社会保険一般常識11社会保険に関する一般常識(社一)

社労士 社会保険一般常識 問11:社会保険に関する一般常識(社一)

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

船員保険に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度を前提とすること。

  • 船員保険は2010年(平成22年)1月の改正により、職務上疾病・年金部門が労災保険に統合され、職務外疾病部門が健康保険に統合された。これにより船員保険は廃止され、現在は船員に対して独自に適用される制度は存在しない。
  • 船員保険の被保険者は、船員法第1条に規定する船員として船舶所有者に使用される者のうち、日本船籍の船舶に乗り組む者に限られる。外国籍の船舶に乗り組む者は被保険者とならない。
  • 船員保険には、健康保険に統合されなかった独自の給付として、「行方不明手当金」がある。被保険者が航行中に行方不明となったとき、その間の給与の補てんとして被保険者の被扶養者に対して支給される。正答
  • 2010年の改正以降、船員保険の保険者は全国健康保険協会(協会けんぽ)ではなく、引き続き厚生労働大臣が保険者として直接運営している。
  • 船員保険の職務上疾病・負傷に関する給付は、2010年の改正前から労働者災害補償保険法の適用を受けており、改正によって変更はなかった。
正答:船員保険には、健康保険に統合されなかった独自の給付として、「行方不明手当金」がある。被保険者が航行中に行方不明となったとき、その間の給与の補てんとして被保険者の被扶養者に対して支給される。

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正答はウ(正しい記述)です。

2010年(平成22年)1月の改正により、船員保険の職務上疾病・年金部門は労災保険・厚生年金に統合されましたが、船員保険自体は廃止されておらず、独自給付が残っています。代表的な独自給付が「行方不明手当金」です。航行中に行方不明となった被保険者の被扶養者に対し、行方不明期間中の生活保障として支給されます(最大3か月)。

アは誤り(船員保険は廃止されていない)、イは誤り(外国籍船舶に乗り組む者も対象になりうる)、エは誤り(保険者は全国健康保険協会)、オは誤り(改正前は船員保険が独自給付を行っており、改正で労災に統合された)。

標準試験対策の基準レベル

2010年改正による船員保険の再編(重要整理):

| 部門 | 改正前 | 改正後(2010年1月〜) |

|---|---|---|

| 職務上疾病・負傷 | 船員保険の独自給付 | 労働者災害補償保険に統合 |

| 職務外疾病・負傷 | 船員保険の独自給付 | 健康保険(協会けんぽ)に統合 |

| 年金部門(職務外) | 船員保険の独自年金 | 厚生年金保険に統合 |

| 独自給付(残存) | — | 行方不明手当金・遺族年金特例等が継続 |

保険者(エの根拠):

改正後の船員保険の保険者は全国健康保険協会(協会けんぽ)です(船員保険法第4条)。厚生労働大臣ではありません。

被保険者の範囲(イの根拠):

「船員法第1条に規定する船員として船舶所有者に使用される者」が被保険者(船員保険法第2条)。国籍要件は問わないため、外国籍船舶に乗り組む場合でも日本の船舶所有者に使用される船員であれば対象となりえます。

行方不明手当金(ウの根拠・正解):

  • 支給対象: 被保険者が航行中に行方不明となったとき
  • 受給者: 被保険者の被扶養者
  • 支給期間: 行方不明期間(最長3か月)
  • 給付水準: 標準報酬日額相当額
  • 健康保険にはない船員特有の海上リスクに対応した独自給付

選択肢オの誤りの核心:

改正前は職務上疾病・負傷も船員保険が独自に給付していました。改正で労災保険に統合されたため、「改正前から労災保険の適用を受けていた」は誤りです。

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【船員保険の歴史的位置づけと「海上労働の特殊性」】

船員保険は1940年(昭和15年)に創設された日本最初期の社会保険の一つです。当時、船員は陸上労働者と異なる特殊な職場環境(船内居住・長期航海・行方不明リスク・海難事故)に置かれていたため、労災・健康・年金・雇用の機能を一体化した総合保険として設計されました。

