宅建士 権利関係 問10:民法物権
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
不動産取引における留置権および先取特権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- ア宅地建物取引業者Aが売主の代理として建物の売買を媒介した場合、Aが受領した手付金について、売主が媒介報酬を支払わないときはAはその手付金に留置権を主張することができる。
- イ請負業者Bが建物の修繕工事を行ったが、注文者が工事代金を支払わない場合、Bは当該建物を留置することができる。正答
- ウ不動産売買における不動産売主の代金債権について、一般の先取特権が成立し、売主は他の債権者に優先して代金を受領することができる。
- エ不動産の賃借人Cが賃料を支払わない場合、賃貸人は賃借人の不動産(宅地)に対して当然に留置権を行使し賃料回収まで宅地の引渡しを拒むことができる。
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留置権は、物に関して生じた債権を持つ者がその物を返さずに持ち続けることができる権利です(民法295条)。工事業者が修繕した建物について、工事代金が未払いの場合、建物に関して生じた債権(工事代金)があるため、建物を留置することができます。よってイが正答です。
留置権(民法295条)の成立要件は、①他人の物を占有していること、②その物に関して生じた債権を有すること(牽連性)、③債権が弁済期にあること、④占有が不法行為によって始まっていないこと、です。イは建物修繕工事代金(建物に関する債権)と建物占有の牽連性が明確であり留置権が成立します。正答。アについて、宅建業者Aの媒介報酬請求権と「売主から受領した手付金(売主の物)」には牽連性がありません。また手付金は売主の物ではなく買主が売主に交付したものであり、Aが独自に留置権を主張できる根拠がないため誤り。ウについて、不動産売買の代金債権に関して「不動産売買の先取特権」(民法328条)は認められますが、一般の先取特権(民法306条)ではなく特別の先取特権です。「一般の先取特権」とするウは誤り。エについて、賃貸人は賃借人に対して賃料債権を持ちますが、賃借人の宅地(賃借人が所有する別の宅地)は賃貸借に関係する物ではないため、当該宅地への留置権は牽連性なしに成立しません。エは誤り。
留置権(民法295条〜302条)は法定担保物権の一つで、当事者の合意なく法律上当然に成立します。宅建試験での頻出点は牽連性(物と債権の結びつき)の有無と、留置権行使の効果です。建物修繕請負代金(最判昭和43.11.28)・建物建築代金(判例)・建物に関する費用(有益費・必要費:民法608条)は建物との牽連性が認められます。一方、賃料債権(賃借人の延滞賃料)と賃借人の所有物間には牽連性がなく留置権は成立しません。不動産の先取特権については、民法328条(不動産売買の先取特権:売主が代金確保のため)・民法326条(不動産保存の先取特権:工事費確保)・民法327条(不動産工事の先取特権:工事費保全)の3種の特別先取特権があります。不動産工事の先取特権(民法327条)は工事着手前に費用の予算額を登記することで成立し(民法338条)、登記なしでは第三者に対抗できません。不動産売買の先取特権(民法328条)も登記が対抗要件です(民法337条)。宅建取引実務では、売主の受領した代金に基づく先取特権よりも、むしろ未登記の工事業者が留置権を主張するケース(建物引渡し拒絶)が問題になることが多く、買主としては工事費未払いがないことを確認してから決済に臨む必要があります。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。