問題
雇用保険法における再就職手当に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はアです。
再就職手当の支給要件の一つとして、就職日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上であることが法定されています(雇用保険法第56条の3第1項第1号)。アはこれを正確に述べており、正しい記述です。
イは誤りで、支給率は残日数によって60%または70%の2段階です。残日数が所定給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上3分の2未満なら60%となり、一律ではありません。ウは誤りで、1年を超えて引き続き雇用されることが確実な職業に就くことが要件であり、有期雇用で1年超雇用見込みがない場合は対象外です。エは誤りで、再就職手当を支給したときは、その額を基本手当日額で除した日数分の基本手当を支給したものとみなされます(第56条の3第4項)。差額補填ではありません。オは誤りで、支給率の分岐点は「3分の2以上かどうか」であり、「3分の1以上かどうか」ではありません。
再就職手当の支給要件(雇用保険法第56条の3第1項第1号・施行規則第82条):
再就職手当が支給される「安定した職業」への就職には、以下の要件をすべて満たすことが必要です。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 残日数要件 | 就職日前日の基本手当支給残日数が所定給付日数の1/3以上 |
| 雇用見込み要件 | 就職先に1年を超えて引き続き雇用されることが確実であること |
| 待期経過 | 第21条の待期期間(7日)が経過した後に就職したこと(則第82条第1項第2号) |
| 給付制限を受けた者 | 待期満了後1か月の期間内は、公共職業安定所又は職業紹介事業者等の紹介による就職であること(則第82条第1項第3号) |
| 再就職先の制限 | 離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと(同第1号)、求職の申込み前に雇入れを約した事業主でないこと(同第4号) |
支給率の2段階構造(頻出):
| 就職前日の残日数 | 支給率 |
|---|---|
| 所定給付日数の2/3以上 | 70% |
| 所定給付日数の1/3以上2/3未満 | 60% |
支給額 = 基本手当日額 × 就職前日の残日数 × 支給率(60%または70%)
各選択肢の精査:
- ア(正・正答): 「残日数が所定給付日数の1/3以上」の要件を正確に記述。
- イ(誤): 一律70%は誤り。3分の2以上なら70%、3分の1以上3分の2未満なら60%の2段階。
- ウ(誤): 1年を超えて引き続き雇用される「確実性」が要件。有期雇用で1年超見込みがなければ対象外。
- エ(誤): 再就職手当の額÷基本手当日額の日数分の基本手当を支給したものとみなされる(第56条の3第4項)。差額補填ではなく早期再就職を促す給付。
- オ(誤): 支給率の分岐点は「3分の2以上かどうか」である。「3分の1以上かどうか」で支給率が変わるという記述は誤り(3分の1は支給の有無の要件であり、70%と60%の分岐点は3分の2)。
【再就職手当の政策的意義:早期再就職インセンティブの設計】
再就職手当は「基本手当の受給期間が残っているにもかかわらず早期に再就職した場合に、残余の基本手当の一部を一時金として給付する」制度です。失業者が早期に再就職するほど給付が大きくなる設計(70%>60%)は、「なるべく長く失業給付を受けながら就職活動を続ける」という逆インセンティブを打ち消し、就職促進を強力に後押しする目的があります(現行の給付率は第56条の3第3項第1号の10分の6・10分の7)。
【支給率の分岐点:3分の2と3分の1の使い分け】
再就職手当における分数の使い方は試験で頻繁に問われます。整理すると以下の通りです。
| 分数 | 何の要件か |
|---|---|
| 所定給付日数の1/3以上 | 再就職手当の支給対象となるか否かの最低要件 |
| 所定給付日数の2/3以上 | 支給率が70%(高率)になる要件 |
| 所定給付日数の1/3以上2/3未満 | 支給率が60%(低率)になる範囲 |
「1/3」は受給の入口(下限)、「2/3」は高率適用の基準という役割の違いを明確に区別することが合格に直結します。
【1年超雇用見込みの判断:有期・無期の実務的取扱い】
「1年を超えて引き続き雇用されることが確実な職業」の判断は、原則として雇用契約書・労働条件通知書の記載内容に基づきます。無期雇用契約であれば通常は要件充足。有期雇用契約(1年または半年ごとの契約)の場合は、「更新条項がある」「過去に反復更新されている事業主への就職」だけでは確実性を認めません。「契約期間が1年超の有期雇用」または「複数年にわたる雇用が契約上確実」な場合のみ対象となります。実務上、公共職業安定所(ハローワーク)が雇用契約の内容・就職先の実態から総合的に判断します。
【再就職手当と就業促進定着手当の連続的活用】
再就職手当を受給した後、再就職先に6か月以上雇用され、その間の賃金が離職前より低下した場合に支給される就業促進定着手当と組み合わせることで、早期再就職後の賃金ダウンをカバーする制度設計があります(支給額の上限は省令で定められています)。社労士試験では再就職手当単独の出題に加え、就職促進給付(就業促進手当・移転費・求職活動支援費:第10条第4項)の体系的整理を問う問題も出題されています。就職促進給付の全体像を体系的に把握した上で、再就職手当の個別要件(1/3要件・2/3要件・70%/60%の2段階)を精緻に習得することで、選択式・択一式の両方に対応できる力が身につきます。
【支給率70%の計算例で理解を深める】
所定給付日数180日・残日数130日(180日の3分の2以上)の場合:
- 基本手当日額6,000円 × 残日数130日 × 支給率70% = 546,000円の一時金。
残日数が60日(180日の3分の1以上3分の2未満)の場合:
- 6,000円 × 60日 × 60% = 216,000円。
早期に就職するほど残日数が多く残り、支給率も高くなる構造が、就職促進インセンティブの強力さを示しています。社労士試験の選択式でも「支給率○%」「残日数○分の○以上」の数値が頻繁に問われるため、2段階の数値を確実に記憶することが合格に直結します。
根拠: 雇用保険法第56条の3第1項・第3項・第4項、同法施行規則第82条。
- 雇用保険法第56条の3e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 雇用保険法第56条の3第1項第1号(残日数1/3以上)・第3項第1号(10分の6、2/3以上は10分の7)・第4項(基本手当を支給したものとみなす)、雇用保険法施行規則第82条(再就職手当の支給基準) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

