問題
労働者災害補償保険法における二次健康診断等給付に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はイ(誤っている記述)です。
イは「一次健康診断を受けた日から6か月以内に請求しなければならない」としていますが、正確には「一次健康診断を受けた日から3か月以内」に請求する必要があります(労災則第18条の19第4項)。「6か月以内」ではなく「3か月以内」が正しい数値であり、ここがイの誤りです。天災その他請求をしなかったことについてやむを得ない理由があるときは例外的に3か月を過ぎても請求できます(同項ただし書)。
アは正しく、血圧・血中脂質・血糖・腹囲又はBMIのいずれの項目にも異常の所見が必要です(1項目でも正常ならば給付対象外。労災則第18条の16第1項)。ウは正しく、二次健診と特定保健指導の2種類があります。エは正しく、同一年度内1回に限られます。オは正しく、既に疾病の症状がある場合は対象外です。
二次健康診断等給付の支給要件(全て満たす必要あり):
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ① 一次健診で4項目全て異常所見 | 血圧の測定・血中脂質検査・血糖検査・腹囲の検査又はBMIの測定(労災則第18条の16第1項) |
| ② 既に脳心臓疾患の症状なし | 脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる者は対象外(法第26条第1項) |
二次健康診断等給付の2種類:
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 二次健康診断 | 脳血管・心臓の状態の精密検査(空腹時血糖検査、頸部超音波検査等) |
| 特定保健指導 | 二次健診の結果に基づく医師又は保健師による面接指導(二次健診ごとに1回。法第26条第2項第2号) |
誤肢イの詳細:
労災則第18条の19第4項により、二次健康診断等給付の請求は「一次健康診断を受けた日から3か月以内」に行わなければなりません。問題のイは「6か月以内」と記述しているため数値誤り(正解は3か月以内)です。なお、天災その他請求をしなかったことについてやむを得ない理由があるときは3か月経過後の請求も認められます(同項ただし書)。
同一年度1回制限(エ):
「年度」は4月1日から翌年3月31日まで。同じ年度内に複数回一次健診を受けても、二次健診等給付は年度内1回のみです。
【二次健康診断等給付の制度創設背景:過重労働による脳心臓疾患死亡の予防】
二次健康診断等給付は2001年(平成13年)の法改正で創設されました。背景には「過労死」(過重労働に起因する脳・心臓疾患による死亡)問題の深刻化があります。当時、業務上の脳心臓疾患(脳梗塞・心筋梗塞等)による死亡・重篤な後遺障害の請求件数が急増しており、発症後に治療・補償を行うよりも「発症前の予防段階で介入する」ための制度として設計されました。
【4項目全部異常が必要な理由:複合リスクの閾値設定】
血圧・血中脂質・血糖・腹囲又はBMIの4項目は、脳心臓疾患の発症リスクが「複合的に高まる」指標として選定されています。1項目でも正常値であれば、現時点では総合的な発症リスクが一定程度以下とみなされ、給付対象外となります。これは医学的エビデンスと給付の持続可能性のバランスから設定された閾値です。なお、4項目中何項目が異常でも「一次健診」の範囲内で対応する保健指導(事業者の努力義務:労安法第66条の7第1項)と、この「二次健診等給付」は制度的に別物です。
【「既に症状を有する場合」の排除理由(オ)と労安法との関係】
既に脳血管・心臓疾患の症状がある場合は、二次健康診断等給付ではなく、通常の療養補償給付(業務上認定されれば)または健康保険の対象として対応されます。二次健康診断等給付はあくまで「発症前の予防的介入」であり、既発症後の治療には別の給付制度が対応するという役割分担が明確です。
【請求期限「3か月」と「時効2年」の関係:二重期間制限の設計】
法第42条の時効(2年)と労災則第18条の19第4項の「3か月以内の請求」は、異なる法的性格を持ちます。時効は請求権の消滅に関する一般規定ですが、「3か月以内」は二次健康診断等給付特有の請求期間であり、一次健診を受けた日から3か月を超えた請求は、天災その他やむを得ない理由があるとき(同項ただし書)を除き認められないという厳格な設計です。起算点は「結果の通知を受けた日」ではなく「受けた日」である点も要注意です。立法趣旨は「発症前の早期介入」のため、一次健診直後の迅速な請求を促す政策的判断です。
【特定保健指導の位置づけと社労士の関与】
特定保健指導は二次健康診断の結果を踏まえ、医師又は保健師が面接により行う指導で、二次健康診断ごとに1回に限られます(法第26条第2項第2号)。社労士実務では、「二次健診等給付が使えることを労働者が知らない」ケースが多く、企業の健康診断実施後に「4項目全部異常なら二次健診等給付がある」と労働者に告知するアドバイスが実務貢献の一つです。産業医・産業保健サービスとの連携も重要です。
根拠: 労働者災害補償保険法第26条〜第27条、同法施行規則第18条の16・第18条の19。厚生労働省「二次健康診断等給付のご案内」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/kensin.html(確認日2026-04-10)。
- 労働者災害補償保険法第26条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働者災害補償保険法第26条〜第27条(二次健康診断等給付)、同法施行規則第18条の16(検査項目)・第18条の19第4項(一次健康診断を受けた日から3か月以内の請求) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

