社会保険一般常識17社会保険に関する一般常識(社一)

社労士 社会保険一般常識 問17:社会保険に関する一般常識(社一)

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度を前提とすること。

  • 高齢者医療確保法は、65歳以上75歳未満の前期高齢者と75歳以上の後期高齢者の双方に適用される。前期高齢者は後期高齢者医療広域連合の被保険者となり、75歳到達時に自動的に後期高齢者医療制度に移行する。
  • 後期高齢者医療制度の運営主体は、都道府県ごとに設置される後期高齢者医療広域連合である。各都道府県内のすべての市町村が当該広域連合を組織し、保険料率の決定および保険料の徴収はいずれも各市町村が独自に行う。
  • 前期高齢者財政調整制度とは、65歳以上75歳未満の前期高齢者に係る医療費について、医療保険者間の費用負担の不均衡を調整する仕組みである。前期高齢者の加入割合が低い医療保険者(主に協会けんぽ・組合健保)は財政調整交付金を受け取り、加入割合が高い医療保険者(主に国民健康保険)は納付金を拠出する。
  • 後期高齢者医療制度の保険料は、全国一律の料率が法律で定められており、都道府県ごとに料率が異なることはない。保険料の財源は、後期高齢者自身の保険料のみで賄われる。
  • 後期高齢者医療制度における一部負担金の割合は、原則として1割であり、現役並み所得者は3割負担となる。令和4年10月の改正により、一定以上の所得を有する者については2割負担が導入された。正答
正答:後期高齢者医療制度における一部負担金の割合は、原則として1割であり、現役並み所得者は3割負担となる。令和4年10月の改正により、一定以上の所得を有する者については2割負担が導入された。

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正答はオ(正しい記述)です。

後期高齢者医療制度の一部負担金は、原則1割・現役並み所得者は3割です。令和4年10月の改正により、現役並み所得者と一般所得者の間に「一定以上の所得を有する者(2割負担)」が新設されました(高齢者医療確保法第110条)。

アは誤りです。前期高齢者(65〜74歳)は、それぞれが加入する医療保険(健保・国保等)の被保険者のままであり、後期高齢者医療広域連合の被保険者にはなりません。イは誤りです。保険料率の決定は広域連合が行い、市町村ではありません(徴収のみ市町村)。ウは誤りです。前期高齢者財政調整は「加入割合が高い保険者が交付金を受け取る(国保側)・低い保険者が納付金を拠出する(健保側)」構造で、記述と逆です。エは誤りです。保険料率は都道府県の広域連合ごとに異なります。

標準試験対策の基準レベル

高齢者医療確保法の2本立て構造:

| 制度 | 対象年齢 | 保険者 | 財政調整の有無 |

|---|---|---|---|

| 前期高齢者財政調整 | 65〜74歳 | 各自加入の医療保険者(健保・国保等) | あり(保険者間の拠出・交付) |

| 後期高齢者医療制度 | 75歳以上(65歳以上の障害認定者含む) | 後期高齢者医療広域連合 | 公費・支援金・保険料の3本柱 |

前期高齢者財政調整(ウの根拠・誤りの詳細):

前期高齢者(65〜74歳)は、職域保険(健保組合・協会けんぽ)と地域保険(国民健康保険)の間で加入構成が大きく異なります。退職後に国保に移行する人が多いため、国保側に前期高齢者が集中します。

  • 加入割合が高い保険者(主に国保): 前期高齢者交付金を受け取る
  • 加入割合が低い保険者(主に健保組合・協会けんぽ): 前期高齢者納付金を拠出する

ウの記述は「低い→受け取り・高い→納付」と逆に述べているため誤りです。

後期高齢者医療の財源構成(エの根拠・誤りの詳細):

後期高齢者医療の財源は、被保険者の保険料だけでは賄われません。おおむね以下の3本柱で構成されます。

  • 公費(国・都道府県・市町村): 約50%
  • 後期高齢者支援金(現役世代の医療保険から): 約40%
  • 後期高齢者自身の保険料: 約10%

保険料率(`{{KORYO_HOKEN_RITSU}}`)は都道府県の広域連合ごとに異なります(法律で全国一律ではありません)。徴収は市町村が担当し、運営は広域連合が担います(イの後段「保険料徴収は市町村」は正しいが前段「すべての市町村が組織」は正しい)。

一部負担金の3段階(オの根拠・正解):

| 区分 | 一部負担割合 | 対象 |

|---|---|---|

| 一般 | 1割 | 上記以外の被保険者 |

| 一定以上所得 | 2割(2022年10月新設) | 単身年収200万円以上等 |

| 現役並み所得 | 3割 | 単身年収383万円以上等 |

上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【高齢者医療確保法の制定背景と「2008年改革」の意義】

高齢者医療確保法(旧称:老人保健法)は2008年4月に施行されました。旧老人保健法では、老人医療費の財源を各保険者の拠出金で賄う仕組みでしたが、高齢者加入者が国保に集中する問題(負担の不均衡)と、老人医療の独立した制度根拠が不明確という問題がありました。2008年改革の核心は以下の2点です。

