問題
雇用保険法における不正受給に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 A. 偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者に対しては、支給を受けた失業等給付の全部または一部の返還に加えて、厚生労働大臣の定める基準により、その額の2倍に相当する額以下の金額の納付を命じられることがある。 B. 事業主が偽りの届出、報告または証明をしたためにその失業等給付が支給されたものであるときは、政府は当該事業主に対し、その失業等給付の支給を受けた者と連帯して、返還または納付を命ぜられた金額の納付を命ずることができる。 C. 返還または納付を命ぜられた金額を徴収する権利は、これを行使することができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。 D. 偽りその他不正の行為により基本手当の支給を受けた受給資格者には、その支給を受けた日以後、基本手当は支給されず、やむを得ない理由がある場合であっても、基本手当の全部又は一部を支給することはできない。
キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
正答は3(AとB)です。
A:不正受給者には、支給を受けた失業等給付の全部または一部の返還に加え、厚生労働大臣の定める基準により、その額の2倍に相当する額以下の金額の納付が命じられることがあります(第10条の4第1項)。Aは条文どおりで正しいです。
B:事業主が偽りの届出等をしたために失業等給付が支給されたときは、政府は事業主に対し、支給を受けた者と連帯して、返還または納付を命ぜられた金額の納付を命ずることができます(第10条の4第2項)。Bは条文どおりで正しいです。
Cは誤りで、時効は5年ではなく2年です(第74条第1項)。Dは誤りで、やむを得ない理由がある場合は基本手当の全部又は一部を支給することができます(第34条第1項ただし書)。
不正受給に対する措置の体系(第10条の4・第34条・第74条):
| 措置 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 返還命令 | 不正受給した失業等給付の全部または一部の返還 | 第10条の4第1項前段 |
| 納付命令 | 上記の2倍以下の金額の納付(最大で合計3倍) | 第10条の4第1項後段 |
| 事業主の連帯納付義務 | 事業主が偽りの届出等をしたため支給された場合、その事業主に対し、支給を受けた者と連帯して返還・納付を命ぜられた金額の納付を命ずることができる | 第10条の4第2項 |
| 時効 | 返還・納付を命ぜられた金額を徴収する権利は、行使できる時から2年で消滅 | 第74条第1項 |
| 不支給 | 不正受給等をした日以後、基本手当を支給しない。やむを得ない理由があれば全部又は一部を支給できる。新たな受給資格は別 | 第34条第1項・第2項 |
各選択肢の精査:
- A(正): 「返還+2倍以下の納付」=いわゆる「3倍返し」の由来(第10条の4第1項)。
- B(正): 事業主が偽りの届出等をしたため支給された場合の連帯納付義務(第10条の4第2項)。「偽りの届出、報告又は証明をしたため」支給されたことが要件である。
- C(誤): 時効は5年ではなく2年(第74条第1項)。
- D(誤): 第34条第1項ただし書は「やむを得ない理由がある場合には、基本手当の全部又は一部を支給することができる」と定めている。
【「返還+2倍以下の納付」の法的構造(Aの根拠)】
第10条の4第1項は「偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができ、また、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の二倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる」と定めています。返還(1倍)+納付命令(最大2倍)を合わせて、通称「3倍返し」と呼ばれますが、納付命令の額は「2倍以下」であり、必ずしも上限いっぱいの2倍が命じられるとは限りません。
【事業主の連帯納付義務の要件(Bの根拠)】
第10条の4第2項は、事業主、職業紹介事業者等、募集情報等提供事業を行う者、または指定教育訓練実施者が「偽りの届出、報告又は証明をしたためその失業等給付が支給されたものであるとき」に、政府がこれらの者に対し、支給を受けた者と連帯して「前項の規定による失業等給付の返還又は納付を命ぜられた金額の納付をすることを命ずることができる」と定めています。要件は「偽りの届出等をしたために支給された」ことであり、連帯して納付を命じられるのは、第1項により返還又は納付を命ぜられた金額です。
【時効2年(Cの誤り)】
第74条第1項は「失業等給付等の支給を受け、又はその返還を受ける権利及び第十条の四第一項又は第二項の規定により納付をすべきことを命ぜられた金額を徴収する権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したときは、時効によつて消滅する」と定めており、時効は2年です。返還・納付を怠った場合は、徴収法の督促・滞納処分の規定が準用されます(第10条の4第3項)。
【不正受給による不支給とそのただし書(Dの誤り)】
第34条第1項は、偽りその他不正の行為により求職者給付又は就職促進給付の支給を受け、又は受けようとした者には、その日以後、基本手当を支給しないと定めます(受けようとしただけでも対象)。ただし、やむを得ない理由がある場合には、基本手当の全部又は一部を支給することができます(同項ただし書)。また、その日以後に新たに受給資格を取得した場合には、新たな受給資格に基づく基本手当は支給されます(同条第2項)。「やむを得ない理由があっても支給できない」とするDは、ただし書と矛盾します。
- 雇用保険法e-Govで原文を読む
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 雇用保険法第10条の4(返還命令等)第1項・第2項・第34条(不正受給による給付制限)第1項・第74条(時効)第1項(e-Gov 法令検索 現行条文・確認日2026-09-30) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

