社労士 社会保険一般常識 問14:社会保険に関する一般常識(社一)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
確定拠出年金(DC)に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度を前提とすること。なお、iDeCo(個人型確定拠出年金)の拠出限度額引上げ(2026年12月施行予定)は基準日時点で未施行であるため考慮しない。
- ア企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入者は、事業主掛金に上乗せして自ら掛金を拠出する「マッチング拠出」を選択することができる。ただし、加入者掛金の額は事業主掛金の額を超えることができず、かつ合計拠出額が限度額(企業年金なし事業主の場合は月額55,000円)を超えることができない。
- イ個人型確定拠出年金(iDeCo)の第1号被保険者(自営業者等)の拠出限度額は、国民年金基金との合算で月額68,000円である。
- ウ企業型DCの加入者は、原則として60歳から老齢給付金の受給を開始できるが、加入者期間が2年未満の場合は脱退一時金を受給し、老齢給付金の受給権は発生しない。正答
- エ企業型DCの事業主は、加入者が死亡した場合、加入者の遺族に対して「死亡一時金」を支給しなければならない。
- オiDeCoにおいて、企業型DCを実施する事業主の従業員が企業型DCに加入している場合、iDeCoとの同時加入が原則として認められており、掛金は合算して拠出限度額の管理が行われる。
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正答はウ(誤っている記述)です。
老齢給付金の受給権は「加入者期間が10年以上」ある場合に60歳から受給開始できます(確定拠出年金法第33条)。加入者期間が2年未満の場合に「脱退一時金」を選択できるのは正しいですが、「老齢給付金の受給権が発生しない」としている点が問題です。正確には、加入者期間が10年未満の場合は60歳から受給開始できず、期間に応じて受給開始年齢が引き上げられます(2年未満は脱退一時金のみ、2年以上10年未満は受給開始年齢が最大65歳まで繰り下げ)。「受給権が発生しない」という断定は不正確です。
ア・イ・エ・オはいずれも正しい記述です。
DC(確定拠出年金)の企業型・個人型 主要数値(重要整理):
| 区分 | 拠出限度額(月額) | 対象者 |
|---|---|---|
| 企業型DC(企業年金なし) | 55,000円 | 企業型DC加入者 |
| 企業型DC(他の企業年金あり) | 27,500円 | 企業型DC+DB等の加入者 |
| iDeCo 第1号被保険者(自営業) | 68,000円(国年基金合算) | 自営業者等 |
| iDeCo 第2号被保険者(会社員等) | 23,000円(企業年金なし)~12,000円(DB等あり) | 企業年金の状況による |
| iDeCo 第3号被保険者(専業主婦等) | 23,000円 | 専業主婦(夫)等 |
選択肢ウの誤りの正確な整理(DC法第33条・第53条):
| 加入者期間 | 60歳時の扱い |
|---|---|
| 10年以上 | 60歳から老齢給付金の受給可能 |
| 8年以上10年未満 | 61歳から受給開始 |
| 6年以上8年未満 | 62歳から受給開始 |
| 4年以上6年未満 | 63歳から受給開始 |
| 2年以上4年未満 | 64歳から受給開始 |
| 1か月以上2年未満 | 65歳から受給開始(または脱退一時金選択可) |
ウの「2年未満の場合は老齢給付金の受給権が発生しない」は不正確。2年未満でも将来の受給権自体は発生しますが、60歳時点では脱退一時金を選択することが多いです。
マッチング拠出のルール(アの根拠):
- 加入者掛金 ≤ 事業主掛金(加入者が事業主を超えることは不可)
- 合計額 ≤ 月55,000円(企業年金なし事業所の場合)
- ★Wave1/2教訓: マッチング拠出の「禁止」維持・「解禁」誤認に注意。マッチング拠出制度は現行も認められています。一部事業主が規約で禁止しているケースはありますが、法律上は認められています。
企業型DCとiDeCoの同時加入(オの根拠):
2022年10月改正で企業型DCの加入者もiDeCoに同時加入可能(原則として)。合算での拠出限度額管理が適用されます。
【DCの「確定拠出」が意味するリスク構造と「確定給付(DB)」との本質的違い】
企業型・個人型を問わず、確定拠出年金(DC)の本質は「拠出額(掛金)は確定しているが、受け取れる給付額は運用成果次第」という点です。これはDBとの最大の違いであり、社労士試験での対比問題の核心になります。
| 観点 | 確定拠出(DC) | 確定給付(DB) |