2010年改正の背景には「社会保険制度の一元化・効率化」という政策目標がありました。しかし、船員特有のリスク(行方不明・遭難・艀の特殊労働)は一般の労災・健保の枠組みでは十分にカバーできないため、以下の独自給付が現在も船員保険法の下で存続しています。

【現行船員保険の独自給付一覧】

| 給付名 | 支給要件 | 内容 | 根拠条文 |

|---|---|---|---|

| 行方不明手当金 | 航行中に被保険者が行方不明となったとき | 被扶養者に標準報酬日額相当額×最長3か月 | 第69条〜73条 |

| 障害年金(船員特例) | 職務外負傷・疾病で厚年の障害認定に至らない軽度障害 | 船員独自の障害等級に応じた年金(厚年の障害厚生と制度上連続) | — |

| 遺族年金(経過給付) | 改正前から受給権が発生していた場合の経過的給付 | 旧制度の受給権を継続 | 附則 |

【実務的視点:社労士が扱う船員保険の境界問題】

社労士実務における船員保険の論点は主に以下の3点です。

1. 労災保険との適用区分:

2010年以降、船員の「職務上」事故は労災保険が適用されます。ただし「職務上」と「職務外」の境界(船内での私的行為中の事故等)は実務上の判断が必要です。労災認定の「業務遂行性・業務起因性」の判断と、船員保険法の「職務上」の解釈は概念的に対応しますが、完全に同一ではない点に注意が必要です。

2. 行方不明手当金の実務フロー:

船舶所有者(事業主)が協会けんぽ(船員保険部門)に届出 → 被扶養者が受給申請。行方不明から3か月経過後に死亡推定が成立し、遺族補償(労災)や遺族厚生年金の受給権発生手続きに移行します。社労士はこの一連の手続きを代理できます(1号業務)。

3. 二重適用の排除:

改正後も「船員保険の被保険者」として登録される仕組みは継続しており、通常の健康保険・厚生年金の被保険者ではなく「船員保険の被保険者」として一括管理されます。したがって、船員が陸上事業所に転籍する際には船員保険の資格喪失と健保・厚年の資格取得が同時に処理されます。

【社労士試験での頻出ポイントと上位資格への接続】

社労士試験では「2010年改正で何が統合されて何が残ったか」の整理が問われます。特に「行方不明手当金」「遭難の場合の特別規定」「保険者が協会けんぽ」の3点は選択式・択一式の双方で出題実績があります。

FP・医療関係者向けには「海上勤務の会社員の健康保険加入形態(健保ではなく船員保険の協会けんぽ管掌)」「労災事故発生時の手続きが一般の陸上労働者と異なる」点を理解しておく必要があります。また、船員保険の「職域保険」としての性格は、社会保険全体の体系理解(職域保険と地域保険の対比)にも接続します。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 船員保険法第2条(被保険者)・第69条(行方不明手当金・職務上の事由・1か月以上経過要件)・第73条(行方不明手当金の支給期間・最長3か月) 改正根拠: 平成22年1月1日施行「船員保険法等の一部を改正する法律(平成19年法律第30号)」 保険者: 船員保険法第4条(全国健康保険協会が保険者) 一次ソース: e-Gov 船員保険法 https://laws.e-gov.go.jp/law/314AC0000000073 ・協会けんぽ 行方不明手当金 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/senpo/ <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 一次ソース突合。①船員保険は廃止されておらず独自給付(行方不明手当金等)が残存(船保法第1条)→ア誤り。②被保険者は船員法第1条の船員として船舶所有者に使用される者で国籍要件はなし(船保法第2条)→イ誤り。③行方不明手当金は職務上の事由により行方不明となり1か月以上経過したときに、主としてその者の収入により生計を維持していた被扶養者に標準報酬日額相当額を最長3か月支給(船保法第69条・第73条)→ウ正解。④保険者は全国健康保険協会(船保法第4条)→エ誤り。⑤改正前は船員保険が独自に職務上給付→2010年改正で労災に統合(船保法附則)→オ誤り。正答ウで確定。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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