社労士 社会保険一般常識 問22:社会保険に関する一般常識(社一)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
共済組合に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度を前提とすること。
- ア共済組合は、国家公務員共済組合、地方公務員等共済組合、私立学校教職員共済の3種類に大別される。このうち私立学校教職員共済の事業は、日本私立学校振興・共済事業団が実施している。正答
- イ2015年(平成27年)10月の被用者年金一元化により、共済組合の年金部門(職域加算・旧3階建て部分)は廃止され、すべての共済組合員が厚生年金保険に統合された。一元化後は、共済組合の組合員は厚生年金保険の被保険者となり、共済組合自体が消滅した。
- ウ共済組合の短期給付(医療・傷病・出産等)は、組合員が保険料を拠出して組合が給付を行う仕組みであり、健康保険(協会けんぽ・健保組合)と全く同一の給付内容・給付水準が法律で定められている。
- エ地方公務員等共済組合は、各地方公共団体(都道府県・市町村等)ごとに設立される。国家公務員共済組合は、各省庁・機関ごとに設立される20の組合が存在し、これらを統括する国家公務員共済組合連合会が運営する。
- オ2015年の一元化により、一元化前に共済組合の組合員であった者の年金額計算については、一元化前の職域加算部分はすべて廃止され、一元化後の組合員期間に対応する「年金払い退職給付」のみが3階部分として保障される仕組みに完全移行した。
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正答はア(正しい記述)です。
共済組合は国家公務員共済組合・地方公務員等共済組合・私立学校教職員共済の3種類があります。私立学校教職員共済の事業は日本私立学校振興・共済事業団が実施しています(私立学校教職員共済法第23条)。
イは誤りです。2015年の被用者年金一元化で共済組合の年金部門(旧3階建て=職域加算)は厚生年金に統合されましたが、共済組合自体は消滅していません。短期給付(医療等)の機能は引き続き共済組合が担っています。ウは誤りです。共済組合の短期給付は健保と類似しますが、適用法律が異なり完全同一ではありません。オは誤りです。一元化前の職域加算は「経過的職域加算」として2015年9月30日以前の期間分が継続保障されており「すべて廃止」「完全移行」ではありません。
共済組合3区分の整理(アの根拠):
| 共済種別 | 実施主体 | 対象者 |
|---|---|---|
| 国家公務員共済組合 | 各省庁・機関ごとの共済組合(財務省・国土交通省等) | 国家公務員 |
| 地方公務員等共済組合 | 地方職員共済組合・公立学校共済組合・警察共済組合等 | 地方公務員 |
| 私立学校教職員共済 | 日本私立学校振興・共済事業団 | 私立学校教職員 |
国家公務員共済組合を統括する「国家公務員共済組合連合会」が存在します。地方公務員等共済組合は各都道府県単位・政令市単位等で組合が設立されています(各地方公共団体「ごと」ではなく、複数の地方公共団体が共同で設立する組合が多い)。
2015年被用者年金一元化の内容(イ・オの根拠):
| 項目 | 一元化前(〜2015年9月) | 一元化後(2015年10月〜) |
|---|---|---|
| 厚生年金(2階部分) | 各共済組合が独自運営 | 厚生年金保険に統合(第2〜4号被保険者として管理) |
| 職域加算(3階部分・旧) | 共済組合員に追加給付 | 廃止(2015年10月1日以降の期間) |
| 年金払い退職給付(新3階) | なし | 2015年10月以降の組合員期間分に新設 |
| 経過的職域加算 | なし | 2015年9月30日以前の期間分を一定期間保障 |
| 短期給付(医療等) | 共済組合が実施 | 引き続き共済組合が実施(健保相当) |
一元化後、共済組合員は厚生年金の第2号〜第4号被保険者として管理されます(国家公務員=第2号・地方公務員=第3号・私学=第4号)。共済組合自体は消滅せず、短期給付(健保相当)・年金払い退職給付・福祉事業を継続します。
「経過的職域加算」の仕組み(オの根拠・正しい):
2015年9月30日以前に発生した共済組合の職域加算部分は、「経過的職域加算」として一定期間保障される仕組みが設けられました。一元化後の新たな3階部分は「年金払い退職給付」として再設計されています。
【被用者年金一元化の「第1〜4号厚生年金被保険者」制度の詳細】
2015年10月1日以降、厚生年金保険の被保険者は以下の4種別に区分されます(厚生年金保険法第2条の5)。
| 被保険者種別 | 対象者 | 年金の実施機関 |
|---|---|---|
| 第1号厚生年金被保険者 | 民間企業の労働者(従来の厚年被保険者) | 厚生労働大臣 |
| 第2号厚生年金被保険者 | 国家公務員共済組合員 | 国家公務員共済組合連合会 |
| 第3号厚生年金被保険者 | 地方公務員等共済組合員 | 地方公務員共済組合連合会 |
| 第4号厚生年金被保険者 | 私立学校教職員共済加入者 | 日本私立学校振興・共済事業団 |
