社会保険一般常識18社会保険に関する一般常識(社一)

社労士 社会保険一般常識 問18:社会保険に関する一般常識(社一)

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

国民健康保険の保険料(保険税)の賦課方式に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度を前提とすること。

  • 国民健康保険の保険料(保険税)は、所得割・均等割・平等割・資産割の4要素(4方式)を組み合わせて算定される。すべての市町村がこの4方式すべてを採用しなければならない。正答
  • 所得割とは、被保険者の所得に応じて算定される部分であり、世帯単位で賦課される。均等割とは、被保険者1人につき一定額を賦課する部分であり、世帯の被保険者人数が多いほど均等割額が大きくなる。
  • 平等割とは、世帯に対して被保険者数にかかわらず一定額を賦課する部分である。資産割とは、被保険者の固定資産税額等の資産に応じて算定される部分である。現在、資産割を採用する市町村は年々減少している。
  • 国民健康保険の保険料(保険税)には、医療給付費分・後期高齢者支援金等分・介護納付金分の3区分がある。介護納付金分は、40歳以上65歳未満の被保険者のみに賦課される。
  • 国民健康保険の被保険者が低所得者である場合、保険料(保険税)の軽減制度が設けられている。7割・5割・2割の軽減が法令上規定されており、均等割と平等割が軽減の対象となる。
正答:国民健康保険の保険料(保険税)は、所得割・均等割・平等割・資産割の4要素(4方式)を組み合わせて算定される。すべての市町村がこの4方式すべてを採用しなければならない。

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正答はア(誤っている記述)です。

アの誤りは「すべての市町村がこの4方式すべてを採用しなければならない」という点です。国民健康保険法上、4方式の採用は義務ではなく、市町村は条例で採用する方式を選択できます。資産割を廃止して所得割・均等割・平等割の3方式を採用する市町村が増えており、さらに資産割と平等割を廃止して所得割・均等割の2方式のみとする市町村もあります。

国保保険料(保険税)の4要素の意味は次のとおりです。所得割は所得に応じた部分、均等割は1人あたり一定額、平等割は世帯あたり一定額、資産割は固定資産税等に応じた部分です。必ずしも4方式全てを使う必要はありません(イ〜オの内容は正しい)。

標準試験対策の基準レベル

国保保険料(保険税)の4方式(最重要整理):

| 賦課要素 | 算定基準 | 特徴 |

|---|---|---|

| 所得割 | 被保険者の所得(世帯合算) | 所得比例。低所得者ほど負担が少ない |

| 均等割 | 被保険者1人あたり定額 | 人数依存。子どもが多い世帯は重い |

| 平等割 | 世帯あたり定額 | 人数にかかわらず同額 |

| 資産割 | 固定資産税額等 | 資産(土地・家屋)に応じた負担 |

4方式の採用義務はない(アの誤りの核心):

国保法は「保険料は所得・資産・世帯人数等を考慮して条例で定める」と規定しており(第76条)、4方式すべての採用を義務付けていません。市町村の条例で選択します。近年は資産割廃止(3方式化)が進んでいます。

3区分賦課の構造(エの根拠):

| 区分 | 対象者 | 賦課目的 |

|---|---|---|

| 医療給付費分 | 全被保険者 | 医療給付費の財源 |

| 後期高齢者支援金等分 | 全被保険者 | 後期高齢者医療への支援金 |

| 介護納付金分 | 40〜64歳のみ | 介護保険制度の第2号被保険者分担 |

低所得者軽減制度(オの根拠):

均等割と平等割に対し、世帯の所得水準に応じて以下の法定軽減が適用されます。

| 軽減率 | 対象世帯(概要) |

|---|---|

| 7割軽減 | 世帯主・被保険者全員の所得の合計が基準以下(最も低所得) |

| 5割軽減 | 世帯主・被保険者全員の所得の合計が一定基準以下 |

| 2割軽減 | 世帯主・被保険者全員の所得の合計がやや高い水準まで |

所得割は軽減の対象外(所得が少なければ算定額が低くなるため自動的に軽減される)。

上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【国保の賦課方式と「均等割・子どもの保険料問題」の政策論点】

国民健康保険の均等割は「被保険者1人につき」賦課されるため、子どもが多い世帯ほど保険料が重くなるという問題が以前から指摘されていました。健保組合や協会けんぽでは被扶養者の保険料はゼロですが、国保は扶養という概念がなく、子ども1人につき均等割が課されます。

