社労士 雇用保険法 問9:雇用保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08)
雇用保険の介護休業給付金に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア介護休業給付金は、対象家族1人につき通算93日を限度として支給されるが、この93日は連続して取得しなければならず、分割取得(複数回に分けての取得)は認められない。
- イ介護休業給付金の給付率は、休業開始時賃金日額の100分の40(40%)であり、休業中に事業主から賃金が支払われない場合に限って支給される。
- ウ介護休業給付金を受給するためには、休業開始前の1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あることが必要であり、雇用保険の一般被保険者であれば短時間労働者も対象となる。
- エ介護休業給付金は、対象家族1人につき3回まで分割して介護休業を取得することができ、各分割期間を合算した日数が93日以内であれば給付の対象となる。正答
- オ介護休業給付金は、休業中に事業主から賃金の支払いがある場合、その賃金額が休業開始時賃金日額の13%以上であれば、たとえ80%未満であっても全額不支給となる。
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠条文・通達も明記。
正答はエ(正しい記述)です。
介護休業給付金は、対象家族1人につき通算93日を限度として、3回まで分割して取得することができます(雇用保険法第61条の4・育介法第11条)。各回の取得日数の合計が93日以内であれば給付の対象となります。
アは誤りで、連続取得は必須ではなく3回まで分割取得が可能です。イは誤りで、給付率は40%ではなく67%(100分の67)です(平成28年8月1日改正で67%に引き上げ)。ウは誤りで、受給要件の被保険者期間は「休業開始前の2年間に12か月以上」であり、「1年間に6か月以上」ではありません(基本手当の特定受給資格者の要件と混同した誤り肢)。オは誤りで、給付調整の閾値は「13%以上で全額不支給」ではなく、80%以上で完全不支給です。賃金が13%以上80%未満の範囲では、給付金が調整計算されたうえで支給されます(雇用保険法第61条の4第6項・確認日2026-06-08)。
介護休業給付金の全体像(必須整理):
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 雇用保険の被保険者(一般被保険者・高年齢被保険者) |
| 受給要件 | 休業開始前2年間に被保険者期間12か月以上 |
| 給付率 | 休業開始時賃金日額の67% |
| 支給上限日数 | 対象家族1人につき通算93日(3回まで分割可) |
| 分割取得 | 3回まで(1回目・2回目・3回目と回数制限) |
| 対象家族 | 配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫 |
「3回・93日」の正確な理解:
```
1回目(例: 30日) + 2回目(例: 40日) + 3回目(例: 23日) = 合計93日
↓ 給付対象 ↓ ↓ 限度 ↓
(各回の合算が93日以内・かつ3回以内なら全て給付対象)
```
- 4回目以降の介護休業は給付対象外(育介法上の休業取得は可能だが給付なし)
- 1人の対象家族が回復しても、別の対象家族のために再度93日の権利が発生する
給付額の計算(事業主賃金との調整):
| 休業中の賃金 | 給付額の扱い |
|---|---|
| 0円(無給) | 休業開始時賃金日額 × 67% × 日数 |
| 賃金日額の13%以上80%未満 | (80% - 賃金支給率) × 休業開始時賃金日額 × 日数 |
| 賃金日額の80%以上 | 不支給(賃金で十分補填されているため) |
各選択肢の解説:
- ア(誤): 分割取得は認められており、3回まで可能。「連続しなければならない」は誤り。
- イ(誤): 給付率は67%(40%は育休給付金の旧給付率や介護給付の誤り)。
- ウ(誤): 受給要件の基準期間は「休業開始前の2年間に12か月以上」が正しい。「1年間に6か月以上」は基本手当の特定受給資格者の要件と混同した誤り肢(雇用保険法第61条の4第1項・確認日2026-06-08)。
- エ(正・正答): 93日・3回分割は法第61条の4の通り。本問における唯一の正しい記述。
- オ(誤): 給付調整の閾値は「13%以上で全額不支給」ではなく「80%以上で全額不支給」。13%以上80%未満の範囲では「(80%-賃金支給率)×休業開始時賃金日額×日数」の計算により調整後の額が支給される(13%未満の場合は満額支給)。
【介護休業給付金の給付率改定の歴史と「67%」の政策的意義】
