社労士 雇用保険法 問19:雇用保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
雇用保険法における求職活動支援費に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア求職活動支援費には、広域求職活動費・短期訓練受講費・求職活動関係役務利用費の3種類がある。
- イ広域求職活動費は、公共職業安定所の紹介により遠隔地にある求人事業所を訪問して求職活動を行う場合に支給されるものであり、その訪問にかかる交通費が支給の対象となる。
- ウ短期訓練受講費は、受給資格者等が教育訓練給付の対象とならない教育訓練を受講した場合に、受講料の40%(上限20万円)が支給される。正答
- エ求職活動関係役務利用費は、求職活動を行うために保育サービス等を利用した場合に支給されるものであり、支給対象となる日数は面接等の場合1日当たりの額の上限がある。
- オ移転費は、求職活動支援費には含まれず、就職促進給付の「就職促進手当」の一類型として位置づけられている。
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正答はウです。
短期訓練受講費は、受給資格者等が教育訓練給付の対象とならない教育訓練を受講した場合に支給されます。しかし支給額は受講料の20%(上限10万円)が正しく、「40%・上限20万円」とするウは誤りです。40%・上限20万円は教育訓練給付(一般教育訓練)の支給率に近い数字ですが、短期訓練受講費とは制度が異なります。
アは正しく、求職活動支援費の3種類(広域求職活動費・短期訓練受講費・求職活動関係役務利用費)を正しく列挙しています。イは正しく、広域求職活動費は遠隔地の求人事業所を訪問する際の交通費が対象です。エは正しく、求職活動関係役務利用費は保育サービス等の利用費用を支援します。オは正しく、移転費は就職促進給付の一種であり、求職活動支援費には含まれません。
求職活動支援費の3種類と支給要件:
| 種類 | 支給対象 | 支給内容 |
|---|---|---|
| 広域求職活動費 | 公共職業安定所の紹介・指示で遠隔地の求人事業所を訪問 | 交通費・宿泊費(実費相当) |
| 短期訓練受講費 | 教育訓練給付対象外の教育訓練を受講 | 受講料の20%(上限10万円) |
| 求職活動関係役務利用費 | 求職活動(面接・訓練受講等)のため保育サービス等を利用 | 利用費用の80%(1日上限6,400円・面接等最大15日、訓練受講最大60日) |
ウの誤り:「40%・上限20万円」は一般教育訓練給付の支給率・上限に相当する数字です。短期訓練受講費は「受講料の20%・上限10万円」が正しい規定です(雇用保険法第60条の3)。
移転費と就職促進給付:
移転費は求職活動支援費(法第59条〜第60条の4)とは別に、就職促進給付(法第56条の3)のなかの就職促進手当の一類型です。就職促進給付には①就業促進手当(就業手当・再就職手当・就業促進定着手当)・②移転費・③求職活動支援費が含まれる体系を正確に押さえることが重要です。
受給資格者等の範囲:
求職活動支援費を受給できる「受給資格者等」は、基本手当の受給資格者・高年齢受給資格者・特例受給資格者・日雇受給資格者のいずれかであることが必要です。
【求職活動支援費の創設と政策的位置づけ】
求職活動支援費は、単に「失業給付」ではなく「求職活動に要するコストの補填」という発想に基づいた給付です。広域求職活動費は1990年代から存在しましたが、2017年の雇用保険法改正で求職活動関係役務利用費が新設され、現在の3種類体系が確立しました。求職活動関係役務利用費の新設は「子育て中・介護中の求職者が保育サービスを利用する費用を補填することで、求職活動の経済的障壁を下げる」という少子化・女性活躍推進策と連動しています。
【短期訓練受講費と教育訓練給付との峻別(頻出論点)】
短期訓練受講費(20%・上限10万円)は、教育訓練給付の対象とならない短期の職業訓練・資格取得講座を対象とします。一方、教育訓練給付には①一般教育訓練給付(20%・上限10万円)・②特定一般教育訓練(40%・上限20万円)・③専門実践教育訓練(50〜70%・上限56〜168万円)があります。試験ではこれら給付率・上限額が混同される論点として頻出です。特に「短期訓練受講費の20%・10万円」と「特定一般教育訓練の40%・20万円」の数字が入れ替わった選択肢(本問のウ)は典型的なひっかけパターンです。
【広域求職活動費の支給要件詳細】
広域求職活動費の支給要件は、(1) 受給資格者等が公共職業安定所の紹介・指示により遠隔地(住居から当該事業所まで往復の交通費等が一定額以上かかる)の求人事業所を訪問すること、(2) 当該訪問が求職活動として認められること、(3) 受給資格の認定を受けていること、が必要です。「遠隔地」の判定基準としては、「鉄道等を利用した場合の運賃が一定額以上」という実費ベースの判断が行われます。移転費(就職後の転居費用補助)と異なり、広域求職活動費はあくまで「訪問・求職活動段階」の費用補助であることを区別して理解することが重要です。
【求職活動関係役務利用費の実務的重要性と社労士実務への接続】
求職活動関係役務利用費(80%・1日上限6,400円)は、面接等で利用した場合は通算最大15日分、訓練受講(公共職業訓練・求職者支援訓練等)で利用した場合は通算最大60日分を支給します。育児・介護中の求職者にとって、保育サービス・介護サービスの利用費は求職活動の実質的コストです。この給付は知名度が低く利用が限定的な状況があり、社労士として「ハローワーク利用者への制度案内」「事業主が従業員を解雇する場合の再就職支援策の一つとして紹介」するシーンで活用できます。近年の就労支援強化の文脈(女性・子育て世代の就労促進)で今後出題が増加する論点です。
根拠: 雇用保険法第59条・第60条の2・第60条の3・第60条の4。厚生労働省「求職活動支援費(広域求職活動費・短期訓練受講費・求職活動関係役務利用費)について」(確認日2026-04-10)。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 雇用保険法第59条(求職活動支援費)、第60条の2(広域求職活動費)、第60条の3(短期訓練受講費)、第60条の4(求職活動関係役務利用費)、第59条(移転費) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。