社会保険一般常識27社会保険に関する一般常識(社一)

社労士 社会保険一般常識 問27:社会保険に関する一般常識(社一)

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

確定拠出年金(DC)のポータビリティに関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度(iDeCo拠出限度額`2026-12-01`引上げは未施行)を前提とすること。

  • 企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入者が転職した場合、転職先の企業が企業型DCを実施していれば、前の企業での個人別管理資産を転職先の企業型DCに移換することができる。移換の手続きは原則として離職後**3か月以内**に行う必要がある。正答
  • 企業型DCの加入者が転職先に企業型DCがない場合、または自営業者・専業主婦(夫)等となる場合は、個人型確定拠出年金(iDeCo)に個人別管理資産を移換することができる。iDeCoへの移換後は、iDeCoの掛金拠出を新たに開始することも可能である。
  • 企業型DCを実施していない企業に転職した場合や離職して被保険者でなくなった場合に、iDeCoに移換しないまま6か月が経過すると、個人別管理資産は自動的に国民年金基金連合会に移換され、以後は「運用指図者」として管理されるが、掛金の拠出はできなくなる。
  • iDeCoから企業型DCへの移換(iDeCoから企業型DCへの移換)は、2018年5月1日施行の確定拠出年金法改正により解禁されており、転職先に企業型DCがある場合はiDeCoの個人別管理資産を企業型DCに移換することが可能である。
  • iDeCoの第1号被保険者の拠出限度額は月額68,000円(年間816,000円)である。令和8年12月1日施行でiDeCoの拠出限度額引上げ(第1号被保険者は月額75,000円)が予定されているが、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点では引上げ前の68,000円が出題対象となる。
正答:企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入者が転職した場合、転職先の企業が企業型DCを実施していれば、前の企業での個人別管理資産を転職先の企業型DCに移換することができる。移換の手続きは原則として離職後**3か月以内**に行う必要がある。

AI解説(初心者・標準・上級)

理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠条文・通達も明記。

初心者向けまずはここから。やさしく要点を解説

正答はア(誤っている記述)です。

アの誤りは「移換の手続きは原則として離職後3か月以内」という部分です。正確には、企業型DCの加入者が離職・転職した際の移換手続き期限は6か月以内です(確定拠出年金法第56条:6か月経過で国民年金基金連合会に自動移換)。「3か月以内」という数値は誤りです。

イ(正しい): 転職先に企業型DCがない場合や自営業者等になる場合、iDeCoへの移換が可能です。移換後の掛金拠出も認められています。

ウ(正しい): 6か月以内に手続きしないと、個人別管理資産は国民年金基金連合会に自動移換され、掛金の拠出ができなくなります。

エ(正しい): iDeCoから企業型DCへの移換は、2018年(平成30年)5月1日施行の確定拠出年金法改正により解禁されています。転職先に企業型DCがある場合、iDeCo資産を企業型DCに移換できます。

オ(正しい): 第1号被保険者の現行限度額は月額68,000円です。2026年12月の引上げ(75,000円)は試験基準日後のため対象外です。

標準試験対策の基準レベル

DCのポータビリティ(移換)の選択肢(全パターン整理):

| 離転職の状況 | 移換先の選択肢 | 手続き期限 |

|---|---|---|

| 企業型DCあり企業へ転職 | 転職先の企業型DCへ移換 | 6か月以内 |

| 企業型DCなし企業へ転職 | iDeCoへ移換 | 6か月以内(超えると自動移換) |

| 自営業・フリーランスに | iDeCoへ移換(第1号加入者として継続) | 6か月以内 |

| 専業主婦(夫)等に | iDeCoへ移換(第3号被保険者として加入) | 6か月以内 |

| iDeCo加入者が転職し企業型DCへ | 企業型DCへ移換(2018年5月1日施行で解禁) | ー |

| 6か月以上未手続き | 国民年金基金連合会に自動移換(掛金拠出不可) | 自動 |

アの誤り(「3か月以内」→「6か月以内」)の根拠:

確定拠出年金法第56条は、資格喪失後6か月が経過しても移換手続きを行わない場合に、個人別管理資産を国民年金基金連合会に移換する規定です。この「6か月」という数値が、移換手続きを行うべき実質的な期限となっています。「3か月以内」という記述は法令上の根拠がなく、明確な誤りです。

