社労士 労働者災害補償保険法 問14:労働者災害補償保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
労働者災害補償保険法における社会復帰促進等事業に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア社会復帰促進等事業は「社会復帰促進事業」「被災労働者等援護事業」「安全衛生確保・賃金支払確保事業」の3種類に区分されており、これらはすべて政府が直接実施しなければならない。
- イ労災病院(独立行政法人労働者健康安全機構が運営)の設置・運営は「社会復帰促進事業」に含まれるが、その費用は労災保険料ではなく一般会計から支出される。
- ウ義肢その他の補装具の支給、被災労働者の療養生活の援護、被災労働者の遺族への就学援護等は「被災労働者等援護事業」に含まれる。正答
- エ未払賃金の立替払事業(賃金の支払の確保等に関する法律に基づく)は、労働者災害補償保険法上の社会復帰促進等事業には含まれない。
- オ社会復帰促進等事業の費用は、労働保険特別会計から支出されるため、雇用保険料も財源の一部として使用される。
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正答はウです。
社会復帰促進等事業のうち「被災労働者等援護事業」には、義肢・補装具の支給、療養生活の援護、遺族への就学援護等が含まれており、ウの記述は正しいです。
アは誤りで、3種類の区分は正しいですが、政府が直接実施することが義務ではなく、独立行政法人等に委託・委任することができます。イは誤りで、労災病院の設置・運営費用は労災保険料(労働保険特別会計)から支出されます(一般会計ではありません)。エは誤りで、未払賃金の立替払事業は「安全衛生確保・賃金支払確保事業」として社会復帰促進等事業に含まれます。オは誤りで、社会復帰促進等事業の費用は労災保険料のみが財源であり、雇用保険料は使用されません(労働保険特別会計の中でも別勘定)。
社会復帰促進等事業の3区分(法第29条):
| 区分 | 主な内容 | 主な担当機関 |
|---|---|---|
| ① 社会復帰促進事業 | 労災病院の設置・運営、義肢等の支給・補装具 | 独立行政法人労働者健康安全機構(JOHAS) |
| ② 被災労働者等援護事業 | 療養生活の援護、休業補償補完、遺族への就学援護、被災労働者の社会復帰援護給付 | 厚生労働省・都道府県労働局 |
| ③ 安全衛生確保・賃金支払確保事業 | 安全衛生指導・教育、未払賃金立替払、快適職場形成 | 労働者健康安全機構・各機関 |
各選択肢の精査:
- ア(誤): 「すべて政府が直接実施」は誤り。法第29条第2項で政府が自ら行い、または独立行政法人・都道府県等に委託・委任できる。JOHAS(労働者健康安全機構)は厚労省が設立した独立行政法人で、労災病院・産業保健総合支援センター等を運営。
- イ(誤): 労災病院費用の財源は労働保険特別会計(労災保険料)。一般会計ではない。
- ウ(正): 義肢・補装具・遺族就学援護はいずれも被災労働者等援護事業の典型例。正しい。
- エ(誤): 未払賃金立替払は「安全衛生確保・賃金支払確保事業」として明確に社会復帰促進等事業に含まれる。
- オ(誤): 労働保険特別会計は「労災保険勘定」「雇用保険勘定」「徴収勘定」の3勘定に分かれ、社会復帰促進等事業の費用は労災保険勘定から支出。雇用保険勘定とは財源が厳格に区分されている。
【社会復帰促進等事業の立法趣旨:保険給付を超えた総合的支援】
労災保険の保険給付(療養補償・休業補償等)は発生した損害への金銭補填が主目的です。これに対し、社会復帰促進等事業は被災労働者が「職場・社会に復帰する」という長期的・総合的支援を目的としています。義肢の支給・職業訓練・遺族への就学援護等は、保険給付では直接補填できない「生活再建」の領域をカバーします。
【独立行政法人労働者健康安全機構(JOHAS)の役割】
JOHASは厚生労働省が2016年に設立した独立行政法人で、①労災病院(全国33病院)の運営、②産業保健総合支援センターの運営(都道府県ごと)、③石綿(アスベスト)健康被害予防、④中小企業向け職場環境改善支援、⑤作業環境測定・労働安全衛生調査等を担います。「労災病院」という名称が「医師のいる監督署」と混同されることが試験では注意点です。
【未払賃金立替払事業の仕組み(エの詳細)】
「賃金の支払の確保等に関する法律」(賃確法)に基づき、事業主が倒産して賃金が支払われなかった場合、独立行政法人労働者健康安全機構が立替払を行います。立替払の上限は退職日前6か月分の未払賃金の80%(年齢により上限額あり)。この事業は社会復帰促進等事業の「安全衛生確保・賃金支払確保事業」として位置づけられており、財源は労災保険料です(ただし国庫補助もあり)。社労士実務では、取引先が倒産した際に「従業員の未払賃金立替払の手続き支援」を行うことがあり、企業法務との接点となる領域です。
【労働保険特別会計の3勘定構造と財源の厳格区分】
労働保険料は労働保険特別会計に収納され、①労災保険勘定(労災保険料のみ)、②雇用保険勘定(雇用保険料+国庫負担)、③徴収勘定(収納・管理事務費)に区分管理されます。社会復帰促進等事業は労災保険勘定のみから支出され、雇用保険勘定は使用できません。オが誤りである根拠です。この財源の厳格区分は、「労災保険料と雇用保険料の使途を明確にする」という保険原理の基本です。
【被災労働者等援護事業の具体的内容(上級試験向け)】
- 労災就学援護費:被災労働者の遺族子弟が学校(小学校〜大学等)に在籍する場合の学習費用補助
- 労災就労保育援護費:被災労働者の子が保育所等に在籍する場合の保育費用補助
- 未払賃金への特別支給(賃確法立替払と別個):業務上事故で事業主が保険給付に相当する補償をできない場合の特別支給
- 社会復帰促進給付:義肢・補装具・失語症向けの言語聴覚療法等
社労士は被災労働者本人や遺族から「何の給付が受けられるか」という相談に対し、保険給付(療養・休業・障害・遺族)と社会復帰促進等事業の援護給付の両方を把握した上でワンストップ支援を行うことが求められます。
根拠: 労働者災害補償保険法第29条〜第30条、独立行政法人労働者健康安全機構法、賃金の支払の確保等に関する法律。厚生労働省「労災保険 社会復帰促進等事業」(確認日2026-04-10)。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働者災害補償保険法第29条〜第30条(社会復帰促進等事業)、独立行政法人労働者健康安全機構法 <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): ウ「義肢・補装具の支給・療養生活援護・遺族就学援護=被災労働者等援護事業」は法第29条第1項第2号と整合。労災病院費用は労働保険特別会計の労災勘定(保険料)から支出される(一般会計でない)点もイの誤りと整合。社会復帰促進等事業の財源は労災保険勘定のみで雇用保険料は使用されない(オの誤り)も法第30条と整合。正答ウで一意性確保。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。