社会保険一般常識16社会保険に関する一般常識(社一)

社労士 社会保険一般常識 問16:社会保険に関する一般常識(社一)

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

社会保険労務士法の業務区分に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度を前提とすること。

  • 社会保険労務士の1号業務は、労働社会保険法令に基づいて行政機関等に提出する申請書・届出書・報告書等の書類の作成および提出代行である。事業主(依頼人)に代わって年金事務所への厚生年金の資格取得届を提出することは、1号業務に該当する。
  • 社会保険労務士の2号業務は、労働社会保険法令に基づく帳簿書類の作成である。賃金台帳・労働者名簿・就業規則の作成は2号業務に該当する。
  • 社会保険労務士の3号業務は、個別労働関係紛争の解決の手続きの代理(特定社会保険労務士に限り、紛争価額が120万円を超える事件以外のものに限る)を含む相談・指導業務である。正答
  • 1号業務と2号業務は社会保険労務士の独占業務であり、社会保険労務士でない者が他人の求めに応じ報酬を得て1号業務または2号業務を行うことは禁止されている。ただし、他の法律の規定に基づいてその業務を行う場合はこの限りでない。
  • 社会保険労務士は、いわゆる「付随業務」として、労務管理に関する相談・指導(3号業務)や事業主への労働関係法令の説明・助言等を行うことができる。この付随業務は独占業務ではなく、社会保険労務士でない者が行っても差し支えない。
正答:社会保険労務士の3号業務は、個別労働関係紛争の解決の手続きの代理(特定社会保険労務士に限り、紛争価額が120万円を超える事件以外のものに限る)を含む相談・指導業務である。

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正答はウ(誤っている記述)です。

ウの「3号業務」の記述が誤りです。3号業務は「事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項についての相談に応じ、又は指導を行うこと」(社労士法第2条第1項第3号)です。紛争解決手続きの代理(あっせん代理)は3号業務とは別に「特定社会保険労務士」に認められた特定業務です。また、個別労働関係紛争のあっせん代理における紛争価額の上限は120万円以下(120万円を超える事件は扱えない)であり、ウの「120万円を超えるもの以外」という記述は文意が逆ではなく合っているように見えますが、3号業務に紛争代理を含める点が誤りです。

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社労士法の業務区分(最重要整理):

| 区分 | 内容 | 独占業務か |

|---|---|---|

| 1号業務 | 労働社会保険法令に基づく申請書・届出書・報告書等の作成および提出代行 | 独占業務 |

| 2号業務 | 労働社会保険法令に基づく帳簿書類の作成 | 独占業務 |

| 3号業務 | 労務管理・労働社会保険法令に関する相談・指導 | 非独占(他の者も可) |

| 特定業務(2条の2) | 特定社会保険労務士のみ:個別労働関係紛争のあっせん等の代理(紛争価額120万円以下) | 特定社労士の独占 |

選択肢ウの誤りの核心:

「個別労働関係紛争の解決の手続きの代理」は3号業務ではなく、社労士法第2条の2に規定される「特定社会保険労務士」の業務です。特定社労士は「特定社会保険労務士付記研修」を修了した社労士のみが担当でき、紛争価額120万円以下の事件について都道府県労働局・あっせん委員への代理出頭等を行います。3号業務(相談・指導)と混同しやすい典型的な出題パターンです。

1号業務の具体例(アの根拠):

  • 厚生年金・健康保険の資格取得届・喪失届の提出代行
  • 雇用保険の被保険者資格取得届・離職票作成
  • 労働基準監督署への36協定届・就業規則届の提出代行
  • 労働保険の年度更新申告書の作成・提出

2号業務の具体例(イの根拠):

  • 賃金台帳・労働者名簿・出勤簿の作成
  • 就業規則・労使協定の作成
  • 各種給付申請書(傷病手当金・育児休業給付等)の作成

エ(独占業務の範囲と例外)の根拠:

社労士法第27条で「社会保険労務士でない者」が報酬を得て1号・2号業務を行うことは禁止されています。ただし弁護士法・税理士法の規定に基づく他の士業者がその権限の範囲内で行う場合(例: 弁護士が訴訟に付随して申請書を作成する場合)は例外です。

