社労士 雇用保険法 問21:雇用保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
雇用保険法における基本手当の延長給付に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア個別延長給付は、就職困難者等であって、公共職業安定所長が特に必要があると認める受給資格者に対して、その受給資格に係る所定給付日数に60日を加えた日数を限度に給付を延長するものである。
- イ訓練延長給付は、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受講するために待機した期間および受講した期間について、基本手当の受給期間(原則1年)の延長が認められるものである。
- ウ広域延長給付は、特定の地域に失業者が集中し、その地域の雇用状況が著しく悪化した場合に、対象地域において最大90日の給付延長を行うものである。
- エ全国延長給付は、全国的に高い失業率の状態が一定期間継続した場合に厚生労働大臣が発動を決定するものであり、最大90日の給付を延長することができる。
- オ延長給付はいずれも、その受給資格に係る基本手当の所定給付日数の残日数がある間に発動要件を満たした場合にのみ受給でき、所定給付日数を超えてから新たに延長給付の受給資格が発生することはない。正答
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正答はオです。
延長給付は「所定給付日数が尽きた後も受給できる場合がある」という制度ですので、「所定給付日数の残日数がある間にのみ受給できる」とするオは誤りです。特に訓練延長給付は、所定給付日数を超えても訓練受講中であれば引き続き延長が認められます。
アは正しく、個別延長給付は就職困難者等を対象に所定給付日数に60日を加えます。イは正しく、訓練延長給付は公共職業安定所長が指示した訓練の受講期間(および待機期間)について受給期間の延長が認められます。ウは正しく、広域延長給付は特定地域の雇用悪化時に最大90日延長します。エは正しく、全国延長給付は全国的な高失業率状態で厚生労働大臣が発動し最大90日延長します。
基本手当の延長給付の4区分:
| 種類 | 発動要件 | 延長日数の上限 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 訓練延長給付 | 公共職業安定所長が指示した訓練を受講 | 訓練終了まで(上限なし・受講期間+待機期間) | 法第27条 |
| 個別延長給付 | 就職困難者等(特定理由離職者等)で所長が特に必要と認定 | 60日(一部30日) | 法第28条 |
| 広域延長給付 | 特定地域の雇用状況が著しく悪化 | 90日 | 法第29条 |
| 全国延長給付 | 全国的に失業率が高い水準が継続(厚生労働大臣が発動) | 90日 | 法第30条 |
オの誤りの詳細:
延長給付の趣旨は「所定給付日数を超えても受給できる状況を設ける」ことです。訓練延長給付の場合、所定給付日数が尽きた後も公共職業訓練受講中であれば受給が継続します。これは「所定給付日数を超えてからも受給できる」典型例です。よって「所定給付日数の残日数がある間のみ」というオは明確に誤りです。
個別延長給付の対象者(法第28条):
就職困難者(障害者・DV被害者等)の特定理由離職者のほか、「雇止め等の特定受給資格者」「45歳以上65歳未満の中高年齢者」等が対象とされるケースがあります。延長日数は原則60日ですが、対象によっては30日の場合があります。
【延長給付の制度的位置づけ:所定給付日数の「安全網の外側の安全網」】
基本手当の所定給付日数(90〜360日)は「離職理由・被保険者期間・年齢」によって設定されます。延長給付は、この所定給付日数を超えてもまだ就職できない・訓練中である受給資格者に対する「第2の安全網」です。日本の雇用保険制度では、景気変動や地域雇用悪化に応じた機動的な延長(広域延長・全国延長)と、個人の就職困難性・訓練受講に対応した延長(個別延長・訓練延長)を使い分けています。
【訓練延長給付の特殊性:「上限なし」の構造】
4種類の延長給付のうち、訓練延長給付だけが「延長日数の上限が実質なし」という特殊な構造を持ちます(法定には「訓練が終了するまで」の文言)。公共職業安定所長が指示する公共職業訓練等の期間が長い場合(例:2年コースの職業訓練)は、その受講期間全体にわたって延長が認められます。ただし、訓練受講期間中であっても「不正受給・訓練不参加」等の場合は給付停止となります。
【広域延長・全国延長の発動実績と2008年金融危機後の運用】
広域延長給付は「特定地域の雇用悪化」が要件であり、近年では豪雪・自然災害後の特定地域で発動例があります。全国延長給付は2000年代の高失業率(完全失業率5%超の継続)を契機に複数回発動されましたが、完全失業率が改善した近年(2025年時点の2.5%水準)では発動されていません。発動要件は「完全失業率が一定以上かつ一定期間継続」という行政的判断によります。
【個別延長給付と特定理由離職者の実務:60日延長の申請と確認】
個別延長給付の対象となる「特定理由離職者」(有期契約の雇止め・正当な理由のある自己都合退職等)は、ハローワークでの認定時に延長給付の適用を合わせて確認します。社労士が会社から「雇止め後の元従業員への対応支援」を求められる際、個別延長給付の対象になるか否かを事前に説明することで、元従業員への適切な再就職支援情報を提供できます。60日延長の存在を知らずに再就職先を急いで決めてしまうケースを防ぐ情報提供が重要です。
【上位資格への接続:労働経済学的視点】
延長給付の存在は、マクロ経済学の「自動安定化機能(ビルトイン・スタビライザー)」の一種として機能します。景気後退局面で失業者が増加しても、延長給付によって家計の可処分所得が維持されることで消費落ち込みの一部が吸収されます。社労士試験の労働一般常識では、延長給付を含む雇用保険制度全体が「雇用のセーフティネット」の根幹を構成していることを把握した上で、労働経済統計(2.5%・1.25倍)との関連も意識することが、上位得点につながります。
根拠: 雇用保険法第27〜30条。厚生労働省「雇用保険の給付(延長給付)」(確認日2026-04-10)。数値: 2.5%(完全失業率)、1.25倍(有効求人倍率)。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 雇用保険法第27条(訓練延長給付)、第28条(個別延長給付)、第29条(広域延長給付)、第30条(全国延長給付) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。