社労士 社会保険一般常識 問21:社会保険に関する一般常識(社一)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
児童手当の支給額および支給対象に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度(2024年10月改正後)を前提とすること。
- ア2024年10月の改正により、児童手当の支給対象が高校生年代(18歳到達後最初の3月31日まで)に拡大された。この改正前は中学生まで(15歳到達後最初の3月31日まで)が支給対象であった。
- イ2024年10月の改正により、児童手当の所得制限が撤廃された。改正前は所得制限を超えた場合の「特例給付(一律5,000円)」が設けられていたが、改正後はすべての支給対象者に本則給付が適用される。
- ウ2024年10月の改正後、第3子以降の月額は、`30,000円/月`に引き上げられた。第3子のカウントは、22歳到達後最初の3月31日までの子どもを数える基準に変更された(改正前は18歳到達後最初の3月31日まで)。
- エ2024年10月の改正後の支給月額は、第1子・第2子の3歳未満については第3子以降と同じ月3万円が支給され、3歳〜小学校修了前(第1子・第2子)は月1万円、中学生・高校生年代は月1万円である。第3子以降の3歳未満も月3万円である。正答
- オ児童手当の支給は、申請月の翌月分から支給が開始される。支給時期は毎年2月・6月・10月の年3回(各4か月分ずつ)であったが、2024年10月の改正後は支給回数が年6回(偶数月)に変更された。
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正答はエ(誤っている記述)です。
エの誤りは「第1子・第2子の3歳未満については第3子以降と同じ月3万円が支給される」という点です。正しくは、3歳未満の月額は第1子・第2子の場合は月1万5千円、第3子以降の場合は月3万円(`30,000円/月`)です。第1子・第2子の3歳未満が月3万円になるわけではありません。
2024年10月改正のポイントをまとめます。①対象年齢が中学生まで→高校生年代までに拡大、②所得制限撤廃(特例給付廃止)、③第3子以降月額が1万5千円→3万円に増額、④第3子カウント基準を22歳まで拡大、⑤支給が年3回→年6回(偶数月)に変更、が主な改正内容です。
2024年10月改正後の支給月額一覧(最重要):
| 年齢区分 | 第1子・第2子 | 第3子以降 |
|---|---|---|
| 3歳未満 | 1万5千円 | 3万円(`30,000円/月`) |
| 3歳〜小学校修了前 | 1万円 | 3万円(`30,000円/月`) |
| 中学生 | 1万円 | 3万円(`30,000円/月`) |
| 高校生年代(新設) | 1万円(`10,000円/月`) | 3万円(`30,000円/月`) |
エの誤りの詳細:「第1子・第2子の3歳未満は1万5千円(≠3万円)」です。3万円は第3子以降のみに適用されます。
改正前後の比較(重要):
| 項目 | 改正前(〜2024年9月) | 改正後(2024年10月〜) |
|---|---|---|
| 支給対象年齢 | 中学生まで(15歳到達後最初の3月31日まで) | 高校生年代まで(18歳到達後最初の3月31日まで) |
| 所得制限 | あり(特例給付5,000円あり) | 撤廃(特例給付廃止) |
| 第3子以降月額 | 1万5千円(3歳以上小学校修了前のみ) | 3万円(全年齢区分・中学/高校も含む) |
| 第3子カウント基準 | 18歳到達後最初の3月31日まで | 22歳到達後最初の3月31日まで |
| 支給回数 | 年3回(2/6/10月) | 年6回(偶数月=2/4/6/8/10/12月) |
第3子カウント基準の22歳への拡大(ウの根拠):
第3子カウントの基準年齢が「18歳到達後最初の3月31日まで(旧基準)」から「22歳到達後最初の3月31日まで(新基準)」に拡大されました。大学在学中(22歳)の子どもまでカウントできるため、例えば「大学4年・高校2年・小学生」の3人家族では小学生が第3子として3万円の対象になります。
所得制限撤廃の意義(イの根拠):
改正前は所得制限超過者には「特例給付(一律5,000円)」が支給されていましたが、2022年10月には高所得者への特例給付が廃止(その後2024年10月改正で所得制限自体を完全撤廃)されました。所得制限撤廃により、すべての保護者が本則給付を受給できます。
【2024年10月改正の政策背景:「異次元の少子化対策」と財源問題】
2024年10月の児童手当改正は、2023年6月に閣議決定した「こども未来戦略方針」に基づく「加速化プラン」の一環です。主な政策目標は「3歳未満の支援強化・高校生年代までの拡大・多子加算の抜本強化」の3本柱でした。
