社労士 雇用保険法 問28:雇用保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
雇用保険法における高年齢再就職給付金に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア高年齢再就職給付金は、基本手当の受給資格者が60歳に達した後に安定した職業に就いた場合に支給されるものであり、就職日において65歳未満であることが要件である。
- イ高年齢再就職給付金の支給を受けるためには、就職日前日における基本手当の支給残日数が100日以上であることが要件の一つとなっている。
- ウ令和7年4月1日以後に受給資格を取得した者が高年齢再就職給付金を受給する場合、支給率の上限は賃金月額の10%%である。
- エ高年齢再就職給付金は、再就職後に支払われた賃金月額が60歳到達時の賃金月額の75%未満である場合には支給されない。正答
- オ高年齢再就職給付金の支給期間は、就職日から最長2年間であるが、支給残日数が200日以上の場合には最長2年間、100日以上200日未満の場合には最長1年間となる。
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正答はエです。
エの「賃金月額が60歳到達時の賃金月額の75%未満である場合には支給されない」は誤りです。高年齢再就職給付金は、再就職後の賃金月額が60歳到達時の賃金月額の75%未満に低下した場合に支給される給付金です。したがって「75%未満なら支給されない」はまったく逆で、正しくは「75%以上の場合に支給されない(75%未満に低下した場合に支給される)」です。
アは正しく、60歳到達後・65歳未満の年齢要件を正確に記述しています。イは正しく、残日数100日以上の要件を正確に記述しています。ウは正しく、令和7年4月以後受給資格取得者の支給率上限は10%%(旧15%から縮減)です。オは正しく、残日数200日以上→最長2年間、100日以上200日未満→最長1年間を正確に記述しています。
高年齢再就職給付金の支給要件(雇用保険法第61条):
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 年齢要件 | 就職日において60歳以上65歳未満 |
| 残日数要件 | 就職日前日の基本手当残日数が100日以上 |
| 賃金低下要件 | 再就職後の賃金月額が60歳到達時賃金月額の75%未満 |
| 雇用保険被保険者 | 再就職後に雇用保険の一般被保険者となること |
支給率(令和7年4月以後受給資格取得者・縮減後):
| 賃金月額の水準 | 支給率 |
|---|---|
| 61%以下に低下 | 10%%(上限) |
| 61%超75%未満 | 低下率に応じた逓減率(最大10%%) |
| 75%以上 | 支給なし |
各選択肢の精査:
- ア(正): 60歳到達後・65歳未満の年齢要件を正確に記述。
- イ(正): 残日数100日以上の要件を正確に記述。
- ウ(正): 令和7年4月以後受給資格取得者の支給率上限は10%%(旧15%から縮減)。
- エ(誤・正答): 「75%未満なら支給されない」は逆。正しくは「75%以上なら支給されない」(75%未満に低下した場合に支給される)。
- オ(正): 残日数200日以上→最長2年間、100日以上200日未満→最長1年間を正確に記述。
高年齢再就職給付金と高年齢雇用継続基本給付金の違い(頻出):
| 給付金 | 対象者 |
|---|---|
| 高年齢再就職給付金 | 基本手当を受給した後に60歳以降に再就職した者 |
| 高年齢雇用継続基本給付金 | 基本手当を受給せずに60歳以降も継続雇用(または初めて雇用)されている者 |
両者の「支給されない基準(75%以上)」は共通ですが、対象者の状況(基本手当受給の有無)が異なります。混同しないよう注意が必要です。
【令和7年4月改正による支給率縮減の政策的背景】
高年齢雇用継続給付(基本給付金・再就職給付金とも)は、60歳以降の賃金低下を補填し高齢者の就労継続を支援する制度として1994年(平成6年)に創設されました。創設当初の支給率上限は25%でしたが、2003年の改正で15%に引き下げられ、令和7年4月(2025-04-01)からさらに10%%(10%)に縮減されました。この縮減は「高齢者雇用安定法の改正(70歳までの就業機会確保の努力義務)」「年金支給開始年齢の段階的引き上げ」と連動して、「賃金補填による就労促進から、雇用慣行・職場環境の整備による就労促進へ」とシフトする政策転換を反映しています。最終的に2030年代には高年齢雇用継続給付そのものが廃止されることが決定済みであり、令和7年の段階的縮減は廃止への中間段階として位置づけられています。
【75%という不支給基準の設計思想】
「賃金月額が60歳到達時の75%以上であれば支給しない」という基準は、「賃金の低下幅が25%未満(75%以上維持)の場合は補填の必要性が低い」という政策判断を反映しています。逆に言えば、この給付金が必要とされる状況は「60歳到達時の賃金から25%以上の大幅な賃金ダウンが生じた場合」です。60歳定年後の再雇用(嘱託・契約社員等への移行)では賃金が大幅に下がるケースが多く、特に「管理職→一般職への移行で年収が大きく下がる」場面でこの給付金が実務上重要な意味を持ちます。
【高年齢再就職給付金の支給期間設計:残日数200日の閾値】
支給期間が「残日数200日以上→最長2年」「100日以上200日未満→最長1年」と設計されている理由は、「残日数が多いほど基本手当を長く受給できたはずの受給機会損失が大きい」ためです。残日数100日以上という下限は「十分な求職活動の後に再就職した」ことを意味し、100日未満での再就職は再就職手当の対象となります。再就職手当(一時金)と高年齢再就職給付金(月次給付)は重複支給不可であり、受給資格者が「一時金で受け取るか、月次で受け取るか」を事実上選択することになります(残日数の規模や賃金低下幅によって有利な方が異なる)。
【厚年との在職老齢年金調整との連携:社労士実務の核心】
60歳以降に在職しながら老齢厚生年金と高年齢再就職給付金を同時に受給する場合、厚生年金保険法第38条の2により、老齢厚生年金の一部が支給停止されます。停止率は「標準報酬月額に対して最大4%%(令和7年4月以後・旧6%から縮減)」です。高年齢雇用継続給付の縮減に連動して、この年金停止率も同時に6%→4%%に引き下げられており、「雇用保険の縮減=年金停止の緩和」という両制度の連動が重要です。社労士は顧問先の60歳以降の処遇設計において「高年齢雇用継続給付受給額」「在職老齢年金支給停止額」「手取り賃金」を総合的にシミュレーションする役割を担います。この実務スキルが社労士資格の市場価値の一つです。
根拠: 雇用保険法第61条(高年齢再就職給付金)。厚生労働省「高年齢雇用継続給付の内容と支給申請手続」(確認日2026-04-10)。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 雇用保険法第61条(高年齢再就職給付金)、雇用保険法施行規則第101条の5〜第101条の8 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。