社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 社会保険一般常識 問24|短時間労働者の社会保険適用拡大4要件・賃金要件撤廃の試験対象外明示

問題

社労士 | 社会保険一般常識 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

短時間労働者の健康保険・厚生年金保険への適用拡大(特定適用事業所および任意特定適用事業所における短時間労働者の被保険者資格)に関する次の記述ⅰ〜ⅴのうち、正しいものはいくつあるか。下記ア〜オから1つ選べ。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度(賃金要件〔月額8.8万円〕の撤廃は未施行)を前提とすること。 ⅰ. 短時間労働者が特定適用事業所における健康保険・厚生年金保険の被保険者となるための要件は、①週所定労働時間20時間以上、②所定内賃金月額8.8万円以上、③2か月を超えて雇用されることが見込まれること(雇用見込み要件)、④学生でないこと(学生除外)の4要件であり、これらをすべて満たす必要がある。 ⅱ. 特定適用事業所の要件は、令和2年(2020年)10月の改正で従来の500人超から100人超に引き下げられ、さらに令和6年(2024年)10月の改正で50人超に段階的に引き下げられてきた。この50人超要件が令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点で有効な基準である。 ⅲ. 特定適用事業所の要件(被保険者数が50人を超えること)を判定する際の「被保険者数」には、適用拡大の対象である短時間労働者(週20時間以上等の要件で新たに適用される者)は含めず、従来からの通常の被保険者のみをカウントする。 ⅳ. 短時間労働者のうち、①週所定労働時間20時間以上かつ②所定内賃金月額8.8万円以上を満たすが、③雇用見込み要件(2か月超)を満たさない場合(例:1か月の短期雇用)は、特定適用事業所であっても短時間被保険者としての被保険者資格は取得できない。 ⅴ. 任意特定適用事業所とは、特定適用事業所に該当しない事業所(被保険者数50人以下)の事業主が、被保険者等の同意に基づき厚生労働大臣に申し出た場合に認められる事業所であり、申出後は特定適用事業所と同様に短時間労働者の適用拡大が適用される。

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答え合わせ

正解は エ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はエ(正しいものは4つ:ⅰ・ⅲ・ⅳ・ⅴ)です。誤っているのはⅱのみです。

ⅱの誤りは「令和2年(2020年)10月の改正で500人超→100人超」という部分です。正確には、500人超から100人超への引下げは令和4年(2022年)10月の施行によるものです。令和2年(2020年)10月という時期は事実と異なります。

段階的引下げの正確な流れは、①500人超(2016年10月〜)→②100人超(2022年10月〜)→③50人超(2024年10月〜)です。

ⅰ(正しい): ①週20時間以上②月8.8万円以上④学生でない、は健保法第3条第1項第9号、③2か月超の雇用見込みは同項第2号ロ(2月以内の期間を定めて使用され、その期間を超えて使用されることが見込まれない者は適用除外)によるもので、すべて満たす必要があります。

ⅲ(正しい): 特定適用事業所の被保険者数のカウントには、短時間労働者は含みません。

ⅳ(正しい): 雇用見込み(2か月超)の要件を満たさない短期雇用では、他の要件を満たしても被保険者にはなれません。

ⅴ(正しい): 任意特定適用事業所は、被保険者等の同意に基づく事業主の申出によって適用拡大の対象となる事業所です。

4要件の条文対応(ⅰの根拠):

要件内容健保法条文
①週所定労働時間20時間以上第3条第1項第9号イ(20時間未満は適用除外)
②所定内賃金月額8.8万円(88,000円)以上第3条第1項第9号ロ(8万8千円未満は適用除外)
③雇用見込み2か月を超えて雇用されることが見込まれる第3条第1項第2号ロ(短時間労働者に限らない共通の適用除外)
④学生除外学生でないこと(夜間・通信・休学中は適用対象)第3条第1項第9号ハ(学生等で厚生労働省令で定める者は適用除外)

特定適用事業所の段階的引下げ(ⅱの誤りの核心):

改正施行時期対象事業所規模(被保険者数・短時間除く)
2016年(平成28年)10月〜500人超
2022年(令和4年)10月〜100人超(ⅱでは「令和2年(2020年)10月」と誤記)
2024年(令和6年)10月〜50人超(現行・令和8年度試験対象)

社労士試験では「何年何月に何人超に引き下げられたか」という数値が正確に問われます。「令和2年」と「令和4年」の混同は頻出の引っかけパターンです。

被保険者数のカウント(ⅲの根拠):

特定適用事業所の判定に用いる「被保険者数」は、厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数で、同一事業主(法人番号が同一)の適用事業所を合算し、1年のうち6か月以上51人以上となることが見込まれるかで判断します(日本年金機構)。したがって、「現在のパート従業員が新たに短時間被保険者になっても、事業所規模の判定カウントには影響しない」という点は実務上の重要論点です。

雇用見込み要件(ⅳの根拠):

適用除外になるのは「2月以内の期間を定めて使用される者であって、当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれないもの」です(健保法第3条第1項第2号ロ)。1か月契約でも更新等により定めた期間を超えて使用されることが見込まれる場合は当初から被保険者となり、明示的に「1か月限り」で更新が見込まれない場合は被保険者になりません(その後、定めた期間を超えて引き続き使用されるに至った場合はその時から被保険者)。

任意特定適用事業所(ⅴの根拠):

特定適用事業所に該当しない事業所でも、被保険者等の同意に基づく事業主の申出によって、短時間労働者の適用拡大の対象とすることができます(日本年金機構)。同意の具体的な方法・同意対象者の範囲は平成24年法律第62号の附則等で定められています。

