宅建士 権利関係 問11:民法物権
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
宅地建物取引業者Aが媒介する住宅ローンの担保として設定される抵当権および根抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- ア根抵当権は、特定の継続的取引関係から生じる不特定の債権を極度額の範囲内で担保するものであり、被担保債権が弁済によって消滅しても根抵当権自体は消滅しない。正答
- イ普通抵当権(以下「抵当権」)は、被担保債権の元本に加え、利息や遅延損害金は全額に優先弁済が及ぶ。
- ウ後順位抵当権者がいる場合であっても、先順位抵当権者は抵当権設定者と合意のみで後順位抵当権者の同意なく抵当権の順位を変更することができる。
- エ抵当権が設定された建物が火災で滅失した場合、抵当権者は保険金請求権に対して当然に物上代位権を行使できる。
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根抵当権は銀行が企業との継続取引で使う担保で、借りては返してまた借りる繰り返しの中で、決めた上限額(極度額)までの債権をまとめて担保します。被担保債権がゼロになっても根抵当権は消滅しないのが通常の抵当権との大きな違いです。よってアが正答です。
根抵当権(民法398条の2以下)は、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度で担保する担保物権です。普通抵当権(以下「抵当権」)と異なり、付従性が弱く被担保債権が弁済によってゼロになっても根抵当権は消滅しません(元本確定前)。アは正確に根抵当権の特徴を述べており正答。イについて、抵当権の優先弁済の範囲は元本・利息・遅延損害金ですが、利息・遅延損害金については最後の2年分のみが優先弁済の対象となります(民法375条1項)。「全額」とするイは誤り。ウについて、抵当権の順位変更(民法374条)は関係する抵当権者全員の合意が必要です(設定者の同意は不要)。後順位抵当権者の同意なしに変更できるとするウは誤り。エについて、物上代位(民法372条・304条)は抵当権者が抵当不動産の売却代金・賃料・滅失による損害賠償等に追及できる権利ですが、火災保険金への物上代位は「払渡し前に差押え」が必要であり、「当然に行使できる」とするエは誤り(最判平成1.10.27)。
根抵当権(民法398条の2〜398条の22)は民法が規定する最も複雑な担保物権です。宅建試験での出題は限定的ですが、銀行融資付き物件の媒介では必須知識です。根抵当権の主要な特徴は①付従性の緩和(被担保債権がゼロでも根抵当権は存続)、②随伴性の緩和(被担保債権の譲渡に根抵当権が追随しない)、③元本確定制度(確定後は普通抵当権と同様に機能)です。元本確定事由(民法398条の20)として、①確定請求(設定後3年経過で双方に請求権)、②差押え・破産等、③設定者の死亡等があります。普通抵当権の優先弁済範囲(民法375条)は、後順位担保権者保護の観点から利息等を最後の2年分に制限します。ただし後順位担保権者がいない場合は全額について優先弁済を受けられます。抵当権の順位変更(民法374条)は①関係する抵当権者全員の合意、②順位変更の登記、が要件です。登記は効力要件(対抗要件ではなく)であり、登記がなければ順位変更の効力は生じません。物上代位権の行使方法については差押えが必要であり(民法304条1項ただし書)、火災保険金への物上代位は最決平成元.10.27で認められましたが、保険金が保険会社から設定者に支払われた後は追及できません。宅建取引実務では、融資付きの売買で金融機関の抵当権設定登記の内容(被担保債権の範囲・極度額)と決済時の抹消確認が重要です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。