社労士 雇用保険法 問20:雇用保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
雇用保険法における高年齢雇用継続給付に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア令和7年4月1日以後に60歳に達した者(以下「新対象者」という)に対する高年齢雇用継続基本給付金の支給率の上限は、60歳時点と比較した各月の賃金が61%以下であれば10%の支給率が適用される。
- イ令和7年3月31日以前に60歳に達した者(以下「旧対象者」という)については、経過措置として従前の支給率(上限15%)が継続適用されるため、令和7年4月1日以後に受給資格が生じた場合でも旧対象者は上限15%での支給を受けられる。
- ウ新対象者において高年齢再就職給付金を受給するためには、基本手当を受給した後に再就職した場合が対象となるが、支給率の上限は高年齢雇用継続基本給付金と同様に10%(10%)である。
- エ高年齢雇用継続給付を受給している者が老齢厚生年金を受給する場合、年金額が調整されることがあるが、令和7年4月1日以後に60歳に達した者の場合の調整率の上限は、標準報酬月額に対して最大4%(在職老齢年金による調整とは別)である。正答
- オ高年齢雇用継続給付の支給対象期間は、60歳到達後65歳未満の期間であり、65歳に達した月には支給されない。
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正答はエです。
令和7年4月1日の改正により、新対象者(令和7年4月1日以後に60歳に達した者)の高年齢雇用継続給付の支給率上限は10%に引き下げられました(10%)。これと連動して、老齢厚生年金との調整率の上限も最大4%(4%)に変更されています(エが正しい)。
アは誤りで、支給率が上限10%になるのは賃金が「75%未満」まで低下した場合であり「61%以下」という基準は旧来の「最大15%」の前提(旧制度では61%以下が上限適用)と混同したものです。イは誤りで、旧対象者の経過措置は「60歳到達時点の日付」で判断され、受給資格が生じた日ではありません。ウは正しい記述ですが完全正解はエです。オは誤りで、65歳に達した月の分は支給されます。
2025年4月改正の骨子(頻出改正論点):
| 項目 | 旧制度(2025年3月以前) | 新制度(2025年4月以後の60歳到達者) |
|---|---|---|
| 支給率上限 | 15% | 10%(10%) |
| 老齢厚生年金との調整率上限 | 最大6% | 最大4%(4%) |
| 経過措置対象 | 2025年3月31日以前に60歳到達した者 | 対象外(新制度10%適用) |
各選択肢の精査:
- ア(誤): 支給率の閾値は「60歳到達時点に対して賃金が75%未満低下」が起点。61%という数字は旧制度のパーセント算定ラインと混同したひっかけ。
- イ(誤): 経過措置は「60歳到達日(生年月日)」が2025年3月31日以前かどうかで判断。受給資格が発生した時点ではない。
- ウ(おおむね正しいが不完全): 高年齢再就職給付金の支給率上限も10%(新対象者)。ただし「基本手当受給後に再就職」かつ「基本手当の支給残日数が100日以上」等の要件があり、単純に「基本手当受給後なら対象」では要件不足の記述。
- エ(正・正答): 厚年法第38条の2の調整率は、新対象者について上限4%(4%)に変更済み。
- オ(誤): 65歳に達した月も支給対象。65歳に達した日の属する月分まで支給される。
【2025年4月改正の政策的背景:継続雇用インセンティブの再設計】
高年齢雇用継続給付は1994年の制度創設時から「60歳定年後に賃金が大幅に低下する場合の所得補填」として機能してきました。しかし同制度が「60歳以降の賃金を低く抑えるインセンティブを事業主に与えている」という批判が長年ありました。「給付があるから事業主も賃金を下げやすい→労働者の賃金が抑制されやすい」という逆説的な効果です。2025年4月の15%→10%への縮減はこの構造を是正し、「事業主が60歳以降も賃金を維持・上昇させるよう誘導する」政策転換の第一歩です。制度自体は2025年時点で廃止されていませんが、段階的縮減・廃止方針が議論されています。
【老齢厚生年金との調整(厚年法第38条の2)の仕組み:4%の意味】
高年齢雇用継続給付を受給中の65歳未満受給者が在職中に老齢厚生年金(報酬比例部分)を受給する場合、一定額の年金が「調整停止」されます。調整停止額は「標準報酬月額×調整率」で計算し、旧制度では最大6%・新制度では最大4%(4%)です。この調整は在職老齢年金(基本月額+総報酬月額相当額が650,000円/月超の場合の1/2停止)とは別の停止です。両者が重複する場合は合算停止される点に注意が必要です。社労士試験では「在老停止」と「高雇継続調整停止」の2本立て停止の存在が頻出論点です。
【経過措置の設計と実務的な境界線】
2025年3月31日以前に60歳に達した者(例:1965年3月31日以前生まれ)が旧15%の経過措置の対象です。1965年4月1日以後生まれの者は新10%が適用されます。実務では「60歳誕生日が2025年3月31日かそれ以前か」という1日単位の確認が必要です。同一事業所に勤務する高年齢労働者でも生年月日により適用率が異なるため、「社内で統一的に10%で計算した」という処理誤りのリスクがあります。
【高年齢雇用継続給付の将来:縮減から廃止へのロードマップと社労士の役割】
政府は少子高齢化対策の文脈で、高年齢雇用継続給付を段階的に縮減し最終的に廃止する方向を示しています。廃止後は「事業主が高年齢労働者の賃金を自主的に維持・改善する仕組み」(同一労働同一賃金・ジョブ型雇用等)への移行が求められます。社労士として事業主に「高年齢雇用継続給付に依存した賃金設計の見直し」「定年後再雇用者の賃金制度の整備」をアドバイスすることが今後の重要業務となります。
根拠: 雇用保険法第61条(2025年4月1日改正施行)、厚生年金保険法第38条の2。厚生労働省「高年齢雇用継続給付(令和7年4月改正)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouhoken/kounenrei_koyou_keizoku.html(確認日2026-04-10)。数値: 10%(10%)、4%(4%)、650,000円/月(65万円)。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 雇用保険法第61条(高年齢雇用継続基本給付金)、厚生年金保険法第38条の2、附則(経過措置)、2025年4月1日施行改正 数値根拠: {{KOYO_KOUREI_KEIZOKU_RATE_R8}}(10%)、{{KOUNEN_CHOUSEI_RATE_R8}}(4%) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。