この区分により、一元化後も「どの機関が年金給付を実施するか(実施機関)」は共済系(第2〜4号)で異なります。保険料率は原則として一元化され、厚生年金保険料率18.3%(`{{KOUNEN_HOKENRYO_RITSU}}`相当)が適用されます。
【旧職域加算の廃止と「年金払い退職給付」の創設】
旧職域加算(共済組合独自の上乗せ給付)は2015年10月1日以降の期間について廃止されました。代わりに「年金払い退職給付」が創設されました。
| 制度 | 対象期間 | 内容 |
|---|---|---|
| 旧職域加算(廃止) | 2015年9月30日以前の共済組合員期間 | 老齢・障害・遺族年金に上乗せ(経過的職域加算として継続保障) |
| 年金払い退職給付(新設) | 2015年10月1日以降の共済組合員期間 | 確定給付型(有期・終身)+ 確定拠出型(DC)の組み合わせ |
年金払い退職給付は、民間企業の企業年金(確定給付企業年金・確定拠出年金)に相当する位置づけです。掛金の一部は個人が負担する「マッチング拠出」の要素もあり、民間企業の401k(DC)と類似の設計思想です。
【共済組合の「短期給付」と健保の違い:社労士が知るべき実務論点】
共済組合の短期給付は健康保険法を準用することが多いですが、独自の給付(休暇支援・宿泊療養等)が組合ごとに付加されています。
主な違いの例(組合によって異なる):
- 休業給付(傷病手当金相当): 健保の傷病手当金は標準報酬日額の2/3(67%)が1年6か月。共済組合は標準報酬月額の100分の80相当(組合によっては期間延長あり)
- 付加給付: 健保組合と同様に、共済組合も独自の付加給付(高額療養費の自己負担上限を引き下げる等)を設定できる
社労士が公務員・私学教職員を雇用する法人の顧問として関与する場面は限定的ですが、「共済組合加入者が民間に転職した際の年金加算の通算」や「育休復帰後の保険料免除の仕組み(共済組合でも産前産後・育休免除が適用される)」等を説明できる必要があります。
【年金一元化の「長期移行問題」と共済組合の財政】
一元化前に多くの共済組合員は高賃金・長期雇用という特性から、旧職域加算の財政が比較的安定していました。一元化後は厚生年金の財政プールに統合されたため、共済側の「高積立・低リスク」な財政が民間厚年プールに吸収される一方、旧職域加算の経過的保障分は各共済組合が引き続き積立義務を持ちます。
共済組合の財政情報は「共済組合の統計・現況(総務省・文部科学省・厚労省)」として公表されており、社会保険一般常識の試験対策としては「一元化の概要(廃止内容・新設内容・被保険者区分)」を押さえることが優先です。年金額計算の細部(旧職域加算の計算式)は上位資格・実務対応で学ぶ領域です。
【上位資格への接続:FP・税理士試験における共済組合論点】
FP1級では「共済組合員の年金受給時の取扱い(経過的職域加算・年金払い退職給付の受給要件)」「公務員の企業年金(民間DC・iDeCoとの違い)」が出題されます。税理士試験(社会保険税務)でも共済組合掛金の所得控除(社会保険料控除)が取り上げられます。社労士はこれらの資格保持者と連携して、公務員退職後のライフプランニング(年金受給時期・iDeCoとの重複等)を支援できる立場にあります。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国家公務員共済組合法第3条(組合の設立)・地方公務員等共済組合法第3条(組合の設立)・私立学校教職員共済法第23条(日本私立学校振興・共済事業団) 被用者年金一元化: 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成24年法律第63号・2015年10月施行) 経過的職域加算: 年金払い退職給付(2015年10月以降の共済期間分に創設)・退職等年金給付(旧職域加算の一部継続) 一次ソース: 厚労省 被用者年金一元化 https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/ichigenka.html ・日本私立学校振興・共済事業団 https://www.shigaku.go.jp/ <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser)改訂: ア正しい(私学共済は日本私立学校振興・共済事業団が実施。私立学校教職員共済法第23条)。イ誤り(共済組合自体は消滅していない。年金部門は厚年に統合されたが短期給付(健保相当)・福祉事業は共済組合が引き続き実施)。ウ誤り(共済組合の短期給付は健保と類似するが法律が異なり、給付内容・水準が法律で全く同一に定められているわけではない。共済組合は独自の付加給付を設定できる)。エ誤り(地方公務員等共済組合は各地方公共団体「ごと」ではなく地方職員共済組合・公立学校共済組合・警察共済組合等の単位で設立。国家公務員共済組合連合会は財政調整等の役割を担うのみで個別運営は各省庁の組合)。オ誤り(一元化前の職域加算部分は「廃止」されたが、2015年9月30日以前の組合員期間に対応する旧職域加算分は「経過的職域加算」として継続保障されている。「すべて廃止」「完全移行」は誤り)。正答ア確定(単一正答)。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。