社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 労働基準法 問9|賃金請求権の消滅時効

問題

社労士 | 労働基準法 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

労働基準法における賃金等の請求権の消滅時効に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ

タップするとすぐ答え合わせ

答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)

解説

正答はオ(正しい記述)です。

労働基準法は私法の最低基準を定める強行法規であり、賃金請求権の消滅時効(3年・当分の間の経過措置)を当事者の合意や就業規則によって短縮することは認められません。労基法の規定よりも労働者に不利な特約は無効です(第13条)。

アは誤りで、2020年改正前の賃金請求権(退職手当を除く)の時効は2年でした(旧115条)。退職手当の5年は正しい。イは誤りで、当分の間3年とされたのは退職手当を除く賃金の請求権です。退職手当の請求権は5年のままです(附則第143条第3項)。ウは誤りで、改正後の時効は施行日以後に支払期日が到来する賃金に適用され、遡及適用はされません。エは誤りで、催告は時効の完成を6か月間猶予するだけで、更新の効果はありません(民法第150条)。時効が更新されるのは、使用者が債務を承認した場合などです(民法第152条)。

賃金請求権の消滅時効の変遷と現行制度(令和8年度試験重要):

区分改正前(〜2020年3月31日)改正後(2020年4月1日〜)・原則当分の間(経過措置)
退職手当以外の賃金2年5年3年
退職手当5年5年(変更なし)変更なし
災害補償その他の請求権(賃金を除く)2年変更なし(2年・第115条後段)—

「当分の間3年」の法的根拠と適用範囲:

  • 根拠: 労基法附則第143条第3項(2020年改正時に追加)。退職手当は5年、退職手当を除く賃金は当分の間3年と読み替える
  • 適用: 2020年4月1日以後に支払期日が到来する賃金の請求権に適用。それ以前の支払期日の賃金は旧法(2年)が適用。
  • 「当分の間」の意味: 経過措置の終期は法律上定められていない。

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 2020年改正前の賃金請求権(退職手当除く)の時効は2年(旧第115条)であり、1年ではない。退職手当の5年は正しい。
  • イ(誤): 附則第143条第3項は、退職手当の請求権を5年、退職手当を除く賃金の請求権を3年と読み替える。経過措置は退職手当には適用されない。
  • ウ(誤): 経過措置は遡及適用なし。施行日前に支払期日が到来した賃金は旧法(2年)が適用。
  • エ(誤): 催告は、その時から6か月を経過するまで時効の完成を猶予するだけで(民法第150条第1項)、更新の効果はない。更新は、債務の承認(民法第152条)や確定判決等による。
  • オ(正): 強行法規性(第13条)により、当事者の合意・就業規則への記載で時効を短縮することは不可。使用者に有利な方向での変更は無効。

【2020年改正の立法背景:民法改正との連動と社会的意義】

2020年4月1日施行の労基法改正は、2020年4月1日に同時施行された民法改正(債権の消滅時効の原則5年化・第166条)との整合を図るためのものです。民法改正前の労基法上の賃金請求権の時効(旧2年)は、民法の一般時効(旧10年)を大幅に短縮した「短期特則」でしたが、民法改正で一般債権も5年に短縮されたため、労基法の2年はむしろ労働者を保護しない方向となりました。

立法上は「未払い賃金の請求可能期間を長くすること=労働者保護の充実」として評価されますが、実務上は使用者側に対して「過去3年分の未払い残業代を請求されるリスク」という重大な影響をもたらします。社労士は使用者からの「残業代の遡及請求リスクを下げたい」という相談に対して、適法な方法(タイムカードの正確な管理・固定残業代の設計・裁量労働制の導入等)を提案する実務を担います。

【「当分の間」の法的性格と将来の5年化】

附則第143条第3項は「当分の間」の読替え規定であり、3年から5年への移行時期は法律上定められていません。現時点では「退職手当を除く賃金は当分の間3年」が正しい出題対象です。

なお、記録保存義務(労基法第109条)については改正と同時に5年保存(当分の間3年)に引き上げられており、これは未払い賃金を3年遡及請求される場合に備えた証拠書類の保存のためです。

【強行法規性(第13条)と不利益変更の禁止】

労基法の強行法規性(第13条)は「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効」とし、無効となった部分は労基法の定める基準が自動的に補充されます。消滅時効の短縮が禁止される論理は次のとおりです:

1. 時効を短縮する特約(例:「賃金の時効は1年」という就業規則の定め)は労働者に不利な条件であるため第13条で無効。

2. 当事者の合意による短縮も同様に無効(合意がある場合でも追認されない)。

3. ただし、延長(例:「賃金の時効は10年」)は労働者に有利なため、理論上は有効だが実務上は採用されない。

【実務での重要論点:残業代請求の遡及期間と証拠保全】

特定社労士の実務では、未払い残業代を巡る労使トラブルで次の計算が重要です。

  • 令和8年度(2026年)時点で請求できる遡及期間: 最大3年前(2023年春頃まで)の支払期日の賃金
  • 証拠書類(タイムカード・賃金台帳・就業規則)は3年保存義務(附則・経過措置)だが、記録がなければ労働者の陳述・SNS・業務メール等が証拠として提出される
  • 労働審判・仮処分・民事訴訟(各種手続の組み合わせ)での主戦場は未払い残業代の立証

社労士は使用者代理人として是正指導前に自主的な給与計算の見直し・未払い残業代の自主払いを勧告する「予防的顧問機能」が重要視されており、特に3年の遡及期間内での内部調査・対処が使用者保護の実務核心です。

根拠: 労働基準法第115条(消滅時効)、同法附則第143条(当分の間の経過措置)、同法第13条(強行法規性)、同法第109条(記録保存義務)、民法第166条(債権の消滅時効・2020年改正後)。確認日2026-04-10・一次ソース: 厚労省「賃金請求権の消滅時効期間の延長」https://www.mhlw.go.jp/content/000617974.pdf

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第115条(消滅時効)、同法附則第143条第3項(経過措置・退職手当以外の賃金は当分の間3年)、同法第13条、民法第150条・第152条(催告による完成猶予・承認による更新) 数値: 賃金請求権の消滅時効は原則5年5年、経過措置により当分の間3年3年(令和8年4月10日時点) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

この問題の関連トピック

  • 賃金請求権の消滅時効(5年・当分の間3年・経過措置
  • 頻出度A

関連する問題

ページの先頭へ