問題
労働者災害補償保険法第12条の3に規定する不正受給の返還に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はア(正しい記述)です。
第12条の3第1項は「偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者があるときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。」と定めています。アはこの条文どおりで正しい記述です。
イは誤りで、第12条の3第2項により、事業主が虚偽の報告又は証明をしたためその保険給付が行われたものであるときは、政府は事業主に対し、受給者と連帯して徴収金の納付を命ずることができます。ウは誤りで、徴収法第27条・第29条・第30条・第41条は第12条の3第3項により準用されます。エは誤りで、徴収できる金額は「全部又は一部」であり、全部に限られません。オは誤りで、第2項の対象は「虚偽の報告又は証明」であり「届出」ではなく、また対象を届出の場合に限定する定めもありません。
第12条の3の構造:
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 1項 | 偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者から、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を徴収できる |
| 2項 | 事業主が虚偽の報告又は証明をしたためにその保険給付が行われたものであるときは、政府は当該事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯して1項の徴収金を納付すべきことを命ずることができる |
| 3項 | 徴収法第27条・第29条・第30条・第41条の規定を、1項・2項の徴収金について準用する |
各選択肢の解説:
- ア(正): 1項の文言どおり。
- イ(誤): 2項により事業主にも連帯して納付を命ずることができる。
- ウ(誤): 3項により徴収法の規定が準用される。
- エ(誤): 徴収できるのは「全部又は一部」であり、必ず全部を徴収しなければならないわけではない。
- オ(誤): 2項の対象は「虚偽の報告又は証明」であり、届出に限定されていない。
【「全部又は一部」「徴収することができる」という文言(1項)】
第12条の3第1項は、徴収の範囲を「その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部」とし、効果を「徴収することができる」と定めています。条文上、徴収額は費用相当額の全部に限られず一部にとどめることもでき、徴収するかどうか自体も「できる」規定です。「全部に限られ、一部のみの徴収はできない」とするエは、この文言を書き換えた誤りです。また、徴収の上限は「保険給付に要した費用に相当する金額」であり、それを上回る額(上乗せ)を徴収する定めは第12条の3にはありません。
【事業主の連帯納付(2項)の対象行為】
第12条の3第2項は「前項の場合において、事業主…が虚偽の報告又は証明をしたためその保険給付が行なわれたものであるときは、政府は、その事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯して前項の徴収金を納付すべきことを命ずることができる。」と定めます。対象となる事業主の行為は「虚偽の報告又は証明」です。「届出」という語は条文上使われておらず、対象行為を届出に限定する規定もありません。要件は、①1項の不正受給があること(「前項の場合において」)、②事業主の虚偽の報告又は証明のために(因果関係)その保険給付が行われたこと、の2つで、効果は、政府が事業主に対して「保険給付を受けた者と連帯して」前項の徴収金を納付すべきことを命ずることができる、というものです。また、徴収法第8条第1項又は第2項により元請負人が事業主とされる場合には、その元請負人が「事業主」にあたることも条文の括弧書きで定められています。
【徴収法の準用(3項)が意味すること】
第12条の3第3項は「徴収法第二十七条、第二十九条、第三十条及び第四十一条の規定は、前二項の規定による徴収金について準用する。」と定めています。準用される徴収法の規定は、第27条(督促及び滞納処分。督促状の指定期限は発する日から起算して10日以上経過した日、期限までに納付しないときは国税滞納処分の例による処分)、第29条(先取特権の順位は国税及び地方税に次ぐ)、第30条(国税徴収の例により徴収)、第41条(徴収金を徴収する権利は、行使することができる時から2年で時効消滅)です。この準用により、不正受給の返還金(第12条の3の徴収金)についても、労働保険料と同じく督促・滞納処分という行政上の手続で徴収することができます。
【第12条の3に書かれていないこと】
第12条の3には、不正受給そのものを処罰する刑事罰の規定や、費用相当額に一定割合を上乗せして徴収する定めはありません。労災保険法の罰則(第51条・第53条など)は、報告・届出・文書提出の命令違反や、職員の質問・検査の拒否などを処罰するもので、第12条の3の不正受給を直接の対象とした規定ではありません。
根拠: 労働者災害補償保険法第12条の3・第51条・第53条、労働保険の保険料の徴収等に関する法律第27条・第29条・第30条・第41条(e-Gov 法令API v2・2026-09-30時点の現行条文で全文確認)。
- 労働者災害補償保険法第12条の3e-Govで原文を読む
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律第27条・第8条・第二十七条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働者災害補償保険法第12条の3、労働保険の保険料の徴収等に関する法律第27条・第29条・第30条・第41条 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

