雇用保険法23雇用保険法

社労士 雇用保険法 問23:雇用保険法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

雇用保険法における不正受給に関する次の記述のうち、**正しいものの組合せ**はどれか。 A. 不正受給者に対しては、不正に受給した金額の返還に加えて、その金額の2倍に相当する額(いわゆる「3倍返し」の名目部分)の納付が命じられることがある。 B. 事業主が被保険者に対して不正受給を教唆した場合、当該事業主は不正に受給した金額と同額の連帯納付義務を負う。 C. 不正受給に関する返還命令の時効は、不正受給が行われた時から5年間であり、5年が経過すると返還命令を行うことができなくなる。 D. 受給資格者が不実の申告をした場合、その申告に関する基本手当の支給決定が取り消されるほか、以後の支給を止める不支給措置が取られるが、刑事罰(懲役・罰金)は雇用保険法には規定されていない。

  • 1AとB正答
  • 2AとC
  • 3BとC
  • 4BとD
  • 5CとD
正答:1AとB

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正答は1(AとB)です。

A:不正受給者には「不正受給額の返還」と「2倍相当の納付命令」が課されます。合計で不正額の3倍(本体1倍+追徴2倍)になることから「3倍返し」と呼ばれます(法第10条の4第1項)。AはこのうちB「2倍相当の納付」の記述として正しいです。

B:事業主が不正受給を教唆した場合、不正受給者と連帯して返還・納付義務を負います(法第10条の4第2項)。Bは正しいです。

Cは誤りで、返還命令の時効は2年(行政上の時効)です(不正受給の返還義務は2年の消滅時効)。Dは誤りで、不正受給に対しては法第83条に刑事罰(懲役・罰金)が規定されています。

標準試験対策の基準レベル

不正受給に対する措置の体系(法第10条の4・第83条):

| 措置 | 内容 |

|---|---|

| 返還命令 | 不正受給した基本手当等の全額返還 |

| 納付命令(2倍追徴) | 不正受給額と同額(最大2倍)の納付命令。3倍返しの由来 |

| 連帯納付義務 | 事業主が教唆した場合、不正受給額と同額を連帯納付 |

| 以後の給付停止 | 不正受給後の支給決定取消・以後の支給停止 |

| 刑事罰 | 1年以下の懲役または30万円以下の罰金(法第83条) |

| 返還命令の時効 | 2年(雇用保険法の行政上の時効) |

各選択肢の精査:

  • A(正): 3倍返しの仕組みは「返還1倍+追徴2倍」。追加の2倍部分は「最大2倍」であり、状況によっては2倍未満の場合もある(不正の悪質度等で判断)。
  • B(正): 事業主の連帯納付義務(法第10条の4第2項)。教唆・幇助した事業主が不正受給額と同額を連帯納付。
  • C(誤): 返還命令の時効は5年ではなく2年
  • D(誤): 雇用保険法第83条に刑事罰の規定あり。「懲役・罰金の規定がない」は明確な誤り。

時効の2年と5年の比較(混同注意):

不正受給の返還命令時効は2年。一方、給付請求権(受給者側の請求権)の時効も2年(法第74条)。「5年」という数字は労災の障害・遺族給付時効(5年)等と混同しやすい。

上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【「3倍返し」の法的構造と行政実務】

「3倍返し」の法的根拠は雇用保険法第10条の4です。「不正に支給を受けた金額の返還(第1項)」と「返還命令を受けた者に対する、不正受給額に相当する額の追加納付(第1項後段)」の組み合わせです。追加納付は「最大2倍」という上限があり、必ず2倍が命じられるわけではありませんが、実務上は行政の裁量でほぼ上限額が命じられるケースが多いとされます。3倍返しの存在を知らずに不正受給を行った受給者が、後から多額の返還・追徴を求められるというトラブルが実際に発生しており、社労士として「不正受給のリスクと3倍返しの説明」を行うことが相談業務の一部です。

【事業主の連帯納付義務の適用場面】

事業主が連帯納付義務を負うケースとして、①虚偽の離職票を発行して元従業員に不正受給させた、②賃金台帳・労働時間の記録を偽造して在籍中でも失業認定を受けさせた、③元従業員に「失業中と申告しながら副業を隠す」よう教唆した、などが挙げられます。近年、使用者側による組織的な不正受給幇助(架空就職証明・偽装解雇)がハローワーク調査で発覚するケースがあり、事業主への行政処分・刑事告発も行われています。社労士が顧問先から「元従業員への対応で不正受給の懸念がある」という相談を受けた場合、連帯責任のリスクを明確に説明することが重要です。

【刑事罰の適用と実務的な影響】

雇用保険法第83条の刑事罰(1年以下の懲役または30万円以下の罰金)は、架空の求職活動実績を申告するなど「故意の不正受給」に対して適用されます。単純な手続き誤り(申告漏れ等)では通常は行政上の返還命令にとどまりますが、悪質な場合は検察への告発が行われます。社会保険労務士法にも「不正行為の幇助禁止」規定があり(法第15条の2等)、社労士が不正受給に加担した場合は社労士資格の取消しリスクもあります。

【時効管理と行政執行の実務】

不正受給の返還命令時効が2年という点は、「不正受給が行われてから2年以内にハローワーク(または都道府県労働局)が返還命令を行使する必要がある」という意味です。実務では不正受給の発覚→調査→返還命令のプロセスに時間がかかるケースがあり、2年以内に命令を発することが行政側の対応スピードを左右します。社労士がハローワークとの対応窓口として関与する場合、不正受給調査への対応・資料提出の支援も業務として発生します。

根拠: 雇用保険法第10条の4・第74条・第83条。厚生労働省「不正受給に対する処分について」(確認日2026-04-10)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 雇用保険法第10条の4(不正受給に対する処分)、第83条(罰則)、第85条(事業主の連帯義務) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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