1. 前期高齢者財政調整の創設: 65〜74歳は各自の医療保険に残したまま、保険者間の財政不均衡のみを調整する仕組みを導入(制度統合なし・調整のみ)

2. 後期高齢者医療制度の独立: 75歳以上を独立した制度(被保険者資格・保険者・保険料・給付を全て独立化)に移行

【前期高齢者財政調整の実務的含意と「負担の可視化」】

前期高齢者財政調整は、健保組合・協会けんぽ側の「若年者中心の保険者が高齢者医療費を間接的に支えている」という構造を明示化した制度です。

社労士が企業顧問として健保組合や事業主に説明する際の重要ポイント:

  • 健保組合が拠出する前期高齢者納付金は、保険料率(事業主・労働者負担)に直接影響する
  • 定年延長・再雇用の推進により65〜74歳の在職者が増えると、健保組合側の前期高齢者加入割合が上昇し、財調交付金の受取側に転じる可能性がある
  • 大企業健保組合で高齢者が多い場合、財調による財政圧迫が保険料率引上げにつながるため、定年延長政策と医療保険財政は連動して分析する必要がある

【後期高齢者医療制度の「広域連合」という独特の組織形態】

後期高齢者医療広域連合は、地方自治法第284条の「広域連合」として設立された特別地方公共団体です。都道府県内の全市町村が加入します。

| 役割 | 担当 |

|---|---|

| 制度の企画・運営・保険料率の決定 | 後期高齢者医療広域連合 |

| 保険料の徴収(年金天引き・口座振替等) | 市町村 |

| 窓口業務・申請受付・資格管理 | 市町村 |

| 医療費の審査・支払い | 社会保険診療報酬支払基金・国保連合会 |

この「広域連合が決め・市町村が徴収する」二層構造は、社労士試験で「保険者の特定」「徴収主体の特定」として問われます。

【2割負担導入(2022年10月)の政策的背景と社労士実務への波及】

2022年10月の後期高齢者2割負担導入は、団塊の世代(1947〜49年生まれ)が後期高齢者(75歳以上)に移行する2022〜2025年に向けた医療費抑制策です。導入時には「急激な負担増の緩和措置」として3年間(〜2025年9月)の激変緩和措置(外来医療費の月額上限付き)が設けられました。

社労士実務における後期高齢者医療の関連論点:

1. 資格取得・喪失の手続き: 75歳到達時に各自の医療保険(健保・国保)を資格喪失し、後期高齢者医療制度に自動的に加入。事業主は健保の喪失届を5日以内に提出する義務がある

2. 被扶養者の扱い: 健保の被扶養者が75歳に達した場合、被扶養者の地位を喪失し、後期高齢者医療の独立した被保険者となる。扶養から外れた被保険者(主として配偶者)の保険料負担が生じる

3. 高額療養費・高額介護合算療養費との連携: 後期高齢者医療にも高額療養費制度が適用される。介護保険と合算する「高額介護合算療養費」も後期高齢者に適用され、両制度の自己負担合算に年間上限が設定されている

【上位資格(FP・ケアマネ)への接続】

FP試験では「後期高齢者医療制度の財源3本柱(公費・支援金・保険料)」「保険料率の都道府県別差異」「一部負担金の3区分」が頻出です。ケアマネ(介護支援専門員)資格では、介護保険と医療保険の境界(医療系サービスの給付対象・医療費控除との関係)が問われます。社労士は両資格保持者と連携して高齢者の包括的な給付設計を行う場面が増えており、前期・後期の制度区分を正確に押さえることが必須です。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 高齢者医療確保法第47条(後期高齢者医療広域連合)・第50条(被保険者)・第48条(広域連合と市町村の役割分担)・第104条・第110条(一部負担金の割合・1割/2割/3割) 前期高齢者財政調整: 高齢者医療確保法第32条〜第41条 保険料の財源構成: 後期高齢者医療の財源(保険料約10%・後期高齢者支援金約40%・公費約50%) 一次ソース: e-Gov 高齢者の医療の確保に関する法律 https://laws.e-gov.go.jp/law/318AC0000000080 ・厚労省 後期高齢者医療制度の概要 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/koukikourei/index.html <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser)改訂: ア誤り(前期高齢者65〜74歳は各自が加入する医療保険制度(健保・国保等)のまま→後期高齢者医療広域連合の被保険者ではない。前段の誤り)。イ誤り(保険料率の決定は広域連合が行い、市町村ではない。徴収のみ市町村が行う。「保険料率の決定および徴収はいずれも各市町村が独自に行う」は誤り)。ウ誤り(財政調整の方向性が逆。前期高齢者加入割合が高い保険者=国保等が交付金を受け取り・加入割合が低い保険者=健保等が納付金を拠出する。ウの記述は方向性を逆に述べているため誤り)。エ誤り(保険料率は都道府県の広域連合ごとに異なる・財源は保険料約10%+後期高齢者支援金約40%+公費約50%)。オ正しい(原則1割・現役並み所得3割・令和4年10月改正で一定以上所得者2割導入が正確)。正答オ確定。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

関連論点

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