2018年5月施行の改正と2022年10月改正の混同に注意(エの根拠):

| 改正施行年 | 改正内容 |

|---|---|

| 2018年(平成30年)5月1日 | iDeCoから企業型DCへの移換が解禁(確定拠出年金法第54条の2)。転職先企業型DCへの一本化が可能に |

| 2022年(令和4年)10月1日 | 企業型DC加入者がiDeCoに同時加入できる要件が大幅緩和(年金規約の定め不要・拠出限度額の計算方法変更) |

この2つの改正は内容が全く異なります。「iDeCo→企業型DC移換の解禁」は2018年5月が正確です。「2022年10月に解禁」とする誤解が広まっているため、社労士試験では両改正の内容を明確に区別することが求められます。

自動移換の問題点(ウの根拠):

6か月以内に移換手続きをしないと、個人別管理資産は国民年金基金連合会に自動移換されます。自動移換中の問題:

  • 元本保証型商品(定期預金)で運用される(選択できない)
  • 管理手数料(月額52円)が資産から控除される
  • 掛金の拠出・運用指図ができない
  • 老齢給付金の受給資格の通算期間に算入されない

自動移換は「年金資産の放置状態」であり、社労士は離職者・転職者に対して早期の移換手続きを促す役割を担います。

iDeCo拠出限度額(オの根拠・試験対象外情報の取扱い):

| 被保険者区分 | 現行限度額(試験基準日時点) | `2026-12-01`施行後 |

|---|---|---|

| 第1号(自営業者等) | 月額68,000円 | 月額75,000円(試験対象外) |

| 第2号(企業型DCなし) | 月額23,000円 | 月額(改定予定) |

| 第3号(専業主婦等) | 月額23,000円 | 同様 |

`2026-12-01`(2026年12月1日)施行の引上げは試験基準日(2026年4月10日)後のため、令和8年度試験では現行の68,000円が正解です。

上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【DCのポータビリティ拡大の政策的背景:「雇用流動化時代」のセーフティネット】

確定拠出年金法は2001年の制定以降、雇用の流動化に対応するためポータビリティ規定を順次拡充してきました。

主要な改正経緯(正確な施行日):

  • 2001年10月: 確定拠出年金法施行。企業型DC→iDeCo移換は可能。iDeCo→企業型DC逆方向は不可
  • 2017年1月: iDeCoの加入対象を大幅拡大(公務員・企業型DC加入者も一定条件で加入可)
  • 2018年5月1日: iDeCo→企業型DC移換の解禁(確定拠出年金法第54条の2新設)。双方向ポータビリティが実現
  • 2022年10月1日: 企業型DC加入者がiDeCoに同時加入できる要件の大幅緩和。拠出限度額の計算方法も変更(iDeCo掛金+企業型DC事業主掛金≦各月の企業型DC限度額の要件を廃止)

この改正群は「転職しても年金資産が途切れない制度」の実現を目指しており、終身雇用の慣行が崩れる中で「個人の年金資産を会社から切り離して守る」という発想の転換を示しています。

【DCの「受給権保護」と企業年金との相違点】

DCの最大の特徴は「個人別管理資産の受給権が常に加入者(被加入者)に帰属する」点です。確定給付企業年金(DB)では、会社が退職する際に「脱退一時金」しか受け取れない場合があり(受給権の制限)、長期勤続者優遇の制度設計が多い。DCは:

1. 拠出した瞬間から加入者の資産: 企業が破綻しても資産は保護される(信託財産として別管理)

2. 転職・離職しても持ち運び可能: ポータビリティにより職業選択の自由を妨げない

3. 運用リスクは加入者が負担: 元本割れの可能性がある半面、高リターン商品を選択できる

社労士が企業の年金制度設計を支援する際は、DBとDCの特性の違いを理解した上で、従業員の在職期間・転職傾向・年齢構成を踏まえた最適提案が求められます。

【「自動移換問題」の深刻さと社労士の実務対応】

国民年金基金連合会への自動移換者は、ピーク時に50万人を超える深刻な問題となっています(2023年時点で約80万件の自動移換資産が存在するとされる)。

自動移換が発生する典型的なケース:

  • 転職時に企業のDC担当者から案内を受けず、6か月の手続き期限を失念
  • 短期間での転職が繰り返されて移換先が不明確になった
  • iDeCoへの移換方法が分からず6か月が経過した

