問題
労働者災害補償保険法第29条に規定する社会復帰促進等事業に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はイ(誤っている記述)です。
第29条第1項第3号は「保険給付の適切な実施の確保並びに賃金の支払の確保を図るために必要な事業」を掲げています。未払賃金立替払事業(賃金の支払の確保等に関する法律第7条)は、この3号にあたる社会復帰促進等事業として、独立行政法人労働者健康安全機構が行っています(労災法29条3項・機構法12条1項6号)。「いずれにも該当せず含まれない」とするイは誤りです。
ア・ウ・エ・オは29条の文言どおりで正しい記述です。29条1項は1号(社会復帰促進事業)・2号(被災労働者等援護事業)・3号(安全衛生確保・賃金支払確保事業)の3つの号で構成され、2項で実施基準は省令に委任、3項で独立行政法人労働者健康安全機構への実施委任を定めています。
第29条の構造(3区分):
| 号 | 内容 |
|---|---|
| 1号 | 療養・リハビリテーションに関する施設の設置及び運営その他被災労働者の円滑な社会復帰を促進するために必要な事業 |
| 2号 | 被災労働者の療養生活の援護、被災労働者の受ける介護の援護、その遺族の就学の援護、被災労働者及びその遺族が必要とする資金の貸付けによる援護その他被災労働者及びその遺族の援護を図るために必要な事業 |
| 3号 | 業務災害の防止に関する活動に対する援助、健康診断に関する施設の設置及び運営その他労働者の安全及び衛生の確保、保険給付の適切な実施の確保並びに賃金の支払の確保を図るために必要な事業 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 3区分(1号〜3号)と、実施基準は厚生労働省令で定める旨(29条2項)はいずれも条文どおり。
- イ(誤・正答): 未払賃金立替払事業は「賃金の支払の確保」(3号)にあたる社会復帰促進等事業。29条3項が機構に行わせるとする「機構法12条1項に掲げるもの」には、同項6号の「賃金の支払の確保等に関する法律第三章に規定する事業」(=立替払事業)が入っている。「いずれにも該当しない」は誤り。
- ウ(正): 2号の列挙(療養生活の援護・介護の援護・遺族の就学の援護・資金の貸付けによる援護)そのもの。
- エ(正): 29条3項「独立行政法人労働者健康安全機構法第十二条第一項に掲げるものを、独立行政法人労働者健康安全機構に行わせるものとする」のとおり。
- オ(正): 3号の列挙(業務災害の防止に関する活動への援助・健康診断に関する施設の設置及び運営)そのもの。
【立替払事業が社会復帰促進等事業だと条文から読める筋道】
第29条第1項第3号は「労働者の安全及び衛生の確保、保険給付の適切な実施の確保並びに賃金の支払の確保」という3つの目的を一つの号にまとめています。立替払事業そのものを定めるのは賃金の支払の確保等に関する法律第7条(事業主が破産手続開始の決定を受けた場合等に、退職した労働者の未払賃金の一部を政府が事業主に代わって弁済する)ですが、同条には「社会復帰促進等事業」という語は出てきません。つながりは次の2つの条文で確かめられます。①労災法29条3項は、社会復帰促進等事業のうち「独立行政法人労働者健康安全機構法第十二条第一項に掲げるもの」を機構に行わせると定める。②機構法12条1項6号は、機構の業務として「賃金の支払の確保等に関する法律第三章に規定する事業」(第三章=未払賃金の立替払事業)を掲げる。したがって立替払事業は、29条1項3号の「賃金の支払の確保」にあたる社会復帰促進等事業として機構が実施しているものであり、イの「いずれにも該当せず含まれない」は誤りです。
【1号と2号の切り分け:「施設の設置・運営」と「個人への援護」】
1号は療養・リハビリ施設の設置及び運営など、主に施設・体制の整備を通じた社会復帰の促進を内容とし、2号は被災労働者や遺族への療養生活の援護・介護の援護・就学の援護・資金の貸付けなど、個々の被災労働者・遺族に対する具体的な援護給付を内容とします。設問イのように「立替払は社会復帰促進等事業に含まれない」と誤読すると、3号の「賃金の支払の確保」という文言を見落とすことになります。
【実施基準の委任と機構への実施委任の区別(2項・3項)】
29条2項は「前項各号に掲げる事業の実施に関して必要な基準は、厚生労働省令で定める。」と定め、実施の細目を省令に委任しています。3項は、そのうち独立行政法人労働者健康安全機構法第12条第1項に掲げるものについて、政府自らではなく独立行政法人労働者健康安全機構に行わせるものとする、という実施主体の定めです。2項(基準の委任先)と3項(実施主体の指定)は別の事項を定めており、混同しないことが重要です。
【中小事業主等の特別加入と29条の関係(他問への接続)】
第34条第1項第4号は、中小事業主等の第一種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じた事故については、政府が保険給付の全部又は一部を行わないことができると定めています。これは29条の社会復帰促進等事業そのものではなく保険給付本体の制限規定ですが、特別加入制度全体の理解のために29条とあわせて押さえておくべき条文です(別問で扱います)。
根拠: 労働者災害補償保険法第29条・第34条第1項第4号、独立行政法人労働者健康安全機構法第12条第1項第6号、賃金の支払の確保等に関する法律第7条(e-Gov 法令API v2・2026-09-30時点の現行条文で全文確認)。
- 労働者災害補償保険法第29条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働者災害補償保険法第29条、独立行政法人労働者健康安全機構法第12条第1項第6号、賃金の支払の確保等に関する法律第7条 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

