社労士 社会保険一般常識 問20:社会保険に関する一般常識(社一)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
介護保険における要介護・要支援認定に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度を前提とすること。
- ア要介護認定の区分は、要介護1から要介護5までの5段階であり、要介護5が最も重い状態(介護の必要度が最も高い)とされている。要支援認定の区分は要支援1・要支援2の2段階であり、要支援1が比較的軽度な状態とされている。
- イ新規の要介護・要支援認定における認定有効期間の原則は6か月であるが、市町村は特定の場合に3か月から12か月の範囲で認定有効期間を設定することができる。
- ウ要介護・要支援認定の申請は、本人または家族のほか、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者も代理申請を行うことができる。認定の審査・判定は介護認定審査会が行い、市町村が認定を行う。
- エ要介護・要支援認定には有効期間があり、継続してサービスを受けるためには更新認定の申請が必要である。更新認定における認定有効期間は、原則12か月であり、市町村が必要と認める場合は最長36か月まで延長できる。正答
- オ要支援認定を受けた被保険者は、介護予防サービスを利用することができる。要支援1・2の者が利用できる介護予防訪問介護と介護予防通所介護は、2015年(平成27年)4月から地域支援事業(介護予防・日常生活支援総合事業)に移行した。
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正答はエ(誤っている記述)です。
エの誤りは「市町村が必要と認める場合は最長36か月まで延長できる」という点です。2021年(令和3年)4月の介護保険法施行規則の改正により、更新認定の認定有効期間の上限は36か月から48か月に延長されました(更新前と同じ要介護度に認定された場合に限る)。したがって現行制度では「原則12か月・最長48か月」が正しく、エの「最長36か月」は改正前の旧基準であって誤りです。
各選択肢のポイントを確認します。新規認定の原則有効期間は6か月(市町村の判断で3〜12か月)、更新認定の原則有効期間は12か月(市町村の判断で最長48か月)です。要介護1〜5・要支援1〜2の区分構造、介護認定審査会による審査、2015年の地域支援事業移行はいずれも正しい知識です。
要介護・要支援認定の区分(アの根拠):
| 区分 | 状態の目安 | 利用できるサービス |
|---|---|---|
| 要支援1 | 基本的な日常生活はほぼ自立 | 介護予防サービス・総合事業 |
| 要支援2 | 一部に支援が必要 | 介護予防サービス・総合事業 |
| 要介護1 | 一部介護が必要(軽度) | 居宅・施設・地域密着型 |
| 要介護2 | 軽度〜中程度の介護が必要 | 同上 |
| 要介護3 | 中程度の介護が必要 | 同上(施設入所の対象) |
| 要介護4 | 重度の介護が必要 | 同上 |
| 要介護5 | 最も重度(最大介護必要) | 同上 |
認定有効期間の整理(エの誤りの核心):
| 認定種別 | 原則有効期間 | 市町村裁量の範囲 |
|---|---|---|
| 新規認定 | 6か月 | 3〜12か月 |
| 更新認定(2021年改正前) | 12か月 | 3〜36か月 |
| 更新認定(2021年改正後) | 12か月 | 3〜48か月 |
| 変更認定 | 6か月 | 3〜12か月 |
2021年(令和3年)4月施行の改正で更新認定の上限が36か月から48か月に延長されました。エは「最長36か月まで延長できる」と記述しており、これは改正前の旧基準であって現行制度では誤り(正しくは48か月)です。
認定の申請・審査フロー(ウの根拠):
1. 本人・家族・地域包括支援センター・居宅介護支援事業者等が市町村へ申請
2. 市町村が「訪問調査(調査員による74項目の基本調査)」と「主治医意見書」を取得
3. 介護認定審査会(保健・医療・福祉の専門家で構成)が一次判定・二次判定を経て審査
4. 市町村が認定結果(要介護1〜5・要支援1〜2・非該当)を通知
地域支援事業への移行(オの根拠):
2015年(平成27年)4月から、要支援1・2の者が利用していた「介護予防訪問介護」と「介護予防通所介護」は介護予防サービスから外れ、市町村が実施する介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)に移行しました。これにより、サービス内容や費用単価の設定に市町村の裁量が拡大されました。
【要介護認定の「一次判定コンピュータ」と「二次判定の役割」】
要介護認定の一次判定は、訪問調査員が74項目(身体機能・生活機能・認知機能・行動障害・医療処置等)の調査結果を入力し、厚生労働省が公表しているコンピュータ推計式(ロジスティック回帰分析)により「要介護認定等基準時間(分/日)」を推計するものです。この推計値を基準値と比較して要介護度の一次判定を行います。
