社労士 雇用保険法 問27:雇用保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
雇用保険法における再就職手当に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア再就職手当は、受給資格者が安定した職業に就いた場合に支給されるものであり、支給を受けるためには、就職日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上であることが要件の一つとなっている。正答
- イ再就職手当の支給率は、就職日の前日における支給残日数が所定給付日数の3分の1以上であれば一律70%である。
- ウ再就職手当は、1年を超えて引き続き雇用されることが確実でない有期雇用契約の職業に就いた場合でも、1年以上の雇用実績がある事業主への就職であれば支給対象となる。
- エ再就職手当を受給した受給資格者は、同一の受給資格に基づく基本手当の支給を引き続き受けることができ、再就職手当は基本手当との差額補填的な位置づけである。
- オ再就職手当の額は、就職日前日における基本手当の日額に支給残日数と支給率を乗じた額であり、支給率の適用にあたって就職前日の残日数が所定給付日数の3分の1以上かどうかで支給率が変わる。
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正答はアです。
再就職手当の支給要件の一つとして、就職日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上であることが法定されています(雇用保険法第56条の3第3項)。アはこれを正確に述べており、正しい記述です。
イは誤りで、支給率は残日数によって60%または70%の2段階です。残日数が所定給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上3分の2未満なら60%となり、一律ではありません。ウは誤りで、1年を超えて引き続き雇用されることが確実な職業に就くことが要件であり、有期雇用で1年超雇用見込みがない場合は対象外です。エは誤りで、再就職手当を受給した後は同一受給資格での基本手当は支給されません。オは誤りで、支給率の分岐点は「3分の2以上かどうか」であり、「3分の1以上かどうか」ではありません。
再就職手当の支給要件(雇用保険法第56条の3第3項):
再就職手当が支給される「安定した職業」への就職には、以下の要件をすべて満たすことが必要です。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 残日数要件 | 就職日前日の基本手当支給残日数が所定給付日数の1/3以上 |
| 雇用見込み要件 | 就職先に1年を超えて引き続き雇用されることが確実であること |
| 待機期間経過 | 受給資格決定後の7日間の待機期間を経過していること |
| 給付制限期間の制限 | 自己都合退職等での給付制限期間中の就職でないこと(給付制限期間の3分の1経過後は可) |
| 再就職先の制限 | 離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと |
支給率の2段階構造(頻出):
| 就職前日の残日数 | 支給率 |
|---|---|
| 所定給付日数の2/3以上 | 70% |
| 所定給付日数の1/3以上2/3未満 | 60% |
支給額 = 基本手当日額 × 就職前日の残日数 × 支給率(60%または70%)
各選択肢の精査:
- ア(正・正答): 「残日数が所定給付日数の1/3以上」の要件を正確に記述。
- イ(誤): 一律70%は誤り。3分の2以上なら70%、3分の1以上3分の2未満なら60%の2段階。
- ウ(誤): 1年を超えて引き続き雇用される「確実性」が要件。有期雇用で1年超見込みがなければ対象外。
- エ(誤): 再就職手当受給後は同一受給資格の基本手当は支給停止。差額補填ではなく早期再就職の報奨金的給付。
- オ(誤): 支給率の分岐点は「3分の2以上かどうか」である。「3分の1以上かどうか」で支給率が変わるという記述は誤り(3分の1は支給の有無の要件であり、70%と60%の分岐点は3分の2)。
【再就職手当の政策的意義:早期再就職インセンティブの設計】
再就職手当は「基本手当の受給期間が残っているにもかかわらず早期に再就職した場合に、残余の基本手当の一部を一時金として給付する」制度です。失業者が早期に再就職するほど給付が大きくなる設計(70%>60%)は、「なるべく長く失業給付を受けながら就職活動を続ける」という逆インセンティブを打ち消し、就職促進を強力に後押しする目的があります。2017年の雇用保険法改正以前は「早期再就職者支援金(45%)」と「再就職手当(60%)」の2段階でしたが、現行制度は60%/70%に統一・拡充されています。
【支給率の分岐点:3分の2と3分の1の使い分け】
再就職手当における分数の使い方は試験で頻繁に問われます。整理すると以下の通りです。
| 分数 | 何の要件か |
|---|---|
| 所定給付日数の1/3以上 | 再就職手当の支給対象となるか否かの最低要件 |
| 所定給付日数の2/3以上 | 支給率が70%(高率)になる要件 |
| 所定給付日数の1/3以上2/3未満 | 支給率が60%(低率)になる範囲 |
「1/3」は受給の入口(下限)、「2/3」は高率適用の基準という役割の違いを明確に区別することが合格に直結します。
【1年超雇用見込みの判断:有期・無期の実務的取扱い】
「1年を超えて引き続き雇用されることが確実な職業」の判断は、原則として雇用契約書・労働条件通知書の記載内容に基づきます。無期雇用契約であれば通常は要件充足。有期雇用契約(1年または半年ごとの契約)の場合は、「更新条項がある」「過去に反復更新されている事業主への就職」だけでは確実性を認めません。「契約期間が1年超の有期雇用」または「複数年にわたる雇用が契約上確実」な場合のみ対象となります。実務上、公共職業安定所(ハローワーク)が雇用契約の内容・就職先の実態から総合的に判断します。
【再就職手当と就業促進定着手当の連続的活用】
再就職手当を受給した後、さらに「再就職後6か月間の賃金日額が基本手当日額を下回る」場合に支給される就業促進定着手当(差額×再就職手当支給残日数×40%が上限)と組み合わせることで、早期再就職後の賃金ダウンをカバーする制度設計があります。社労士試験では再就職手当単独の出題に加え、「就業促進定着手当・就業手当との体系的整理」を問う問題も出題されています。就職促進給付の全体像を体系的に把握した上で、再就職手当の個別要件(1/3要件・2/3要件・70%/60%の2段階)を精緻に習得することで、選択式・択一式の両方に対応できる力が身につきます。
【支給率70%の計算例で理解を深める】
所定給付日数180日・残日数130日(180日の3分の2以上)の場合:
- 基本手当日額6,000円 × 残日数130日 × 支給率70% = 546,000円の一時金。
残日数が60日(180日の3分の1以上3分の2未満)の場合:
- 6,000円 × 60日 × 60% = 216,000円。
早期に就職するほど残日数が多く残り、支給率も高くなる構造が、就職促進インセンティブの強力さを示しています。社労士試験の選択式でも「支給率○%」「残日数○分の○以上」の数値が頻繁に問われるため、2段階の数値を確実に記憶することが合格に直結します。
根拠: 雇用保険法第56条の3第3項・第4項。厚生労働省「就職が決まったときに受け取れる給付金(再就職手当等)」(確認日2026-04-10)。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 雇用保険法第56条の3第3項・第4項(再就職手当)、雇用保険法施行規則第82条の2〜第82条の4 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。