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法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 労働者災害補償保険法 問18|複数事業労働者の保険給付

問題

社労士 | 労働者災害補償保険法 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

労働者災害補償保険法における複数事業労働者に対する保険給付に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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正解は エ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はエです。

複数事業労働者(2社以上で働いている労働者)に業務上災害が発生した場合、給付基礎日額はすべての事業の賃金を合算して算定されます。たとえA社での業務上の負傷(単一事業の業務災害)であっても、その労働者がB社でも働いているなら、給付基礎日額にはA社とB社両方の賃金が合算されます(エが正しい)。

アは誤りで、「主たる事業」の保険だけから給付する仕組みはなく、給付基礎日額も全事業の賃金を合算して算定します。ウは誤りで、高い方だけでなく合算します。イは誤りで、複数業務要因災害に関する保険給付には、療養・休業のほか障害・遺族・葬祭・傷病年金・介護の給付があります(第20条の2)。死亡した場合の複数事業労働者遺族給付も設けられています。オは誤りで、複数業務要因災害制度は2020年9月1日施行の新制度です。

複数事業労働者関連の制度(2020年9月1日施行・法改正):

2020年9月の法改正で以下の制度が新設されました:

制度内容
複数業務要因災害複数事業の業務上の負荷(労働時間やストレス等)を総合的に評価して労災認定する制度(第7条第1項第2号。対象は脳・心臓疾患や精神障害など)
給付基礎日額の合算複数事業労働者の業務災害・複数業務要因災害・通勤災害の保険給付で、事業ごとに算定した給付基礎日額を合算した額を基礎とする(第8条第3項)

エが正答である根拠(最重要論点):

法改正前は、単一事業の業務災害であっても、他事業の賃金は給付基礎日額に含まれませんでした。改正後は、単一事業での業務上災害でも複数業務要因災害でも、その労働者が複数事業に雇用されていれば全事業の賃金を合算して給付基礎日額を算定します。A社での業務上負傷であってもB社の賃金も算入される(エ)。複数就業先の賃金に見合った補償にするための改正です。なお「複数事業労働者」は、傷病等の原因・要因となる事由が生じた時点で、事業主が同一でない二以上の事業に同時に使用されていた労働者をいいます(第7条第1項第2号・施行規則第5条)。

各選択肢の精査:

  • ア(誤): 主たる事業のみから給付するわけではない。給付基礎日額は全事業合算。
  • イ(誤): 複数業務要因災害に関する保険給付は、複数事業労働者療養給付・休業給付・障害給付・遺族給付・葬祭給付・傷病年金・介護給付の7種類(第20条の2)。遺族給付がないとするのは誤り。なお複数業務要因災害とは、一の事業の業務上の負荷のみでは業務上と認められないが、複数の事業の業務上の負荷を総合的に評価して認められるものをいう。
  • ウ(誤): 「いずれか高い方」ではなく全事業の賃金を合算。
  • エ(正): 単一事業の業務災害でも給付基礎日額は全事業合算。
  • オ(誤): 2020年9月1日施行の全くの新制度。それ以前には制度として存在しなかった。

【複数事業労働者制度創設の背景:副業・兼業の法的保護の空白】

副業・兼業が広がる中で、従来の労災保険制度は「一の事業での業務災害については、その事業の賃金のみで給付基礎日額を算定する」構造でした。副業先の賃金が高い労働者が本業で被災すると、給付が実際の稼得水準を大きく下回るという問題がありました。令和2年法律第14号(2020年9月1日施行)は、給付基礎日額の合算(第8条第3項)と複数業務要因災害(第7条第1項第2号)を設けてこの空白を埋めました。

【「複数業務要因災害」の実務的意義:過重労働・精神障害認定への影響】

複数業務要因災害は、複数の事業場の業務上の負荷(労働時間やストレス等)を総合的に評価して労災と認定できるかを判断するもので、対象は脳・心臓疾患や精神障害などです(厚生労働省「労災保険給付の概要」)。例えばA社・B社のどちらか一方の労働時間だけでは認定基準の目安に届かなくても、両社の業務上の負荷を総合評価して認定されうることになりました。なお、1つの事業場の業務上の負荷だけで業務上と認められる場合は、これまでどおり業務災害として認定されます(同)。

【給付基礎日額合算の計算方法】

複数事業労働者の給付基礎日額は、各事業ごとに第8条第1項・第2項により算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額を基礎として、厚生労働省令で定めるところにより政府が算定する額です(第8条第3項)。考え方としては:

1. A社の直近3か月の賃金合計 ÷ 暦日数 = A社の給付基礎日額

2. B社の直近3か月の賃金合計 ÷ 暦日数 = B社の給付基礎日額

3. A社+B社 = 合算後の給付基礎日額

この合算後の日額が、休業・障害・遺族等の給付基礎日額を用いる保険給付の基礎となります(ボーナス特別支給金の算定基礎日額も、原則として複数就業先の算定基礎年額を合算して算定されます)。

【複数事業労働者に当たらない例】

厚生労働省の説明では、労働者として就業しつつ、同時に労働者以外の働き方で就業している者は複数事業労働者に該当せず、転職等で複数の事業場に同時に使用されていない者も該当しません(「労災保険給付の概要」)。「同時に使用されていた」(施行規則第5条)かどうかが判断の軸です。

【社労士実務:複数事業労働者対応の実務的課題】

複数事業労働者の労災請求では、他の就業先の賃金や労働時間の資料も必要になります。事業主の側では、従業員の副業・兼業の状況を把握する社内ルール(届出の方法など)を就業規則で整えておくことが、請求の際の事業主証明や資料の提出を円滑にします。複数業務要因災害の請求では、複数事業の労働時間・業務上の負荷を示す資料を集めることが中心になります(社労士は請求を代理できる:社労士法第2条第1項第1号の3)。

根拠: 労働者災害補償保険法第7条第1項・第8条第3項・第20条の2〜第20条の9(令和2年法律第14号・2020年9月1日施行)、同法施行規則第5条。厚生労働省「労災保険給付の概要」(R8.7)「複数業務要因災害について」「給付基礎日額とは」「算定基礎日額とは」(確認日2026-09-30)。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働者災害補償保険法第7条第1項第2号(複数業務要因災害)、第8条第3項(給付基礎日額の合算)、第20条の2〜第20条の9(複数業務要因災害の保険給付)(令和2年法律第14号・2020年9月1日施行)、同法施行規則第5条(複数事業労働者に類する者) 数値: 本問は制度の構造と条文の定めが論点で、変動する数値には依存しません 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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