社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 社会保険一般常識 問16|社会保険労務士法の業務区分

問題

社労士 | 社会保険一般常識 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

社会保険労務士法の業務区分に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度を前提とすること。

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答え合わせ

正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はウ(誤っている記述)です。

ウの「3号業務」の記述が誤りです。3号業務は「事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項についての相談に応じ、又は指導を行うこと」(社労士法第2条第1項第3号)です。紛争解決手続きの代理(あっせん代理等)は3号業務ではなく、第2条第1項第1号の4〜第1号の6の「紛争解決手続代理業務」で、特定社会保険労務士に限られます(同条第2項)。また、紛争価額120万円の上限があるのは民間紛争解決手続(社労士会の労働紛争解決センター等)の代理(第1号の6)で、120万円を超える事件も弁護士が同一の依頼者から受任している場合は代理できます。都道府県労働局のあっせん(第1号の4)には金額の上限はありません。

社労士法の業務区分(最重要整理):

区分内容独占業務か
1号業務(第1号〜第1号の3)労働社会保険法令に基づく申請書・届出書・報告書等の作成・提出代行・事務代理独占業務
紛争解決手続代理業務(第1号の4〜第1号の6)特定社会保険労務士のみ:労働局のあっせん等の代理、民間紛争解決手続の代理(紛争価額120万円以下、超える場合は弁護士との共同受任)特定社労士に限る(第2条第2項)
2号業務労働社会保険法令に基づく帳簿書類の作成独占業務
3号業務労務管理・労働社会保険法令に関する相談・指導非独占(他の者も可)

選択肢ウの誤りの核心:

「個別労働関係紛争の解決の手続きの代理」は3号業務ではなく、第2条第1項第1号の4〜第1号の6の「紛争解決手続代理業務」で、特定社会保険労務士に限られます。特定社労士は研修を修了し紛争解決手続代理業務試験に合格して付記を受けた社労士です。3号業務(相談・指導)と混同しやすい典型的な出題パターンです。

1号業務の具体例(アの根拠):

  • 厚生年金・健康保険の資格取得届・喪失届の提出代行
  • 雇用保険の被保険者資格取得届・離職票作成
  • 労働基準監督署への36協定届・就業規則届の提出代行
  • 労働保険の年度更新申告書の作成・提出

2号業務の具体例(イの根拠):

  • 賃金台帳・労働者名簿・出勤簿など、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成
  • (傷病手当金・育児休業給付等の給付申請書の作成は、行政機関等に提出する申請書等の作成で1号業務)

エ(独占業務の範囲と例外)の根拠:

社労士法第27条で「社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者」が他人の求めに応じ報酬を得て、第2条第1項第1号から第2号までの事務を業として行うことは禁止されています。ただし「他の法律に別段の定めがある場合」(例: 弁護士法第3条に基づき弁護士が行う場合)と「政令で定める業務に付随して行う場合」は例外です(同条ただし書)。

【社労士の業務区分と「隣接士業との競合・協働」問題】

社会保険労務士制度は1968年(昭和43年)に設立された比較的新しい専門職制度です。1号・2号業務の独占は昭和43年の制度設計以来維持されていますが、実務では隣接士業(弁護士・税理士・行政書士)との権限範囲の境界問題が継続的な論点となっています。

弁護士との関係:

弁護士法第3条は、弁護士が訴訟事件・非訟事件・審査請求等に関する行為「その他一般の法律事務」を行うことを職務とすると規定しており、弁護士は1号・2号業務を行うことができると解されています(社労士法第27条ただし書「他の法律に別段の定めがある場合」)。ただし実務上は社労士の専門性・費用・手続き効率の観点から、労働社会保険手続きは社労士に依頼するケースが大多数です。

行政書士との関係:

行政書士は「官公署に提出する書類の作成」を業務範囲としますが(行政書士法第1条の2)、労働社会保険関係の申請書類は社労士の独占業務です。行政書士が労働保険・社会保険の申請書を作成・提出代行することは違法(社労士法第27条違反)とされており、境界紛争が生じることがあります。

3号業務(相談・指導)の非独占と「無料相談」の活用:

3号業務は非独占であるため、経営者・HR担当者・人事コンサルタントも労務管理上の相談・指導を行うことができます。社労士法人やコンサルティング会社は「3号業務としての労務コンサル」と「1号・2号業務の独占領域」を明確に分けて業務を組み合わせています。

特定社労士の「あっせん代理」の実務と戦略的重要性:

特定社会保険労務士(以下「特定社労士」)は、特別研修を修了して紛争解決手続代理業務試験に合格し、その旨の付記を受けた社労士です(社労士法第2条第2項)。個別労働関係紛争(解雇・賃金未払い・ハラスメント等)の「あっせん代理」ができる点が最大の特長です。

機関手続き特定社労士の関与
都道府県労働局(紛争調整委員会)あっせん代理人として出頭・交渉可(金額の上限なし)
社会保険労務士会(ADR)等の民間紛争解決手続紛争解決(あっせん)代理人として関与可(紛争価額120万円以下。超える場合は弁護士との共同受任)
労働審判(地裁)労働審判手続き不可(弁護士のみ)
訴訟(地裁・高裁)民事訴訟不可(弁護士のみ)

民間紛争解決手続の紛争価額120万円以下の制限は、高額な事件は弁護士との共同受任とする棲み分けを意図した設計です。

社労士試験での出題パターンと上位資格への接続:

社労士試験の択一・選択式では「1号業務=提出代行(独占)」「2号業務=帳簿作成(独占)」「3号業務=相談指導(非独占)」「特定社労士=紛争解決手続代理業務(民間ADRは120万円以下)」の4点が骨格です。特に「1号と2号の独占性」「特定社労士のあっせん代理と3号業務の混同」「業務の制限規定(27条)の例外(他の法律で資格を有する者)」が頻出の引っ掛けポイントです。

中小企業診断士・FPなど隣接資格の実務でも、「労務コンサルの依頼先の整理」「社労士・弁護士との協働体制の設計」を考える場面があり、社労士業務の独占領域の理解が経営支援の実務にも直結します。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 社会保険労務士法第2条第1項(第1号〜第1号の3=申請書等の作成・提出代行・事務代理、第1号の4〜第1号の6=紛争解決手続代理業務、第2号=帳簿書類の作成、第3号=相談・指導)・第2条第1項第1号の6(民間紛争解決手続の代理は紛争価額120万円以下、超える場合は弁護士が同一の依頼者から受任しているものに限る)・第2条第2項・第3項(紛争解決手続代理業務は特定社労士に限る)・第27条(業務の制限) 一次ソース: e-Gov 社会保険労務士法 https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC1000000089 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。