社労士 労働者災害補償保険法 問25:労働者災害補償保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
労働者災害補償保険に関する不服申立て(審査請求・再審査請求)に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア労災保険給付の決定に不服がある場合、所轄労働基準監督署長に対して審査請求を行うことができる。
- イ労働者災害補償保険審査官への審査請求は、原処分(保険給付の決定)があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に行わなければならない。
- ウ労働保険審査会への再審査請求は、審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して60日日以内に行わなければならない。正答
- エ審査官の審査請求に対する決定に不服がある場合、直接行政訴訟(取消訴訟)を提起することができ、労働保険審査会への再審査請求は任意の選択肢である。
- オ審査請求・再審査請求のいずれについても、口頭陳述の機会が与えられることはなく、書面審理のみで決定される。
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正答はウです。
労働保険審査会への再審査請求の期限は、審査官の決定書謄本が送付された日の翌日から起算して60日日以内です(同法第38条)。
不服申立ての流れは「①審査官への審査請求(3か月か月以内)→②審査会への再審査請求(60日日以内)→③行政訴訟」の3段階です。
エは誤りで、行政訴訟(取消訴訟)の前には審査会への再審査請求を経ること(審査前置主義)が原則として必要です。「再審査請求は任意」とするエは誤りです。
労災保険の不服申立て体系:
| 段階 | 申立先 | 期限 | 決定期限 |
|---|---|---|---|
| ①審査請求 | 労働者災害補償保険審査官(都道府県労働局) | 処分を知った日の翌日から3か月か月以内 | 受理から3か月以内に決定 |
| ②再審査請求 | 労働保険審査会(厚生労働省内) | 審査官決定書謄本送付日の翌日から60日日以内 | 受理から1年以内に裁決 |
| ③行政訴訟 | 地方裁判所 | 裁決の翌日から6か月以内(行訴法第14条) | 裁判所の訴訟スケジュール |
審査前置主義(エの誤りの核心):
行政事件訴訟法第8条は「法律に審査請求前置を定めた場合は、審査請求の裁決を経た後でなければ取消訴訟を提起できない」とします。労災保険審査官及び審査会法は審査前置主義を採用しており、審査会の裁決(または裁決後6か月経過)を経ずに直接訴訟を提起することは原則できません。
各選択肢の精査:
- ア(誤): 審査請求先は「所轄労働基準監督署長」ではなく「労働者災害補償保険審査官(都道府県労働局)」。
- イ(誤): 審査官への審査請求は処分を知った日翌日から3か月か月以内(同法第8条)。「60日以内」は誤り(60日は再審査請求の期限)。
- ウ(正): 再審査請求は決定書謄本送付日翌日から60日日以内→法律と整合。最も明確な正答。
- エ(誤): 審査前置主義により、審査会の裁決を経ずに直接行政訴訟は原則不可。
- オ(誤): 審査官・審査会とも申立人は口頭陳述を求めることができる(同法第25条・第50条等)。
【労働保険の審査制度の独自性:一般行政審査とは別系統の専門審査機関】
労災保険の不服申立て制度は、行政不服申立法の一般的な「審査請求(大臣・上級行政庁へ)」とは別に、「労働者災害補償保険審査官」という専門的審査官を設ける独自制度です。審査官は都道府県労働局に置かれ、労働問題の専門知識を持つ者が任命されます。一般行政の「審査請求→再審査請求→取消訴訟」と類似しつつ、労働保険特有の専門性に対応しています。
【審査官の審査における「職権調査主義」:申立人に有利な証拠を自ら収集】
審査官の審査は「職権調査主義」を採用しており、申立人が主張しなかった事実であっても、審査官が職権で証拠を収集して申立人に有利な判断をすることができます。これは民事訴訟の「弁論主義(当事者が主張した事実のみを審判対象とする)」とは異なる行政審査の特徴です。
実務では「審査請求書の書き方が下手でも、審査官が証拠を集めて適正な判断をしてくれる」ことが期待できるため、社労士は申立人の代理人として審査官に「審査してほしい重要事実」を的確に伝えることに集中することができます。
【「3か月」と「60日」の数値の記憶法:原処分→二審制の段階別期限】
試験で紛らわしい「審査請求3か月・再審査請求60日」の記憶法:
- 審査請求(初審): 3か月か月(90日相当)→「最初だから余裕をもって3か月」
- 再審査請求(二審): 60日日(2か月)→「二審は絞り込まれて60日」
他の行政審査との比較:
- 雇用保険の審査請求:処分を知った日から3か月以内(雇用保険審査官・同じ3か月)
- 国年・厚年の審査請求:処分を知った日から3か月以内(社会保険審査官)
- 国年・厚年の再審査請求:審査官決定書送付から60日以内(社会保険審査会・同じ60日)
社会保険審査官への期限も同じ「3か月・60日」という共通パターンがあります。労災保険審査と社会保険審査で「数値が同じ」という知識の横断が可能です。
【審査前置主義と「3か月の不作為」:裁決を待てない場合の訴訟提起】
審査会が「再審査請求を受理してから3か月経過しても裁決がない場合」は、裁決を待たずに行政訴訟を提起することが認められています(同法第40条)。これは「行政側の怠慢(裁決の先延ばし)によって被災労働者の権利救済が遅れる」ことを防ぐための規定です。実務では審査会の審理が長引いた際にこの規定を活用することがあります。
根拠: 労働者災害補償保険審査官及び労働保険審査会法第8条(審査請求期限)・第38条(再審査請求期限)・第25条(口頭陳述)・第40条(不裁決と訴訟)。確認日2026-06-08。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働者災害補償保険審査官及び労働保険審査会法第8条(審査請求期限)・第38条(再審査請求期限) <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): ★2026-06-08修正:旧イは「3か月以内」で法律と整合し正しい記述となり正答ウと両立してしまうため、「60日以内」とする明確な誤り肢に書き換え(審査官への審査請求期限は3か月で60日は誤り)。ウが正しい。再審査請求は審査官の決定書謄本送付日の翌日から60日以内→同法第38条・ROUSAI_FUFUKU_SHINSAKAI_60NICHI=60日と整合。ア「所轄労基署長への審査請求」→誤り。審査請求先は「労働者災害補償保険審査官」(都道府県労働局)であり所轄労基署長ではない。イ「審査請求60日以内」→誤り。正しくは3か月以内。エ「審査会への再審査請求は任意」→誤り。審査前置主義により、行政訴訟前に審査会の裁決(または受理から3か月経過)が原則必要。オ「口頭陳述機会なし」→誤り。審査官・審査会ともに申立人は口頭陳述の機会を求めることができる(同法第25条等)。正答ウで一意性確保。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。