事業等の特別扱い |
オが誤りである根拠(2010年船員保険改正の整理):
2010年(平成22年)1月1日以降、船員保険は①職務外疾病部門→全国健康保険協会(協会けんぽ)に統合、②労災相当部門→独自制度として存続(職務上疾病・年金)、③雇用保険部門→廃止(船員も一般の雇用保険に加入)、となりました。現在の雇用保険法第6条には「船員保険の被保険者」という除外事由は存在しません。
各選択肢の精査:
- ア(正): 週20時間未満は雇用保険の加入要件を満たさない。
- イ(正): 31日未満見込みは適用除外。ただし更新・継続の見込みがある場合は被保険者に。
- ウ(正): 4か月以内の季節労働者は適用除外。5か月以上なら短期雇用特例被保険者の可能性。
- エ(正): 昼間学生は原則適用除外。定時制・通信制学生は要件充足で被保険者となりうる。
- オ(誤・正答): 現在の船員保険被保険者は雇用保険の適用除外ではない(旧制度の概念の誤適用)。
【適用除外の設計思想:雇用保険の「常用雇用」への選択的保護】
雇用保険は「常用的な雇用関係(継続的・安定的な就労)」を保護対象とする設計です。週20時間未満・31日未満見込みという数値基準は「一時的・偶発的な就労」と「生計の主たる部分を依存する就労」を峻別するための閾値です。この設計は1974年の制度創設以来基本的に維持されていますが、近年の非正規雇用拡大・ギグエコノミー化に伴い、保護の網の目が粗すぎるという批判が強まっています。
【31日未満の見込みと「遡及加入」の実務】
雇用の継続見込みが「31日未満」として加入しなかった労働者が、実際には31日以上継続雇用された場合、事業主は遡及して被保険者資格取得届を提出する義務があります。この場合、保険料の精算(遡及分の保険料納付)が必要となります。社労士実務では「短期バイト採用時に加入要否の判断ミス→後から継続就労が判明→遡及手続き」という案件が定期的に発生します。
【学生の適用除外の例外:定時制・通信制・夜間学生の扱い】
昼間学生(学業が主たる目的の者)は適用除外ですが、以下のケースは例外として被保険者になりえます:①定時制・通信制学校の生徒(夜間・週末学習が中心)、②休学中の学生(当面学業を離れている状態)、③卒業後の就職を前提とした就労(いわゆる「内定後の卒業まで雇用」は微妙な判断ケース)。ハローワークが事実関係を確認して判断します。
【船員保険の2010年改正の実務的影響(オの背景)】
2010年改正前の船員保険は、医療・年金・労災・雇用の4部門を兼ね備えた総合保険でした。改正で「雇用保険部門」が廃止・一般の雇用保険に統合されたことで、船員も一般の被保険者資格要件(週20時間以上・31日以上見込み等)を満たせば雇用保険に加入します。社労士試験では「船員保険は2010年に医療部分が協会けんぽに統合された(労災と雇用は別制度へ)」という改正ポイントが頻出です。
【適用拡大の政策動向:「週10時間以上」への拡大論議】
2026年10月施行の社会保険適用拡大(「106万円の壁」対応)では健康保険・厚生年金の加入要件が変わりますが、雇用保険の適用除外「週20時間未満」は変わりません。しかし政策的には「週10時間以上でも雇用保険に加入させるべき」という論議が続いており、将来的な適用拡大の可能性が指摘されています。社労士として最新の政策動向を把握することは、企業への適切なアドバイスに不可欠です。
根拠: 雇用保険法第6条(適用除外)、船員保険法改正(2010年1月1日施行)。厚生労働省「雇用保険の適用除外」(確認日2026-04-10)。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 雇用保険法第6条(適用除外) <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): オ「船員保険の被保険者は雇用保険に加入できない」は誤り。2010年1月の船員保険改正により船員保険の雇用保険部門は廃止され、船員も一般の雇用保険要件(週20時間以上等)を満たせば加入する(旧法第6条第3号の削除)。アの週20時間未満、イの31日未満見込み(更新可能性ある場合を除く)、ウの4か月以内の季節労働者は法第6条第2号〜第4号通り正しい。エの昼間学生(学校教育法第1条の学校)も法第6条第4号通り正しい。正答オで一意性確保。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。