社労士 雇用保険法 問17:雇用保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
雇用保険法における国庫負担および雇用保険二事業に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア雇用保険の失業等給付(基本手当等)の費用の一部は国庫が負担しており、基本手当の国庫負担割合は、基本手当に要する費用の4分の1(本則)である。ただし現在は暫定措置により国庫負担割合が引き下げられている。
- イ雇用保険二事業(雇用安定事業・能力開発事業)の費用は、事業主のみが負担する雇用保険料(二事業分)から賄われており、被保険者(労働者)の保険料は二事業の費用に充当されない。
- ウ雇用安定事業には、雇用調整助成金(景気変動等による雇用維持)・特定求職者雇用開発助成金(高齢者・障害者等の雇用促進)等が含まれる。
- エ能力開発事業には、事業主に対する職業訓練の援助(職業訓練実施助成金等)・公共職業訓練施設の整備・技能検定の実施等が含まれる。
- オ雇用保険二事業の財源として、一般教育訓練給付金・専門実践教育訓練給付金等の教育訓練給付の費用も雇用保険二事業から支出される。正答
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正答はオ(誤っている記述)です。
オは「教育訓練給付の費用も雇用保険二事業から支出される」としていますが、これは誤りです。教育訓練給付は「失業等給付」の一種(就職促進給付と並ぶ給付区分)であり、雇用保険二事業(雇用安定事業・能力開発事業)とは別の財源(失業等給付勘定)から支出されます。雇用保険二事業は「事業主のみの保険料」で賄われ、失業等給付は「労使が負担する失業等給付分の保険料」から支出される仕組みです。
アは正しく、国庫負担本則は1/4(現在は暫定削減中)。イは正しく、二事業費用は事業主負担のみです。ウ・エはともに正しく、各事業の内容の説明として適切です。
雇用保険料の構造(令和8年度・一般事業):
雇用保険料率(1.35%)のうち内訳:
| 費目 | 労働者負担 | 事業主負担 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 失業等給付分 | 6/1000 | 6/1000 | 12/1000(1.2%) |
| 雇用保険二事業分 | 0 | 1.5/1000 | 1.5/1000(0.15%) |
| 育児休業給付分 | 0 | 0 | (失業等給付に内包) |
(令和8年度・一般事業・詳細は告示で確認)
オが誤りの根拠:
教育訓練給付金(一般・特定一般・専門実践)は「失業等給付」の一区分(雇用継続給付・就職促進給付と同列の給付種類)であり、失業等給付勘定から支出されます。雇用保険二事業(事業主のみ負担)とは財源が異なります。
雇用保険二事業の具体例:
| 事業名 | 代表的な助成金・事業 |
|---|---|
| 雇用安定事業 | 雇用調整助成金・特定就職困難者雇用開発助成金・高年齢者雇用安定助成金 |
| 能力開発事業 | 人材開発支援助成金・公共職業訓練施設(ポリテクセンター等)・技能検定実施 |
国庫負担の暫定削減について(ア):
本則は基本手当等の費用の1/4(25%)を国庫負担ですが、雇用情勢が安定していた時期から「暫定削減措置」で実際の国庫負担率が1/4の55%(約13.75%)または40%(約10%)に削減されてきました。直近の措置については毎年の予算・告示で確認が必要です。
【雇用保険二事業の設計思想:「事業主のみ負担」とする理由】
雇用保険二事業(雇用安定事業・能力開発事業)の財源が「事業主のみ負担」とされている根拠は、「これらの事業の主たる受益者は事業主(雇用維持の助成・職業訓練への支援を受ける側)であり、労働者は間接的受益者に過ぎない」という政策判断です。特に雇用調整助成金は「景気悪化時に雇用維持した事業主への給付」であり、事業主が主な受益者です。したがって「事業主だけが費用を負担する」設計が正当化されます。
【雇用調整助成金(雇調金)の制度的意義と財政的課題】
雇用調整助成金(雇用安定事業の中核)は、景気後退・感染症拡大等で雇用維持のために休業させた事業主に、休業手当の一部を助成する制度です。2020〜2021年のコロナ禍では、雇調金の特例措置(助成率の引上げ・対象業種拡大等)により膨大な支出が発生し、雇用保険財政が赤字に転落しました。この財政悪化を背景に、2022〜2026年にかけて雇用保険料率が引き上げられ(令和7年度1.45%→令和8年度1.35%に戻す流れ)、国庫負担の充当も実施されました。
【能力開発事業と「人材開発支援助成金」の実務活用】
能力開発事業の代表的な助成金である「人材開発支援助成金」(旧・キャリア形成促進助成金)は、事業主が従業員の職業訓練・技能向上のために費用を支出した場合に一部助成する制度です。社労士実務では、この助成金の申請支援(訓練計画の作成・申請書類の準備・実施後の支給申請)が重要な収益源となっています。中小企業への活用推進アドバイスが社労士の実務貢献の一つです。
【技能検定の実施(能力開発事業)と社労士試験との関係】
能力開発事業には「技能検定の実施」が含まれています。技能検定(国家技能検定)は特級〜3級の区分があり、電気工事・板金・溶接等の製造業スキルを認定します。社会保険労務士試験自体は「国家試験」ですが「技能検定」ではありません。試験知識として「技能検定の実施が能力開発事業に含まれる」という事実関係を正確に把握することが重要です。
【失業等給付と雇用保険二事業の財源の厳格な区分:財政管理の基本】
雇用保険の財政は「失業等給付勘定」と「雇用保険二事業勘定」(便宜上の区分)に分かれており、それぞれの財源が明確に区分されています。オが誤りである根拠は、「教育訓練給付(失業等給付)の費用は失業等給付勘定から支出」という区分が破れているからです。この財源区分の理解は、雇用保険料率の内訳(労働者負担分・事業主負担分)の理解とも直結しており、社労士試験の頻出論点です。
根拠: 雇用保険法第62条(雇用安定事業)・第63条(能力開発事業)・第66条(国庫負担)。厚生労働省「雇用保険二事業の概要」(確認日2026-04-10)。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 雇用保険法第62条(雇用安定事業)、第63条(能力開発事業)、第66条(国庫負担) <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): オ「教育訓練給付は雇用保険二事業から支出」は誤り。教育訓練給付は失業等給付の一区分(法第10条第1項第3号)であり、失業等給付勘定(労使折半の失業等給付分保険料+国庫負担)から支出される。雇用保険二事業(事業主のみ負担・法第68条)は雇用安定事業・能力開発事業の費用のみに充当。ア「基本手当の国庫負担本則1/4・暫定削減55%適用中」(法第66条第1項・附則)、イ「二事業財源は事業主のみ」(法第68条)、ウ・エの各事業の代表的助成金は厚労省案内通り。正答オで一意性確保。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。