社労士 社会保険一般常識 問12:社会保険に関する一般常識(社一)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
国民健康保険組合(国保組合)に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度を前提とすること。
- ア国民健康保険組合は、同種の事業または業務に従事する者を組合員とし、その組合員およびその世帯に属する者を被保険者とする。組合員資格は原則として同種の事業または業務への従事を要件とする。
- イ国民健康保険組合を設立するためには、同種の事業または業務に従事する者300人以上の同意を得たうえで、15人以上の発起人が規約を作成し、**厚生労働大臣**の認可を受けなければならない。正答
- ウ国民健康保険組合の被保険者は、健康保険法・船員保険法・各共済組合法等の被用者保険の被保険者(およびその被扶養者)とは重複して適用されない。被用者保険の適用を受ける者は国保組合の被保険者から適用除外となる。
- エ国民健康保険組合は、国民健康保険法に基づき設立される法人であり、組合員から保険料(組合費)を徴収して運営する。国民健康保険組合には国庫補助金が交付される。
- オ国民健康保険組合の組合員が75歳に達した場合、後期高齢者医療制度の被保険者となるため、国民健康保険組合の組合員資格を喪失し、国保組合の被保険者でなくなる。
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正答はイ(誤っている記述)です。
国保組合の設立認可権者は厚生労働大臣ではなく、主たる事務所の所在地の都道府県知事です(国民健康保険法第17条)。同種の事業・業務に従事する者300人以上の同意を得たうえで、15人以上の発起人が規約を作成し(第13条・第14条)、都道府県知事の認可を受けて成立します。イは認可権者を誤って記載しているため誤りです。
ア・ウ・エ・オはすべて正しい記述です。医師国保・建設国保・弁護士国保など、同種業務に従事する自営業者・自由業者が職域単位で加入するのが国保組合の特徴です。
国保組合の基本構造(重要整理):
| 項目 | 内容 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 根拠法 | 国民健康保険法 | — |
| 設立同意者数 | 同種の事業・業務に従事する者300人以上の同意 | 第13条 |
| 発起人数 | 15人以上 | 第14条 |
| 認可権者 | 主たる事務所所在地の都道府県知事(厚生労働大臣ではない=イの誤り) | 第17条 |
| 被保険者 | 組合員および組合員の世帯に属する者 | 第19条 |
| 適用除外 | 被用者保険(健保・船保・共済組合)の被保険者・被扶養者 | 第6条 |
| 国庫補助 | 交付あり(国保組合の財政安定化のため) | 第73条 |
ウ(適用除外)の根拠:
国保組合の被保険者は「健康保険法・船員保険法・国家公務員共済組合法・地方公務員等共済組合法・私学共済法の被保険者(またはその被扶養者)」には該当しないことが要件(国民健康保険法第6条)。つまり会社員(健保加入)は国保組合には入れません。自営業者・自由業者が対象です。
オ(75歳・後期高齢者)の根拠:
75歳到達により後期高齢者医療広域連合の被保険者となるため、国保組合の被保険者資格は喪失します(高齢者医療確保法第50条・国民健康保険法第6条)。これは正しい記述です。
【国保組合の「職域保険」としての特殊性と政策的争点】
国保組合は国民健康保険法に基づきながら、その実態は「職域の横断的な相互扶助」という意味で被用者保険(健保組合)に近い性格を持っています。通常の市町村国保が「地域保険(居住地ベース)」であるのに対し、国保組合は「職域の同種業務従事者」を母集団とすることが最大の特徴です。
設立認可・解散認可と「都道府県知事」の関与(イの正確な理解):
国保組合の設立・解散・合併の認可はすべて都道府県知事が行います(国民健康保険法第17条・第33条・第27条)。これは健康保険組合(健康保険法第8条)が厚生労働大臣の認可を要するのと対比される重要な相違点です。社労士試験ではこの「健保組合=厚労大臣/国保組合=都道府県知事」の対比が頻出の引っかけポイントとなります。
なお、認可申請を受けた都道府県知事は、組合の区域内市町村長の意見を聴取し、当該市町村の国民健康保険事業の運営に支障がないと認める場合にのみ認可することができます(第17条第2項)。これは「国保組合設立による市町村国保の被保険者流出(特に高所得層)」が市町村国保の財政に影響を与えることを防ぐための調整規定です。
国保組合の財政構造と国庫補助の問題:
国保組合には都道府県・市町村国保と同様に国庫補助金が交付されますが(国民健康保険法第73条)、その財政状況は組合によって大きく異なります。医師・弁護士・税理士など高所得専門職が多い国保組合は保険料収入が豊かで、相対的に高い給付水準を維持している場合があります。一方で、建設業や中小企業者が多い国保組合は収入基盤が弱い場合もあります。
この「高所得職域国保に国庫補助を交付することの公平性」は財政当局・厚生労働省の間で継続的な政策争点となっており、国保組合の国庫補助率の見直し・廃止論が周期的に浮上しています。社労士試験では制度の仕組みの理解が問われますが、背景にあるこの政策論争も advanced な知識として把握しておくと、選択式の細目問題(保険料率・補助率等)への対応力が高まります。
「組合員資格=同種業務従事」の解釈と実務:
組合員の資格は「同種の事業または業務に従事すること」ですが、その解釈は各国保組合の規約(定款)によって異なります。例えば医師国保では「医師・歯科医師・薬剤師・医療関係従事者およびその家族従業者」が幅広く認められているケースがあります。社労士は医療機関・建設業者等の事業主の労務管理を担う際、「従業員が国保組合加入資格を持つかどうか」の判断(健保適用事業所の従業員は健保強制適用で国保組合不可)を行う場面があります。
社労士試験での出題パターンと上位試験への接続:
社労士試験では国保組合について「市町村国保との違い(認可権者=都道府県知事・補助率・被保険者範囲)」「被用者保険との適用除外関係」「健保組合との認可権者の対比(健保=厚労大臣/国保=都道府県知事)」が頻出です。FP試験では「自営業者・フリーランスの医療保険の選択(市町村国保 vs 国保組合 vs 任意継続)」という実生活に直結したテーマで出題されます。社会保険全体の体系(被用者保険・地域保険・職域国保の三層構造)を俯瞰すると、社労士・FP・医療事務の知識が有機的に統合されます。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民健康保険法第17条(国保組合の設立認可・**主たる事務所所在地の都道府県知事**の認可)・第13条(組合員300人以上)・第14条(発起人15人以上・規約作成)・第6条(適用除外)・第19条(組合員)・第73条(国庫補助) 一次ソース: e-Gov法令検索 国民健康保険法 https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192 <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 国民健康保険法第17条により国保組合の設立認可権者は「主たる事務所の所在地の都道府県知事」。第14条で発起人15人以上、第13条で同意300人以上が要件。よってイ「厚生労働大臣の認可」は明確な誤り=正答。「都道府県知事」が正。第19条で組合員資格、第73条で国庫補助、第6条で適用除外を規定。一次ソース突合済(e-Gov・厚労省告示)。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。