社会保険一般常識19社会保険に関する一般常識(社一)

社労士 社会保険一般常識 問19:社会保険に関する一般常識(社一)

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

介護保険の保険給付における利用者負担割合および区分支給限度基準額に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度を前提とすること。

  • 介護保険の居宅サービスを利用する場合、利用者は費用の全額を一旦自己負担し、その後保険者(市町村)に給付費の支給申請を行う償還払いが原則となっている。
  • 介護保険の利用者負担割合は原則1割であるが、一定以上の所得を有する者については2割または3割を負担する。3割負担の対象は、現役並み所得者(本人の合計所得金額が220万円以上等)に限定されており、2割負担よりも高い所得基準が適用される。
  • 区分支給限度基準額とは、要介護・要支援の各区分ごとに定められた1か月当たりの給付限度額である。この限度額を超えてサービスを利用した場合、超過分はすべて全額自己負担となる。
  • 介護保険の居宅介護サービス費(区分支給限度基準額の範囲内)の利用者負担割合は、第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40〜64歳)で異なる。第2号被保険者は原則2割負担とされている。
  • 施設サービス(特別養護老人ホーム等)の食費・居住費は、介護保険の保険給付の対象外であり、原則として全額自己負担となる。ただし、低所得者に対しては補足給付(特定入所者介護サービス費)が支給される。正答
正答:施設サービス(特別養護老人ホーム等)の食費・居住費は、介護保険の保険給付の対象外であり、原則として全額自己負担となる。ただし、低所得者に対しては補足給付(特定入所者介護サービス費)が支給される。

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正答はオ(正しい記述)です。

特別養護老人ホーム等の施設サービスを利用する際の食費と居住費は介護保険の給付対象外であり、原則として全額自己負担です(介護保険法第51条の4)。ただし低所得者には「補足給付(特定入所者介護サービス費)」が支給され、実質的な自己負担が軽減されます。

アは誤りです。居宅介護サービス費は現物給付が原則(法定代理受領)であり、利用者は自己負担分のみを支払います。エは誤りです。利用者負担割合(1割/2割/3割)は第1号・第2号被保険者で区別なく所得水準に基づき決定されます。第2号被保険者だから2割というルールはありません。ウの区分支給限度基準額超過分が全額自己負担となる点は正しい記述です。

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利用者負担の3段階(イの根拠):

| 負担割合 | 所得基準(概要) | 対象例 |

|---|---|---|

| 1割 | 上記以外の全被保険者 | 一般の高齢者(大多数) |

| 2割 | 合計所得金額160万円以上等(一定以上所得) | 年金収入概ね280万円以上等 |

| 3割 | 合計所得金額220万円以上等(現役並み所得) | 年金収入概ね340万円以上等 |

3割負担は2018年(平成30年)8月から導入されました。第1号被保険者と第2号被保険者の区別なく、所得に応じて1〜3割の負担が決定されます(エの「第2号=2割」は誤り)。

区分支給限度基準額の仕組み(ウの根拠):

区分支給限度基準額は、要介護・要支援の区分ごとに月額(単位数)で定められた上限です。

| 区分 | 単位数目安(令和6年度改定後) |

|---|---|

| 要支援1 | 5,032単位 |

| 要支援2 | 10,531単位 |

| 要介護1 | 16,765単位 |

| 要介護2 | 19,705単位 |

| 要介護3 | 27,048単位 |

| 要介護4 | 30,938単位 |

| 要介護5 | 36,217単位 |

(1単位 = 10円前後。地域加算あり)

限度額を超えてサービスを利用した場合、超過分は保険給付なしで利用者の全額自己負担となります。

補足給付(特定入所者介護サービス費)の構造(オの根拠):

施設サービスの食費・居住費は保険給付外ですが、所得・資産要件を満たす低所得者には補足給付が支給されます。補足給付の受給には「負担限度額認定証」の交付が必要です。資産要件(単身1,000万円以下・夫婦2,000万円以下等)が設定されており、資産を隠して受給することへの対応が2015年改正で強化されました。

現物給付の原則(アの根拠・誤りの詳細):

居宅介護サービス費は「法定代理受領サービス」として現物給付が原則です。利用者はサービス利用時に自己負担分(1〜3割)のみを直接事業者に支払い、残り(7〜9割)は保険者が直接事業者に支払います。償還払いは例外的な場合(指定外サービス利用等)に限られます。

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【介護保険の「現物給付」と「法定代理受領サービス」の仕組み】

介護保険の保険給付は、医療保険と同様に「現物給付方式(法定代理受領サービス)」が原則です。この方式では、被保険者(利用者)が事業者(訪問介護・デイサービス等)と「法定代理受領サービス受領委任状」を取り交わすことで、保険者(市町村)から給付費が事業者に直接支払われます。利用者は自己負担分(1〜3割)のみを事業者に支払えばよく、高額な費用を一旦全額立て替える必要がありません。

