社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 労働基準法 問8|年次有給休暇の計画的付与

問題

社労士 | 労働基準法 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

年次有給休暇の計画的付与(労使協定による付与時季の計画指定)に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はイ(正しい記述)です。

計画的付与では、労働者が自由に使える年次有給休暇として少なくとも5日分は本人の自由裁量に残しておかなければなりません(労基法第39条第6項)。つまり計画的付与で指定できるのは「付与日数から5日を引いた超過分」のみです。例えば10日付与された労働者については最大5日まで計画的付与が可能ですが、5日付与された労働者については5日超える部分がゼロなので計画的付与の対象にできません。

アは誤りで、計画的付与の労使協定は届出不要です(就業規則への明記は必要)。ウは誤りで、個人別付与も認められています(一斉付与・交替制付与・計画表による個人別付与の3方式が厚生労働省の案内で示されています)。エは誤りで、一斉の休業日に年休の残日数がない労働者には、有給の特別休暇とするか、休業手当(平均賃金の60%以上)を支払う等の措置が必要です(厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」)。オは誤りで、労使協定で時季を定めた5日超の部分は、労働者の請求する時季に与える原則(第39条第5項)にかかわらず、協定の定めにより与えることができます(第39条第6項)。

計画的付与の仕組みと要件(労基法第39条第6項):

項目内容
根拠条文労基法第39条第6項
要件事業場の過半数組合または過半数代表者との書面による労使協定
届出不要(就業規則への記載は必要)
対象日数付与日数から5日を控除した残日数(5日超の部分のみ)
付与方式一斉付与・班別交替制付与・個人別付与(3方式とも可)
労働者の時季指定協定で定めた部分は、第39条第5項(請求する時季に与える)にかかわらず協定の定めによる
残日数ゼロの場合一斉の休業日を有給の特別休暇とする、または休業手当(平均賃金の60%以上)を支払う等の措置(厚生労働省ポータルサイト)

使用者に義務付けられている年5日の年次有給休暇取得(第39条第7項)との関係:

2019年4月施行の改正で、使用者は年10日以上の年休を付与される労働者について年5日の取得を確実に実施させる義務(第39条第7項)が課されました。計画的付与で与えた日数は、使用者が時季を指定しなければならない5日から差し引かれます(第39条第8項)。

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 計画的付与の労使協定は届出不要(第39条第6項に届出の定めがなく、厚生労働省も「所轄の労働基準監督署に届け出る必要はありません」と案内)。36協定・時間外協定等と異なり、届出義務がないことが頻出の誤りポイント。就業規則への記載(第89条)は必要。
  • イ(正): 5日は常に労働者の自由選択に残す必要がある(第39条第6項)。5日を超える部分のみが計画的付与の対象。
  • ウ(誤): 個人別付与も認められる。厚生労働省は一斉付与方式・交替制付与方式・個人別付与方式の3つを示している(働き方・休み方改善ポータルサイト)。
  • エ(誤): 一斉の休業日に年休の残日数がない労働者については、有給の特別休暇とする、または休業手当として平均賃金の60%以上を支払う等の措置が必要。「措置を講じる必要はない」は誤り。
  • オ(誤): 協定で時季を定めた5日超の部分は、第39条第5項(労働者の請求する時季に与える)にかかわらず、協定の定めにより与えることができる(第39条第6項)。「協定の定めにかかわらず自ら請求する時季に取得できる」は誤り。

【計画的付与制度の立法経緯と「5日」の意味】

計画的付与制度(労基法第39条第6項)は、年次有給休暇の取得率の低さを背景に、年休の取得促進策として「労使合意で計画的に指定することで取得を促進する」制度が設けられました。「5日は労働者の自由裁量に残す」という設計は、突発的な傷病・私用・慶弔等に備えた最低限の自由裁量を保障するためです。社労士試験ではこの「5日超の部分のみ」が最頻出の論点であり、例外的に5日以下しか付与されていない労働者には計画的付与の対象部分がゼロになることに注意が必要です。

【2019年改正との複合論点:年5日取得義務(第39条第7項)との調整】

2019年4月(平成31年4月1日・中小企業含む同日施行)に追加された「使用者による年5日取得義務」(第39条第7項)は、年10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者を対象とします。この義務と計画的付与を組み合わせる場合の実務ポイント:

1. 計画的付与で取得させた日数は年5日取得義務の充当分として計上できる。

2. 計画的付与の日数が年5日に達しない場合は、残りを個別指定・個別調整で取得させる義務が残る。

3. 年10日未満の付与者(例:勤続0.5年の比例付与・週3日以下の短時間労働者の一部)は年5日義務の対象外だが、計画的付与も5日超部分がなければ対象外であることが多い。

「計画的付与の5日超部分」と「年5日取得義務」(第39条第8項により、計画的付与で与えた日数分は使用者の時季指定が不要)の両制度の運用を場面別に整理しておくことが重要です。

【3方式の実務比較:一斉・班別・個人別の違いとコスト】

方式概要事務コスト適した業種
一斉付与事業場全体で同一日に一斉取得(例:夏期・年末年始一斉閉鎖)低(画一的)製造業・店舗業
班別交替制部門・班ごとに異なる日を指定(交替で工場を稼働しながら付与)中交替制勤務のある製造業・輸送業
個人別付与個々の希望を踏まえた年休計画表を労使合意で作成高(個別管理)オフィス系・サービス業(希望制)

実務上は一斉付与が最も簡便ですが、顧客対応が必要な業種では全員同時休業が困難なため班別・個人別が選択されます。社労士はクライアントの業種・体制に合わせた方式の選択を助言する実務スキルが求められます。

【就業規則との関係と不利益変更の問題】

計画的付与を新たに導入する際は、就業規則に記載することが必要です(第89条第1号)。既存の就業規則に計画的付与の定めがない場合に新たに導入するときは、就業規則による労働条件の不利益変更(労働契約法第9条・第10条の合理性と周知)の問題が生じる場合があります。具体的には「以前は自由に休めた日を指定日にされた」という労働者の不満に対して、「年休取得促進という合理的目的がある」として合理性を説明することが使用者側の実務対応です。特定社労士はこの説明のサポートや就業規則の起案が主な業務領域となります。

根拠: 労働基準法第39条第6項(計画的付与)・第7項(年5日強制取得)・第89条(就業規則)、厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」年次有給休暇の計画的付与制度(導入に必要な手続き)。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第39条第6項(計画的付与)、同条第5項(使用者の時季変更権) 数値根拠: 5日は条文値(労基法第39条第6項)のため直書き可。 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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