2022年(令和4年)度から、未就学児(6歳未満)の均等割を国が2分の1支援する措置が始まり、2024年(令和6年)度からは18歳以下の子どもの均等割軽減(所得制限あり・地方単独事業)も拡大されています。これは「少子化対策と国保財政の調整」という政策的意図があり、社労士試験でも将来的に出題可能性のある改正論点です。

【資産割廃止の背景と国保の財政構造】

資産割は「土地・家屋の固定資産税を多く支払っている世帯は保険料も多く負担すべき」という考え方に基づきますが、以下の理由で廃止が進んでいます。

1. 農地・山林を持つ農家でも現金収入が少ない場合があり、担税力との乖離がある

2. 固定資産税評価額は時価と乖離しやすく、賦課の公平性に問題がある

3. 資産割がある市町村は負担額が不透明になりやすく、被保険者の理解を得にくい

国保の都道府県単位化(2018年)以降、都道府県が「標準的な算定方式」を示すことで資産割廃止の流れが加速しています。

【国保の都道府県単位化(2018年)と市町村国保の変質】

2018年(平成30年)4月、国民健康保険の財政運営主体が市町村から都道府県に移行しました(国保法改正)。

| 項目 | 改正前(〜2017年度) | 改正後(2018年度〜) |

|---|---|---|

| 財政運営主体 | 市町村単体 | 都道府県(財政安定化基金保持) |

| 保険者 | 市町村 | 都道府県と市町村の共同保険者 |

| 標準保険料率 | 各市町村が独自設定 | 都道府県が標準保険料率を算定・提示 |

| 被保険者証 | 市町村ごとに発行 | 都道府県単位で統一する方向に移行中 |

この改革により、市町村ごとに大きく異なっていた保険料水準を将来的に平準化する「都道府県内保険料水準統一」の方向性が示されています。ただし実際の保険料率決定はまだ各市町村の裁量が残っており、完全統一は段階的に進む見込みです。

【社労士実務での国保関連業務】

社労士が国保に関係する主な業務は以下のとおりです。

1. 任意継続被保険者制度との比較: 退職後、健保の任意継続(2年間・保険料は在職時の最大2倍)か国保加入かを選択する際の試算支援。国保は前年所得・世帯人数・市町村によって保険料が大きく異なるため、個別試算が必要です

2. 国保組合: 建設国保・文芸美術国保・医師国保等の職域系国保組合の設立・運営に関する法的手続きは社労士が関与できます(法第13条の国保組合の特例)

3. 事業者の適用拡大と国保離れ: 従業員5人以上の個人事業所(強制適用業種)や2026年10月以降の適用拡大により、国保から健保への移行が発生する局面では、社労士が資格取得手続きを担います

【上位資格(FP1級・AFP)への接続】

FP1級・AFPでは「公的医療保険の種類別特徴比較(健保・国保・後期高齢者医療)」「退職後の保険料試算(国保vs任意継続)」が頻出です。国保の4方式・軽減制度・都道府県単位化の流れは、ライフプランニング(退職後の社会保険設計)に直結します。特に「定年退職後の最初の1〜2年間の国保保険料が前職の高所得を反映して高額になる問題」は、退職前後の社会保険設計において社労士とFPが協働する典型的な場面です。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民健康保険法第76条(保険料)・第81条(条例の定め)・国税通則法等準用・国保法施行令 4方式の義務性: 国保法上は4方式を採用することを義務付けておらず、市町村の条例で選択可(3方式・2方式の採用も可) 3区分賦課: 国保法第76条の2〜第76条の4 軽減制度: 国保法施行令第29条の7 一次ソース: e-Gov 国民健康保険法 https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192 ・厚労省 国民健康保険の解説 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/kokumin.html <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): ア誤り(4方式全採用は義務ではなく、市町村の条例で3方式・2方式も選択可。資産割を廃止した3方式採用自治体が増加)。イ正しい(所得割=世帯の所得に応じ賦課・均等割=被保険者1人あたり賦課)。ウ正しい(平等割=世帯一定額・資産割=固定資産税等連動・採用市町村減少傾向)。エ正しい(3区分・介護納付金分は40〜64歳のみ)。オ正しい(7/5/2割軽減・均等割+平等割が対象)。正答ア確定。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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