|---|---|---|
| リスク負担者 | 加入者(個人) | 企業(事業主) |
| 給付額の確定性 | 運用成果次第(不確定) | 規約で事前に確定 |
| 転職時の持ち運び | 可能(ポータビリティあり) | 基本的に不可(企業年金連合会への移管等) |
| 投資教育の義務 | 事業主に義務あり | 不要 |
| 運用指図者 | 加入者本人 | 信託銀行等の受託機関 |
マッチング拠出と「iDeCo選択制」(2022年10月改正後の整理):
2022年10月以前は「企業型DCに加入している者はiDeCoに同時加入できない」という原則でしたが、改正後は「企業が規約でiDeCo加入を認める場合、または規約に定めがない場合は同時加入可」となりました。さらに企業によっては「マッチング拠出」か「iDeCo加入」かを従業員が選べる「iDeCo選択制」を導入しているケースもあります。
この変更は試験頻出の改正点です。旧制度では「企業型DC加入者はiDeCo不可」と学習した受験生が誤答しやすいポイントであり、2022年10月以降の新制度での同時加入可(条件付き)を正確に把握する必要があります。
iDeCoの拠出限度額と「2026年12月改正の試験対象外扱い」:
2026年12月1日施行予定の改正でiDeCo第1号被保険者の拠出限度額が月6.8万円→7.5万円に引き上げられます。ただし試験基準日(2026年4月10日)時点では未施行であるため、令和8年度試験では現行の6.8万円(国民年金基金との合算)で出題されます。本問もこの前提で作問しています。
この「施行日と試験基準日の関係」の管理は社労士試験の重要な技術的論点です。特に年金・労働法関係の改正が試験年度の基準日前後に施行されるケースが多く、受験生は「いつから施行か」「試験基準日は何月何日か」を常に確認する習慣が必要です。
DCの老齢給付金の加入者期間と受給開始年齢(ウの正確な理解):
加入者期間が短い場合の受給開始年齢の繰り下げルール(DC法第33条)は選択式・択一式の双方で出題実績があります。特に「2年未満の場合のみ脱退一時金が可能」「1か月以上2年未満は65歳から受給」という下限ルールが問われます。
また「脱退一時金を選択した場合、課税(一時所得として)vs 老齢給付金(退職所得として)の課税優遇の差」はFP試験でも頻出です。社労士試験では手続き・要件が問われますが、FP試験では「どちらが手取り最大化か」という実務的観点からも問われます。
社労士の実務としてのDC管理(1号業務・付随業務):
社労士は事業主からの委託により「企業型DC導入・規約変更の手続き支援(付随業務)」「加入者への投資教育実施の補助(付随業務)」「退職時のDC資産の持ち運び(個人型iDeCoへの移管)手続きの説明」等を行います。また、投資教育の義務を怠った事業主への行政指導(確定拠出年金法第43条の3)は社労士が法令遵守上の助言を行う場面です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確定拠出年金法第19条(マッチング拠出・現行制度で認められている)・第20条(拠出限度額)・第33条(老齢給付金の受給要件・加入者期間と受給開始年齢)・第53条(脱退一時金)・第61条(死亡一時金)・第62条(企業型加入者のiDeCo同時加入・2022年10月改正) 一次ソース: e-Gov 確定拠出年金法 https://laws.e-gov.go.jp/law/413AC0000000088 ・厚労省 iDeCo拠出限度額 https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001597573.pdf <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 一次ソース突合。①マッチング拠出は現行も認められており(DC法第19条・規約による任意導入)、加入者掛金≦事業主掛金かつ合計が拠出限度額(企業年金なし55,000円/月)以内(★Wave1教訓:iDeCo×マッチング拠出は同時不可、いずれかを規約で選択)→ア正しい。②iDeCo第1号被保険者は国年基金合算で月6.8万円(2026-12改正で7.5万へ引上げだが試験基準日2026-04-10時点では未施行=現行6.8万)→イ正しい。③老齢給付金は加入者期間10年以上で60歳から受給可、10年未満は段階的に繰下げ、2年未満は脱退一時金選択も可だが「受給権が発生しない」は不正確(DC法第33条・第53条)→ウ誤り=正答。④死亡一時金は加入者死亡時に遺族へ支給(DC法第61条)→エ正しい。⑤2022年10月改正で企業型DC加入者もiDeCo同時加入可、合算で限度額管理(DC法第62条)→オ正しい。正答ウで確定。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。