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【社労士の業務区分と「隣接士業との競合・協働」問題】

社会保険労務士制度は1968年(昭和43年)に設立された比較的新しい専門職制度です。1号・2号業務の独占は昭和43年の制度設計以来維持されていますが、実務では隣接士業(弁護士・税理士・行政書士)との権限範囲の境界問題が継続的な論点となっています。

弁護士との関係:

弁護士法第3条は「弁護士は一切の法律事務を行うことができる」と規定するため、弁護士は1号・2号業務を含むすべての社労士業務を行うことができます(社労士法第27条但書)。ただし実務上は社労士の専門性・費用・手続き効率の観点から、労働社会保険手続きは社労士に依頼するケースが大多数です。

行政書士との関係:

行政書士は「官公署に提出する書類の作成」を業務範囲としますが(行政書士法第1条の2)、労働社会保険関係の申請書類は社労士の独占業務です。行政書士が労働保険・社会保険の申請書を作成・提出代行することは違法(社労士法第27条違反)とされており、境界紛争が生じることがあります。

3号業務(相談・指導)の非独占と「無料相談」の活用:

3号業務は非独占であるため、経営者・HR担当者・人事コンサルタントも労務管理上の相談・指導を行うことができます。社労士法人やコンサルティング会社は「3号業務としての労務コンサル」と「1号・2号業務の独占領域」を明確に分けて業務を組み合わせています。

特定社労士の「あっせん代理」の実務と戦略的重要性:

特定社会保険労務士(以下「特定社労士」)制度は2007年(平成19年)に創設されました。個別労働関係紛争(解雇・賃金未払い・ハラスメント等)の「あっせん代理」ができる点が最大の特長です。

| 機関 | 手続き | 特定社労士の関与 |

|---|---|---|

| 都道府県労働局(紛争調整委員会) | あっせん | 代理人として出頭・交渉可 |

| 社会保険労務士会(ADR) | 紛争解決(あっせん) | 代理人として関与可 |

| 労働審判(地裁) | 労働審判手続き | 不可(弁護士のみ) |

| 訴訟(地裁・高裁) | 民事訴訟 | 不可(弁護士のみ) |

紛争価額120万円以下の制限は「社労士の活動範囲を労使間の軽微な紛争(解雇予告手当・未払残業代等)に限定し、高額・複雑な事件は弁護士に委ねる」という棲み分けを意図した設計です。

社労士試験での出題パターンと上位資格への接続:

社労士試験の択一・選択式では「1号業務=提出代行(独占)」「2号業務=帳簿作成(独占)」「3号業務=相談指導(非独占)」「特定社労士=あっせん代理(120万円以下)」の4点が骨格です。特に「1号と2号の独占性」「特定社労士のあっせん代理と3号業務の混同」「業務の制限規定(27条)の例外(他の法律で資格を有する者)」が頻出の引っ掛けポイントです。

中小企業診断士・FP1級では「労務コンサルの依頼先の整理」「社労士・弁護士との協働体制の設計」がケーススタディで出題されることがあり、社労士業務の独占領域の理解が経営支援の実務にも直結します。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 社会保険労務士法第2条第1項(1号〜3号業務)・第2条第1項第1号の6(特定社労士の個別労働関係紛争代理・紛争価額120万円超は弁護士同席要件付で可)・第2条第3項(紛争解決手続代理業務は特定社労士に限定)・第27条(業務の制限・独占規定) 一次ソース: e-Gov 社会保険労務士法 https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC1000000089 <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 一次ソース突合。①1号業務=申請書等の作成・提出代行(社労士法第2条第1項第1号・第1号の2)→ア正しい。②2号業務=帳簿書類の作成(同第2号)→イ正しい。③3号業務=労務管理・社会保険諸法令の相談・指導(同第3号)。個別労働関係紛争のあっせん代理は3号業務ではなく**第1号の4〜第1号の6の紛争解決手続代理業務**であり、特定社労士に限られる(第2条第3項)。社労士会労働紛争解決センター(民間ADR)における特定社労士の単独代理は紛争価額120万円以下に限定、120万円超は弁護士が同一依頼者から受任している場合に限り代理可(第2条第1項第1号の6)。ウは「3号業務に紛争代理を含める」点と「120万円を超える事件以外(=120万円以下)のみ」と単独代理限定を誤って一般化している点で誤り=正答。④独占業務違反は罰則あり(第32条の2)、他法令例外あり→エ正しい。⑤3号業務は非独占→オ正しい。正答ウで確定。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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