財源の一部には「子ども・子育て支援金(`0.23%`:2026年4月から徴収開始・協会けんぽで労使合計0.23%)」が充当されます。この支援金は医療保険(健保組合・協会けんぽ・国保・後期高齢者医療)を通じて徴収されるもので、「実質的に社会保険の負担が増える」として議論が続いています。
【第3子カウント基準22歳化の実務的含意】
第3子カウント基準を22歳まで拡大したことで、「大学生がいる家庭の下の子どもが第3子・第4子に繰り上がる」効果が生じます。
具体例:
- 子ども: 22歳(大学4年)・19歳(大学1年)・16歳(高校1年)の3人
- 改正後: 3人目(高校1年)は第3子扱い → 月3万円の対象(改正前は3人目でも高校生は対象外かつ18歳超のカウント対象外)
この「大学生のカウント継続」は、実子・養子・事実上の養子関係にある者が混在する複雑な家族構成にも適用されます。社労士が企業で育児休業給付・家族手当の計算支援を行う際、児童手当の第3子カウントの仕組みを正確に説明できることが求められます。
【支給回数年6回化の実務上の影響】
改正前の年3回(2/6/10月)から年6回(偶数月=2/4/6/8/10/12月)に変更されたことで、1回あたりの支給額は半減します(4か月分→2か月分)が、受給者の資金繰りが安定します。
年6回化の実務上の論点:
- 事業主(市区町村の確認義務): 被用者については事業主確認・所得把握の頻度増加
- 受給者の手続き: 現況届は廃止(2022年6月から)されており、住民基本台帳との照合で自動更新
- 支給日の確認: 偶数月15日(土日の場合は前営業日)が支給日
【社労士が企業で関与する「家族手当と児童手当の関係」】
多くの企業では就業規則・賃金規程に「家族手当(配偶者・子ども手当)」を規定しています。社労士が実務上注意すべき点:
1. 家族手当の「年齢要件」の見直し: 児童手当の対象年齢が18歳まで拡大されたことで、企業の家族手当の支給対象年齢(中学卒業まで・高校卒業まで・22歳まで等)との整合性確認が求められます
2. 同一労働同一賃金(パート有期法)との関係: 正社員のみに家族手当を支給している場合、合理的な理由がなければ非正規労働者との格差が問題になる可能性があります
3. 扶養控除との整合性: 所得税の扶養控除(16歳以上の子どもが対象)と児童手当の支給対象年齢(18歳まで)が異なるため、従業員への説明が必要です
【FP試験・上位資格への接続】
FP2級・1級では「児童手当の支給月額・所得制限廃止後の体系・第3子加算」が公的社会保険(リスクマネジメント)科目で頻出です。2024年10月改正は令和8年度社労士試験・FP試験の双方で最重要改正論点の一つです。「支援金0.23%(`0.23%`)が健保料率に上乗せされる」という財源論点はFP試験(ライフプランニング科目)でも取り上げられており、社労士・FPの両資格保持者にとって「財源の仕組み→企業の保険料負担増→労使の費用分担」という一連の理解が求められます。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 児童手当法第4条(支給対象・年齢要件)・第6条(支給額)・2024年10月改正(こども家庭庁 令和6年度児童手当制度改正) 第3子カウント基準: 22歳到達後最初の3月31日まで(改正前は18歳まで) 支給月額(改正後): - 3歳未満: 一律1万5千円(第1子〜・第3子以降は3万円ではない点に注意) - 3歳〜小学校修了前(第1子・第2子): 1万円 - 3歳〜小学校修了前(第3子以降): 3万円 - 中学生: 1万円(第1子〜)→ 改正後も変更なし - 高校生年代(第1子〜第2子): 1万円(新設) - 高校生年代(第3子以降): 3万円(新設) 注意: 3歳未満の月額は第1子・第2子の場合1万5千円・第3子以降は3万円。エの記述「3歳未満が3万円」は第1子・第2子について誤り。 一次ソース: こども家庭庁 児童手当制度のご案内 https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidouteate/annai <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): ア正しい(対象年齢拡大・改正前は中学生まで)。イ正しい(所得制限撤廃・特例給付廃止)。ウ正しい(第3子3万円・第3子カウント基準22歳到達後最初の3月31日まで)。エ誤り(3歳未満の月額は第1子・第2子=1万5千円・第3子以降=3万円。エは「第1子・第2子の3歳未満については第3子以降と同じ月3万円」と述べているが誤り)。オ正しい(2024年10月改正で年3回→年6回=偶数月支給に変更)。正答エ確定。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。