二次判定では介護認定審査会(5名前後の医療・保健・福祉の専門職)が一次判定結果・主治医意見書・特記事項(訪問調査員の観察記録)を総合的に審査し、最終的な要介護度を決定します。一次判定から上位・下位に変更するケースも一定数存在し、審査会の専門的判断が実質的に最終決定に影響します。
【2021年改正で更新認定の上限が48か月に延長された背景】
更新認定有効期間の上限延長(36か月→48か月)は、認定事務の効率化と被保険者の負担軽減を目的としています。認定有効期間が短いと、状態が安定している被保険者も頻繁に更新申請・訪問調査が必要になり、本人・家族・事業者・市町村の全員に負担がかかります。
延長が認められるのは「心身の状態が安定していると介護認定審査会が判断した場合」に限られます。実務上は「前回の認定結果と今回の申請内容が大きく変わらない要介護3〜5の安定した高齢者」で48か月が活用される見込みです。
【「非該当(自立)」の判定と地域支援事業への接続】
要介護・要支援に該当しないと判定された場合でも、「軽度の支援が必要」と市町村が判断した場合は地域支援事業(一般介護予防事業)を利用できます。社労士が関係する場面としては、65歳以上の従業員(第1号被保険者)が「非該当」判定を受けた後の就業継続の判断支援や、40〜64歳の第2号被保険者が特定疾病(16疾病)で要介護状態になった際の介護保険申請支援があります。
【要介護認定と医療保険・雇用保険の接点(社労士実務)】
1. 介護休業給付との連携: 雇用保険の介護休業給付は「要介護状態の対象家族を介護するための休業」が要件ですが、「要介護状態」の定義は介護保険の要介護2以上とは異なります(雇保法施行規則第101条の16:常時介護を必要とする状態=独自基準)。要介護2以上の認定を受けていなくても介護休業が取得できる場合があります。
2. 高額介護合算療養費: 同一世帯で介護保険と医療保険の自己負担額が一定額を超えた場合に還付が受けられる制度です。対象となるには介護保険の要介護・要支援認定を受けていることが前提です。
3. 健康診断と要介護予防: 事業主が行う健康診断(労安衛法第66条)の結果を活用して、将来の要介護リスクを把握し健康経営に取り組む企業が増えています。社労士は健康診断の実施義務・産業医との連携・フォローアップ面談の設計を担う立場から、介護予防との接点を意識した支援を行います。
【地域支援事業移行(2015年)の実務的影響】
介護予防訪問介護・通所介護の総合事業移行は、サービス提供主体の多様化(NPO・ボランティア等も担える)という政策目標がありました。しかし実際には、移行後のサービス単価の低下や人材確保困難により、事業者が撤退するケースも生じています。社労士はホームヘルパー・デイサービス事業者の人事労務管理(最低賃金・処遇改善加算の要件管理)を支援する立場であり、この制度変更の影響を理解しておくことが実務に直結します。介護職員処遇改善加算(加算I〜V)の要件(キャリアパス要件・職場環境等要件)は社労士が就業規則・賃金規程整備で関与する典型的な業務です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 介護保険法第27条(要介護認定・申請)・第28条(更新認定)・第32条(要支援認定)・第33条(要支援更新認定)・介護保険法施行規則第40条・第41条(認定有効期間) 更新認定の最長有効期間: 2019年度改正で更新認定の有効期間上限を36か月→48か月に延長。新規認定は6か月(3〜12か月)のまま。 地域支援事業移行: 介護保険法第115条の45(2015年4月施行) 一次ソース: e-Gov 介護保険法第28条 https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123 ・厚労省 要介護認定の仕組みと手順 https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo1.html <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser)改訂: ア正しい(要介護1〜5の5段階・要支援1〜2の2段階)。イ正しい(新規認定の原則6か月・市町村裁量で3〜12か月)。ウ正しい(代理申請可・介護認定審査会が審査→市町村が認定)。エ誤り(更新認定の有効期間は2021年4月施行の介護保険法施行規則改正により最長「48か月」まで延長可能になった。設問エは「最長36か月まで延長できる」と記載しており、これは改正前の旧基準であって現行制度では誤り)。オ正しい(2015年地域支援事業移行)。正答エ確定。設問のエを「最長36か月まで延長できる」と記載することで明確な誤り選択肢として確定。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。