社労士の実務上の対応:

1. 離職前のDC手続き案内の義務化: 社内規程に「退職時のDC移換手続き案内」を明記し、退職時面談で移換先の確認を行う

2. 自動移換資産の「発見」: 転職者が過去の企業DCを忘れている場合、ねんきんネット・記録照会等で資産の存在を確認

3. 移換の実施支援: 国民年金基金連合会から企業型DCまたはiDeCoへの「移換の申出」書類の記載支援(社労士は3号業務として対応可)

【iDeCoの拠出限度額と「税制優遇の最大化」戦略】

iDeCoの最大のメリットは掛金が全額所得控除になる点です。現行の第1号被保険者の拠出限度額68,000円(月額)を満額拠出した場合の税メリット:

  • 所得税率20%の場合:68,000円×12月×20%=163,200円/年の節税
  • 所得税率33%の場合:68,000円×12月×33%=269,280円/年の節税

`2026-12-01`(2026年12月)に予定される75,000円への引上げ後は、節税効果がさらに拡大します(試験基準日後の情報として現時点では出題対象外)。

【FP・確定拠出年金教育訓練給付との接続】

FP1級では「DCの数理・移換の計算・タックスメリットの試算」が詳細に出題されます。確定拠出年金の「投資教育義務」(加入者に対する投資関連の継続教育義務)は企業側に課されており、社労士は「投資教育プログラムの設計支援」「DC委員会の設置支援」という形で企業年金の運営に関与できます。2024年以降の「NISA拡充」との組み合わせで、個人の資産形成支援全体を見渡す「ファイナンシャル・ウェルネス支援」が社労士の新たな業務フロンティアとなっています。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確定拠出年金法第54条(ポータビリティ・移換)・第56条(自動移換・6か月経過で国民年金基金連合会へ)・第54条の2(iDeCo→企業型DC移換) 移換手続の期限: 確定拠出年金法第54条・運用指図者への移行手続は離職後**6か月以内**が原則(アの「3か月以内」は誤り) iDecoから企業型DCへの移換解禁: 2018年(平成30年)5月1日施行の確定拠出年金法改正(旧解説の「2022年10月施行」は事実誤認・2022年10月改正は別件) 自動移換: 確定拠出年金法第56条(6か月経過後に国民年金基金連合会へ) 一次ソース: 厚生労働省 確定拠出年金制度 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsunen/index.html ・国民年金基金連合会 iDeCo https://www.ideco-koushiki.jp/ <!-- 監修確定 2026-06-08 差し戻し修正版(content-quality-officer・legal-reviser): 各肢の真偽判定(最終): ア=誤り(「離職後3か月以内」は誤り。正確な制度では離職後の移換手続は6か月以内が原則。確定拠出年金法第54条・第56条の自動移換は6か月経過後であり、6か月以内に移換手続を行うことが求められる)。 イ=正しい(企業型DC→iDeCo移換・その後の掛金拠出も可)。 ウ=正しい(6か月未移換で国民年金基金連合会に自動移換・掛金拠出不可・運用指図者)。 エ=正しい(iDeCoから企業型DCへの移換は2018年5月1日施行の改正で解禁済み。旧解説の「2022年10月施行」を修正。2022年10月改正は「企業型DC加入者のiDeCo同時加入要件緩和」という別件であり混同に注意)。 オ=正しい(第1号被保険者の現行限度額月68,000円・2026-12引上げ75,000円は試験基準日後で対象外)。 最終正答: ア 構造: 1誤(ア・「3か月以内」→正しくは「6か月以内」)・4正(イ・ウ・エ・オ) 公開可。段差性確認済み(beginner<standard<advanced)。 重要: 旧解説「iDeCo→企業型DC移換は2022年10月施行で解禁」は事実誤認。正確には2018年5月1日施行。本修正版で訂正済み。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

関連論点

確定拠出年金(DC頻出度A

社会保険一般常識の他の問題

1
社会保険に関する一般常識(社一)
2
社会保険に関する一般常識(社一)
3
社会保険に関する一般常識(社一)
4
社会保険に関する一般常識(社一)
5
社会保険に関する一般常識(社一)
6
社会保険に関する一般常識(社一)
社会保険一般常識の一覧

科目別に解いて、社労士に合格

10科目のオリジナル問題。各問に根拠条文とAI解説(3レベル)付き・閲覧無料。