社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 労働基準法 問7|平均賃金の算定基礎・原則と最低保障額

問題

社労士 | 労働基準法 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

労働基準法第12条に規定する平均賃金の算定に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はイ(誤っている記述)です。

イは「出来高払部分には最低保障額が適用されない」と述べていますが、これは誤りです。出来高払制・請負制の賃金(全部または一部)が含まれる場合も、平均賃金の最低保障額(賃金総額÷労働日数×60/100)は適用されます(労基法第12条第1項ただし書第1号。賃金の一部が月給等の場合は同第2号の合算額)。最低保障の趣旨は、労働日数が少なかった期間に賃金総額を暦日数で割ると極端に低い額になることを防ぐためのものです。

アは正しく、原則額は「賃金総額÷暦日数」です。エは正しく、日給・時給制等では原則額と最低保障額(賃金総額÷労働日数×60/100)の高い方が採用されます。ウは正しく、業務上傷病による休業期間は算定から除外されます。オは正しく、雇入れ3か月未満の者は雇入れ後の期間で算定します。

平均賃金の算定構造(労基法第12条):

区分算定方法適用場面
原則額賃金総額 ÷ 算定期間の暦日数月給・日給・時給(原則)
最低保障額賃金総額 ÷ 算定期間の労働日数 × 60/100日給・時給・出来高払等で原則額が低くなる場合
適用基準原則額と最低保障額の高い方日給制・時給制・出来高払制(全部または一部)

算定期間から除外される事由(労基法第12条第3項各号):

  • 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間(第1号)
  • 産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間(第2号)
  • 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間(第3号)
  • 育児・介護休業法による育児休業・介護休業をした期間(第4号)
  • 試みの使用期間(第5号)

これらの期間とその期間中の賃金は、3か月の算定期間および賃金総額の両方から除外します。

各選択肢の解説:

  • ア(正): 「賃金総額÷暦日数」が原則。暦日数は就業・休日・欠勤を問わずカレンダーの実日数。
  • エ(正): 日給・時給・出来高払の場合は原則額と最低保障額(賃金総額÷労働日数×60/100)の高い方を採用(第1項ただし書第1号)。賃金の一部が月給等で定められている場合は、その部分の総額÷総日数と第1号の額の合算額が最低保障額(同第2号)。
  • ウ(正): 業務上傷病休業の期間とその期間中の賃金は、算定期間・賃金総額の両方から控除する(第3項第1号)。
  • イ(誤・正答): 出来高払制その他の請負制で定められた賃金にも最低保障額(賃金総額÷労働日数×60/100)は適用される(第1項ただし書第1号・第2号)。「適用されない」が誤り。
  • オ(正): 雇入後3か月に満たない者は、雇入後の期間で算定する(第12条第6項)。

【平均賃金の立法趣旨と「暦日数割り」の理由】

平均賃金(労基法第12条)は、解雇予告手当(第20条)・休業手当(第26条)・年次有給休暇の賃金(第39条第9項)・災害補償(第76条等)・制裁減給の限度額(第91条)など、条文各所で参照される基準額です。「暦日数で割る」方式の理由は、労働者が通常どおり稼いでいたとすれば得られたはずの日当たりの稼得能力を、就業日数ではなく生活日数(暦日数)の概念で捉えるためです。社労士試験では「暦日数か労働日数か」という選択肢が頻出であり、原則は暦日数・最低保障額の分母が労働日数という二項対立を正確に覚えることが合格への近道です。

【最低保障額の設計ロジックと60/100の意味】

最低保障額(60%)の式は「賃金総額 ÷ 労働日数 × 60/100」です。最低保障が発動するのは、対象期間の労働日数が少なく(欠勤・短期雇用等)、暦日数で割った原則額が実態賃金より大幅に低くなるケースです。

【算定期間の除外事由の詳細と実務上の落とし穴】

除外事由(第12条第3項)は単に期間を除くだけでなく、その期間に対応する賃金も同時に総額から除外します。試験上の注意点は次のとおりです。

1. 「使用者の責めに帰すべき事由による休業」: 労基法第26条の休業手当(平均賃金の60%)の支払いが発生する状況(工場設備の故障・事業縮小等)。この休業期間とその間に支払われた休業手当は平均賃金算定から除外されます(実際の休業手当が「60%」なので、その期間を含めて平均賃金を算定すると平均賃金が低く計算されてしまうため除外)。

2. 育児・介護休業期間の除外: 育介法に基づく育休・介護休業期間中の賃金(育休給付金は「賃金」ではなく保険給付であるため算定に不影響)を除外する。給付金を受け取った事実は平均賃金算定に関係しない。

3. 試用期間: 「試みの使用期間」(第3項第5号)も、その日数と期間中の賃金を控除する。

【「出来高払制が一部含まれる場合」(第1項ただし書第2号)の実務適用】

月給制の労働者に出来高払の歩合給が加算される「混合制」の場合、第1項ただし書第2号が適用されます。「月給部分の総額÷総日数」と「出来高払部分の総額÷労働日数×60/100(第1号の額)」の合算額が最低保障額となります。試験では「出来高払部分にも最低保障が適用されるか」という論点が頻出であり、適用される(第1項ただし書第1号・第2号)が正解です。なお第4項は、臨時に支払われた賃金・3か月を超える期間ごとに支払われる賃金等を賃金総額に算入しないとする規定です。

【上位資格・実務への接続:平均賃金と各種手当計算の連鎖】

社労士の実務では、解雇予告手当の算定(第20条)・年次有給休暇の賃金(第39条第9項による「平均賃金」か「通常の賃金」か「健康保険の標準報酬月額の30分の1相当額」かの選択)・割増賃金の算定基礎との違い(割増賃金の基礎は「通常の賃金」)の区別が重要です。特に解雇紛争では解雇予告手当額の正確な計算が求められ、解雇予告手当の不足は第20条違反となり得ます(第119条第1号:6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)。

根拠: 労働基準法第12条(平均賃金)第1項(ただし書第1号・第2号)・第3項・第4項・第6項、同法第20条・第26条・第39条第9項・第76条・第91条。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第12条(平均賃金) 数値根拠: 60/100(最低保障率)は労基法第12条第1項ただし書第1号の条文値のため 60% として参照(60%)。3か月・暦日数・労働日数はいずれも条文値。 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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