介護休業給付金の給付率は段階的に引き上げられてきました:
| 時期 | 給付率 | 背景 |
|---|---|---|
| 制度創設当初(平成7年〜) | 25% | 取り急ぎ創設した低水準 |
| 平成14年(2002年)改正 | 40% | 介護者の就労継続を支援 |
| 平成28年(2016年)8月 | 67% | 育児休業給付金(67%)と統一。介護離職防止の国家戦略 |
67%という数値の根拠:社会保険料免除(雇用保険料・健保料・厚年料は事業主負担も停止)と合わせると、手取り換算で実質80%程度の収入確保を目指す設計です。
【「介護離職防止」政策と介護休業給付金の位置づけ】
令和7年(2025年)施行の育介法改正(2025年4月〜段階施行)では介護支援制度も拡充されています:
1. 介護に関する周知義務(令和7年4月〜): 事業主は「介護休業・介護休暇・介護のための所定外労働制限・時短勤務」等の制度を個別周知する義務を負う
2. 意向確認義務(令和7年4月〜): 介護が必要な家族を持つ労働者に対し、事業主が介護両立支援制度の利用意向を個別に確認する義務
令和8年度試験ではこれらの改正を踏まえた出題が想定されます(介護休業制度の周知義務・意向確認義務は法改正最新論点)。
【育児休業給付金との対比(受験生が混同しやすい論点)】
| 比較項目 | 介護休業給付金 | 育児休業給付金 | 出生時育休給付金 |
|---|---|---|---|
| 給付率 | 67% | 最初の180日: 67%・181日目〜: 50% | 67% |
| 上限日数 | 93日(3回分割) | 子が1歳まで(最大2歳まで延長可) | 28日(2回分割) |
| 分割回数 | 3回 | 2回(原則)+延長 | 2回 |
| 対象 | 要介護状態の家族 | 0歳〜(育休延長は1歳以降) | 出生後8週以内 |
| 受給前提 | 2年間12か月の被保険者期間 | 2年間12か月の被保険者期間 | 2年間12か月の被保険者期間 |
重要な違い: 育児休業給付は「子が何歳まで」という期限で決まりますが、介護休業給付は「対象家族1人につき合計93日・3回まで」という使い切り型です。
【93日・3回分割の「対象家族1人につき」の意味と実務応用】
「対象家族1人につき」通算93日という制限は重要です:
- 例1: 母の介護で93日使い切り後、父の介護が必要になった場合→父について新たに93日(3回)の権利が発生
- 例2: 母の介護で1回目40日、2回目30日使用後(合計70日)→残り23日・1回分(3回目)が残っている
- 例3: 4回目以降の介護休業を取得しても給付なし(育介法上の休業取得は可能だが給付対象外)
この「1人ごとにリセット」「3回まで」という構造は、社労士が顧問先で介護者を抱える従業員を支援する際の実務上の核心知識です。
【事業主賃金と給付調整の計算式(実務・計算問題対策)】
介護休業中に事業主から賃金支給がある場合:
```
調整計算(法第61条の4第7項):
A = 休業開始時賃金日額 × 支給日数
B = 休業中に事業主から支払われた賃金額
(1) B ÷ A ≧ 80% の場合 → 不支給(給付金ゼロ)
(2) 13% ≦ B÷A < 80% の場合 → 給付金 = (A × 80%) - B
(3) B ÷ A < 13% の場合 → 給付金 = A × 67%(全額支給)
```
この計算は育児休業給付金と同じ方式であり、社労士試験では「80%以上で不支給」「13%未満で満額(67%)支給」の閾値を正確に記憶しておくことが必要です。令和8年度試験では、給付調整の計算式そのものより「閾値の数値(80%・13%)」が出題されやすい傾向にあります。
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 二重正答リスクを是正。選択肢ウは「2年間に12か月以上」→「1年間に6か月以上」に変更し明確な誤り肢化(基本手当特定受給資格者との混同パターン)。選択肢オは「80%未満なら調整支給」→「13%以上で全額不支給」に変更し閾値ミス型の明確な誤り肢化。正答エ(93日・3回分割)が唯一の正解となるよう整理。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 雇用保険法第61条の4(介護休業給付金)・第61条の4第5項(給付率67%)・育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第11条(介護休業93日・3回) 出典一次ソース: 厚生労働省「介護休業給付金のご案内」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158782.html(確認日2026-06-08) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。