【短時間労働者の社保適用拡大の政策的背景と「段階的拡大」の設計意図】

短時間労働者への社会保険適用拡大は、2016年10月(500人超事業所)から始まり、2022年・2024年と段階的に対象を広げてきました。この段階的設計の背景には以下があります:

1. 事業主の急激な保険料負担増への配慮: 中小企業では社保適用拡大により事業主の保険料負担が大幅に増加するため、経営への影響を緩和しながら段階的に拡大

2. 「130万円の壁」問題への対応: 配偶者の被扶養者(第3号被保険者)が就労を抑制する「壁」を段階的に解消する政策意図。ただし、短時間適用拡大は「106万円の壁」(月8.8万円×12月)を生み出したとも批判される

3. 賃金要件撤廃(令和7年法律第74号。撤廃の時期は「法律の公布から3年以内で、全国の最低賃金が1,016円以上となることを見極めて判断」=厚生労働省)の意義: 「月8.8万円を1円でも下回ると適用外」という線引きを解消し、週20時間以上の短時間労働者を原則適用へ

【改正時期の正確な記憶方法(社労士試験の頻出出題パターン)】

社労士試験では「何年何月に何人超に引き下げられたか」という数値が正確に問われます。段階的引下げの記憶法:

  • 2016年(平成28年)10月: 500人超スタート
  • 2022年(令和4年)10月: 100人超(「令和4年→4の倍数→100人超」)
  • 2024年(令和6年)10月: 50人超(「令和6年→6→最小50人超」)

「令和2年(2020年)」「令和4年(2022年)」「令和6年(2024年)」という近接した元号年が紛らわしく、試験問題でも頻繁に誤りとして仕込まれるパターンです。西暦と元号を両方確実に対応させて覚えることが高得点への鍵です。

【4要件の実務適用と「月額8.8万円」の計算方法】

社労士が企業の適用事務を行う際の重要論点:

月額8.8万円の計算対象は所定内賃金のみ(基本給・固定的な手当)であり、以下は含みません:

  • 時間外手当・休日手当・深夜手当
  • 賞与・臨時の賃金
  • 通勤手当(原則算入外)

実務上の計算例:

  • 時給1,000円・週20時間勤務:1,000円×20時間×52週÷12月=86,667円 → 月8.8万円未満のため短時間被保険者要件を満たさない(所定労働時間・日数が通常の労働者の4分の3以上なら短時間労働者ではなく通常の被保険者)
  • 時給1,100円・週20時間勤務:1,100円×20時間×52週÷12月=95,333円 → 月8.8万円以上のため短時間被保険者として適用対象

賃金要件の撤廃が施行されると、時給1,000円・週20時間勤務でも適用対象となります(撤廃時期は政令で定める日。基準日時点で未施行)。

【学生除外の例外(夜間・通信・休学中学生の取扱い)】

「学生でないこと」という要件には重要な例外があります:

  • 夜間学生: 定時制・通信制の学生は「学生除外」の対象外(被保険者となりうる)
  • 休学中の学生: 休学中は「在学中」であっても学生除外の対象外
  • 専攻科・別科の学生: 対象外の場合あり

「学生はすべて適用除外」という誤解は社労士試験の引っかけポイントです。

【適用拡大と第3号被保険者制度の将来】

短時間労働者の社保適用拡大は、国民年金第3号被保険者制度との関係で大きな政策的議論があります。

2025年以降の動向:

  • 第3号被保険者制度の廃止・縮小論議が活発化
  • 適用拡大で厚生年金に加入した場合、第3号から「厚生年金の第2号被保険者」へ移行→将来の年金額が増加する半面、当座の保険料負担が増加
  • 社労士には「適用拡大による家族全体の社会保険コスト試算」「扶養内就労か被保険者加入かの最適解提案」という新たな業務需要が生まれている

【上位資格(FP)・人事実務との接続】

FP試験でも「短時間労働者の社保適用要件」「106万円の壁・130万円の壁の比較」は重要なテーマです。企業の人事実務では、パートタイム労働者の時間・賃金設定が社保適用の有無を直接左右するため、社労士は「パート就業規則の整備」「月額賃金の設定基準の策定」において企業顧問として具体的な価値を発揮します。特に、賃金要件の撤廃が施行されると、現在「週20時間以上・月8.8万円未満」で適用除外となっているパート労働者が一斉に適用対象となるため、事業主の保険料負担増加への対応策(シフト調整・賃金設計の見直し等)について早期に準備することが重要です。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第3条第1項第9号(短時間労働者の適用除外:イ 週20時間未満・ロ 報酬8万8千円未満・ハ 学生等)・同項第2号ロ(2月以内の期間を定めて使用され、その期間を超えて使用されることが見込まれない者の適用除外)・厚生年金保険法第12条。特定適用事業所・任意特定適用事業所は公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律(平成24年法律第62号)の附則で規定 4要件(行政の案内での整理): ①週20時間以上(第9号イ)②所定内賃金月額8.8万円以上(第9号ロ)③2か月を超える雇用の見込み(第2号ロ)④学生でない(第9号ハ)。日本年金機構は①②④の3要件で案内し、③は全被保険者に共通の適用除外(第2号ロ)で判断する 段階的引下げ: 500人超(2016-10)→100人超(2022-10)→50人超(2024-10) 特定適用事業所の被保険者数: 厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数(日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/tanjikan.html ) 任意特定適用事業所: 被保険者の同意に基づく事業主の申出(日本年金機構・同上) 一次ソース: 厚生労働省 社会保険の加入対象の拡大 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00021.html ・日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大 https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2016/201610/1001.html 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

この問題の関連トピック

  • 短時間労働者の社会保険適用拡大4要件・賃金要件撤廃の試験対象外明示
  • 頻出度A

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