社労士 労働者災害補償保険法 問26:労働者災害補償保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
労働者災害補償保険法第42条に規定する保険給付を受ける権利の消滅時効に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア療養補償給付(療養給付)・休業補償給付(休業給付)・葬祭料(葬祭給付)・介護補償給付(介護給付)・二次健康診断等給付を受ける権利の消滅時効は、いずれも2年年である。
- イ障害補償年金・障害補償一時金(障害年金・障害一時金)・遺族補償年金・遺族補償一時金(遺族年金・遺族一時金)・傷病補償年金(傷病年金)を受ける権利の消滅時効は、いずれも5年年である。
- ウ休業補償給付(休業給付)の請求権は、支払日ごとに時効が進行する。
- エ消滅時効は、請求権者が時効を援用することなく自動的に進行し、時効完成前であれば時効の中断(更新)が認められない。正答
- オ障害補償年金の請求権の消滅時効は、傷病が治ゆ(症状固定)した日の翌日から進行を開始する。
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正答はエ(誤っている記述)です。
労災保険の消滅時効は民法の時効規定が準用されます(第42条第2項)。そのため、時効の中断(更新)が認められます。例えば、被災労働者が審査請求を行った場合や労働基準監督署に申請を行った場合など、一定の法的手続きにより時効が中断・更新されます。「時効中断が認められない」とするエは誤りです。
消滅時効の期間の区分は重要です。療養・休業・葬祭料・介護・二次健康診断は2年年、障害・遺族・傷病の年金・一時金は5年年です。
労災保険給付を受ける権利の消滅時効(第42条):
| 時効期間 | 対象給付 |
|---|---|
| 2年年 | 療養補償給付・療養給付 / 休業補償給付・休業給付 / 葬祭料・葬祭給付 / 介護補償給付・介護給付 / 二次健康診断等給付 |
| 5年年 | 障害補償年金・障害補償一時金(障害年金・障害一時金) / 遺族補償年金・遺族補償一時金(遺族年金・遺族一時金) / 傷病補償年金・傷病年金 |
時効の起算点(各給付ごと):
- 療養補償・休業補償等: 各支払い期日ごとに個別に時効が進行(ウの根拠)
- 障害補償(年金・一時金): 傷病が治ゆ(症状固定)した日の翌日から起算(オの根拠)
- 遺族補償: 被災者が死亡した日の翌日から起算
- 葬祭料: 葬祭が行われた日から起算
各選択肢の精査:
- ア(正): 2年年の対象給付一覧→第42条第1項と整合。
- イ(正): 5年年の対象給付一覧(障害・遺族・傷病の年金・一時金)→第42条第1項と整合。
- ウ(正): 休業補償は日ごとの支払いなので、各支払日ごとに時効が別個に進行→正しい。
- エ(誤): 民法の時効規定準用により、時効の中断(更新)・完成猶予は認められる。「認められない」は誤り。
- オ(正): 障害補償の時効起算点は症状固定(治ゆ)日の翌日→正しい(治ゆ前は時効が進行しない)。
【「2年と5年」の給付区分の設計根拠:「予測可能性」と「長期受給権の特殊性」】
2年年と5年年の区分は、給付の性質の違いを反映しています:
- 2年年(療養・休業・葬祭料等): 比較的短期間で権利関係が明確になり、早期の請求が期待できる給付。療養中は医療機関が申請に関与しやすく、休業補償は毎月の請求。権利者が申請を怠った責任は比較的重い。
- 5年年(障害・遺族の年金・一時金): 症状固定後の障害評価・死亡後の遺族確定等、権利の発生が明確になるまで時間がかかり、かつ長期にわたる重要な給付。被災者・遺族が権利の存在を認識するまでの時間的余裕を考慮して5年年に設定。
【時効の中断(更新)・完成猶予の実務上の機能】
労災保険の時効中断(民法改正後の「更新」)が認められる場合の例:
1. 審査請求・再審査請求の提起: 不服申立ての期間中・結果確定まで時効が中断
2. 労働基準監督署長への申請・請求: 申請行為が時効中断事由に該当
3. 催告(内容証明等での請求の意思表示): 6か月間の時効完成猶予(その後確定的中断手続きが必要)
実務での重要性:被災後時間が経過した後に「実は労災申請できたことを知らなかった」という相談者に対し、「時効期限を過ぎているかどうか」を正確に計算し、期限内であれば早急に申請を支援する必要があります。
【「休業補償給付の時効は日ごとに進行する」の実務的意味】
休業補償給付は「1日ごとの補償(給付基礎日額の80%を日単位で計算)」です。毎月1回請求するケースが多いですが、1日ごとに別個の請求権が発生します。したがって、「被災後3年目以降に2年より前の休業補償を請求する」ことは時効完成で不可能ですが、「2年以内の分については引き続き請求できる」という構造になります。
例:被災日が2024年1月1日の場合、2026年6月時点では2024年1月1日〜2024年6月1日分(2年以上前)は時効完成で請求不可、2024年6月2日〜2026年6月1日分(2年以内)は請求可能。
【傷病補償年金の時効起算点:「治ゆでも症状固定でもない場合」の特殊性】
傷病補償年金(第12条の8)は「療養開始後1年6か月経過時点で一定の要件(傷病等級第1〜3級)を満たす場合」に支給が決定されます。傷病補償年金の請求権(受ける権利)の消滅時効は「支給決定があった日の翌日から5年年」が起算点となります(実務上の解釈)。これは「治ゆ前の状態」で支給されるため、「治ゆ日翌日から起算する障害補償年金」とは異なる起算点となります。
根拠: 労働者災害補償保険法第42条(消滅時効2年年・5年年)。確認日2026-06-08。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働者災害補償保険法第42条(消滅時効)、民法の時効規定(準用) <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): エが誤り。労災保険の消滅時効は民法の時効の規定が準用され(第42条第2項)、時効の中断(民法改正後は「完成猶予・更新」)が認められる。審査請求・再審査請求・労働基準監督署への請求等の法的手続きにより時効が中断・更新される。「時効中断が認められない」とするエは誤り。また時効は「自動的」に完成するが、援用の要否は民法上では援用が必要→ただし公法上の請求権についての議論あり→エの「時効の中断が認められない」の部分が明確な誤り。ア(2年の給付一覧)・イ(5年の給付一覧)・ウ(休業補償の日ごとの時効進行)・オ(障害補償の時効起算点は症状固定日翌日)はいずれも正しい。正答エで一意性確保。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。