この仕組みは、医療費の窓口負担(保険証提示で3割負担のみ支払う)と同様の考え方です。社労士試験で「現物給付か償還払いか」を問う問題では、「指定事業者のサービス=現物給付・それ以外は償還払い」という原則を押さえる必要があります。

【区分支給限度基準額の「単位数」設計と地域差】

区分支給限度基準額は「単位数」で設定されています。この単位数に「1単位あたりの単価(サービス種別・地域ごとに異なる)」を乗じて費用額が計算されます。

  • 都市部(東京都特別区等)は地域加算が適用され、1単位 = 11.4円程度
  • 地方部は地域加算なし(基本単価)で、1単位 = 10円

同じ単位数の限度額でも、実際のサービス提供費用は地域によって異なります。この「単位数設計」は、地域格差の中でサービスの公平性を確保しながら給付上限を設ける工夫です。

【補足給付(特定入所者介護サービス費)の2015年改正と資産要件】

2015年(平成27年)8月の改正で、補足給付の受給要件に「資産要件」が追加されました。改正前は所得(年金収入)のみで判定されていたため、預貯金が多くても補足給付を受給できるケースがありました。改正後は:

  • 預貯金・有価証券等の資産: 単身1,000万円以下・配偶者がいる場合は合計2,000万円以下
  • 配偶者の所得: 世帯分離していても配偶者の所得情報を確認(世帯分離を利用した不正受給防止)
  • 不動産: 不動産は資産要件の対象外(評価が複雑なため)

この改正は「隠れた資産保有者への補足給付」を適正化する目的があり、実務上の手続きが複雑化しました。社労士は施設入所支援業務で補足給付の負担限度額認定申請を代行できます(1号業務)。

【2024年度介護保険改正と区分支給限度基準額の引上げ】

2024年(令和6年)4月の介護報酬改定に合わせて区分支給限度基準額が引き上げられました(前回2021年度改定から約3年)。改定率は全体で+1.59%であり、訪問介護の基本報酬は引き下げられた一方、医療・介護連携加算・認知症対応強化加算が充実されました。

社労士の観点からは、区分支給限度基準額の改定がケアプランに与える影響(サービス量の見直し・利用者負担額の変動)の説明が企業の高齢者雇用支援・福祉業者への支援場面で求められます。

【3割負担(2018年8月導入)の政策背景と「2割負担との混同」注意点】

3割負担の導入は「団塊世代が75歳以上に移行する2025年問題」に先行して、現役並み所得の高齢者に応分の負担を求める改革です。試験上の注意点は「2割と3割の基準額の混同」です。

  • 2割負担の基準: 合計所得金額160万円以上かつ年金収入+その他合計所得が単身280万円以上等
  • 3割負担の基準: 合計所得金額220万円以上かつ年金収入+その他合計所得が単身340万円以上等

「220万円以上かどうか」が2割と3割の分水嶺であり、イの「3割=220万円以上等」は正しいです。

【FP・社会福祉士との連携と上位資格への接続】

FP試験では「介護費用の試算(区分支給限度基準額×自己負担割合+食費・居住費の実費)」がライフプランニング科目で出題されます。社会福祉士(ケアマネ)との連携では、社労士がケアプランの法的適合性(事業者の指定要件・処遇改善加算の条件等)を確認し、適正な労務管理(訪問介護員の労働時間・移動時間の計算等)を支援する場面があります。「在宅で介護している家族の介護休業給付」の手続きも社労士業務であり、介護保険制度と雇用保険の接点を理解することが実務に直結します。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 介護保険法第41条(居宅介護サービス費・現物給付)・第50条・第51条の2・第51条の3(利用者負担割合1割/2割/3割)・第43条(区分支給限度基準額)・第51条の4(補足給付) 限度額超過分の自己負担: 介護保険法第41条第4項(法定代理受領サービスの原則) 食費・居住費の補足給付: 介護保険法第51条の4(特定入所者介護サービス費) 一次ソース: e-Gov 介護保険法 https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123 ・厚労省 介護保険制度の概要 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/index.html <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): ア誤り(居宅介護サービス費は法定代理受領サービスが原則で現物給付=保険者が直接サービス事業者に支払う→利用者は自己負担分のみ直接支払い)。イ正しい(3割=合計所得220万円以上等・2割=合計所得160万円以上等・数値は概要として正しい)。ウ正しい(区分支給限度基準額の超過分は全額自己負担)。エ誤り(利用者負担は第1号・第2号被保険者で区別なく所得に応じて1/2/3割)。オ正しい(食費・居住費は保険給付対象外・全額自己負担が原則・補足給付あり)。正答オ確定。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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