労働者災害補償保険法27労働者災害補償保険法

社労士 労働者災害補償保険法 問27:労働者災害補償保険法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

労働者災害補償保険法に規定する中小事業主等の特別加入(第1種特別加入)に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 第1種特別加入の対象となる「中小事業主」とは、金融業・保険業・不動産業・小売業については常時50人以下、卸売業・サービス業については常時100人以下、その他の事業については常時300人人以下の労働者を使用する事業主をいう。
  • 第1種特別加入を行うためには、その事業主が事業を行う事業場が労働保険に加入(保険関係が成立)していることが要件であり、特別加入の申請と同時に保険関係を成立させることはできない。正答
  • 第1種特別加入は「包括加入」の原則により、中小事業主と一緒に業務に従事する家族従事者等も特別加入の対象者として一括して加入しなければならない。
  • 特別加入者(第1種)が業務上の傷病等を受けた場合、給付基礎日額は特別加入時に申請した「給付基礎日額」(3,500円〜25,000円の範囲で選択)に基づいて計算される。
  • 特定の業務(粉じん業務・振動工具使用業務・鉛業務等)に通算3年以上従事した中小事業主等が特別加入しようとする場合、特別加入前に健康診断を受診しなければならない。
正答:第1種特別加入を行うためには、その事業主が事業を行う事業場が労働保険に加入(保険関係が成立)していることが要件であり、特別加入の申請と同時に保険関係を成立させることはできない。

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正答はイ(誤っている記述)です。

第1種特別加入の申請は、事業場の労働保険関係の成立手続きと同時に行うことができます。「保険関係を先に成立させなければ特別加入の申請ができない」という厳格な先後関係は法定されていません。新規に事業を開始する際に、保険成立届と特別加入申請を同時に提出することが実務上可能です。

中小事業主の特別加入(第1種)の規模要件は業種によって異なります。金融・保険・不動産・小売業は50人以下、卸売・サービス業は100人以下、その他の事業は300人人以下の労働者を使用する事業主が対象です。

標準試験対策の基準レベル

中小事業主の特別加入(第1種)の要件と仕組み:

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 対象者(事業主) | 小売業・金融等50人以下/卸売・サービス100人以下/その他300人人以下の労働者を使用する事業主 |

| 加入要件 | 当該事業場が労働保険(労災保険)の保険関係に加入していること |

| 包括加入 | 中小事業主と一緒に業務に従事する配偶者・子等の家族従事者も含めて一括加入が原則 |

| 給付基礎日額 | 3,500円〜25,000円(都道府県最賃を考慮)の範囲で申請時に選択 |

| 特定業務の事前健診 | 粉じん・振動工具・鉛・有機溶剤等の業務に通算3年以上従事した者は特別加入前に健康診断が必要 |

各選択肢の精査:

  • ア(正): 中小事業主の規模要件3区分(50人/100人/300人人)→第33条・施行規則と整合。
  • イ(誤): 特別加入申請は保険関係成立と「同時」に行うことが可能。「先に保険関係が成立していなければならない」とする厳格な先後関係は法定されていない。
  • ウ(正): 包括加入原則→家族従事者も一括加入が必要(第33条第1号)。
  • エ(正): 給付基礎日額は3,500〜25,000円の範囲で選択→施行規則別表第4と整合。
  • オ(正): 特定業務3年以上従事者の事前健診義務→施行規則第46条の22。
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【第1種特別加入の制度的意義:「中小事業主の保護の空白」の解消】

労災保険は原則として「労働者(雇用される者)」のみを適用対象とします。中小事業主は「使用者(雇用する側)」であるため、原則として適用除外です。しかし中小企業では事業主本人も現場で労働者と一緒に危険な業務を行うケースが多く、「事業主は労働者と同じ危険にさらされているのに補償がない」という問題がありました。第1種特別加入はこの「補償の空白」を埋める制度として1965年から整備されました。

【包括加入原則の意義:「選択加入」による逆選択の防止】

包括加入(事業主・家族従事者を一括加入)が原則とされる理由は「逆選択(adverse selection)の防止」です。もし「病気・怪我が心配な高齢の家族従事者だけ選択的に特別加入」が認められれば、リスクの高い者だけが集中加入して保険財政が悪化します。家族全員を一括加入させることでリスクの分散を確保する保険設計です。

なお、包括加入の「家族従事者」の範囲は「申請時に事業主と一緒に業務に従事している親族(配偶者・子・兄弟姉妹等)」であり、事業に無関係の親族は対象外です。

【給付基礎日額の選択と「実際の収入との乖離」問題】

特別加入者の給付基礎日額は「3,500円〜25,000円」の範囲で申請時に自由に選択します(都道府県の最低賃金額が基準となる最低額あり)。この選択は「加入者の実収入額を参考に、適切な水準を選ぶ」ことが前提ですが、実務上は以下の問題があります:

  • 低額選択の罠: 「保険料を安くしたい」という動機から低額の給付基礎日額を選択→被災時に実際の収入より大幅に低い休業補償・障害年金しか受け取れない
  • 変更可能性: 事業所得が変化した場合は給付基礎日額を変更申請できる(毎年度の変更が可能)

社労士の重要業務として、特別加入の相談を受けた際に「事業主の実際の月次収入と選択する給付基礎日額のバランス」を試算して提案することが含まれます。事業主が被災して長期休業する場合、事業収入が途絶える上に休業補償が低額では経営危機に直結するため、適切な日額選択が重要です。

【特定業務の事前健診:「入口段階での健康確認」の制度的意義】

粉じん・振動工具・鉛・有機溶剤・身体に著しい振動を与える業務等に通算3年以上従事した後に特別加入する場合、事前健診が義務付けられる理由は「既存の職業病(じん肺・振動障害等)を入口段階で確認し、特別加入後の保険給付と混同させない」ためです。事前健診で職業病が確認された場合でも特別加入自体は可能ですが、その疾病については「特別加入前から存在した疾病」として保険給付の対象外となり得ます。

実務では「自営業者が特別加入を検討する際に、過去の有害業務歴を確認してから健診の必要性を判断する」というプロセスを社労士がサポートします。

根拠: 労働者災害補償保険法第33条第1号・第34条(中小事業主の特別加入)、同法施行規則第46条の22(事前健診義務)・第46条の18(給付基礎日額の範囲)。確認日2026-06-08。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働者災害補償保険法第33条・第34条(中小事業主の特別加入) <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): イが誤り。第1種特別加入の要件として「事業場の労働保険加入」は必要だが、「特別加入の申請と同時に保険関係を成立させることができない」とする記述は誤り。実務上、新規に保険関係を成立させると同時に特別加入申請を行うことは可能(保険関係の成立手続きと特別加入申請を同時に提出できる)。「保険関係が先に成立していなければならない」という厳格な先後関係は法定されていない。ア(中小事業主の規模要件3区分)・ウ(包括加入原則)・エ(給付基礎日額3,500〜25,000円から選択)・オ(特定業務3年以上で事前健診義務)はいずれも正しい。正答イで一意性確保。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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