宅建士 権利関係 問12:民法物権
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
動産の即時取得に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。なお、不動産については即時取得は成立しないものとする。
- ア宅地建物取引業者Aが、Bから中古自動車を買い受けた場合、Bに処分権限がなくても、Aが善意・無過失であれば即時取得が成立し自動車の所有権を取得できる。
- イ動産の即時取得が成立するためには、取引行為によって占有を取得したことが必要であり、占有改定(占有者が以後自己のためでなく取得者のためにする旨の意思表示)によって占有を取得した場合も即時取得が成立する。
- ウ盗品・遺失物については、被害者または遺失者は盗難・遺失のときから2年間は占有者に対して回復を請求することができ、この場合占有者が対価を支払っていても補償は不要である。
- エ即時取得の効果として、取得者は原始取得により真の所有者の所有権を取得するため、その動産に設定されていた担保権(質権等)も消滅する。正答
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即時取得は動産の取引で、相手方に権利がなくても善意・無過失で取引した者を保護する制度です。即時取得が成立すると、取得者は新たに所有権を原始取得します。これは前の所有者の権利関係を引き継がずに取得するため、担保権(質権など)も消滅します。よってエが正答です。
即時取得(民法192条)の要件は、①取引行為によること(占有の取得原因が取引行為)、②平穏・公然・善意・無過失で占有を開始すること、③前主が無権利者であること、です。エは即時取得成立による原始取得の効果として担保権消滅を述べており正答。アについて、自動車は道路運送車両法により登録が対抗要件となっており(最判昭和62.4.24)、登録のある自動車については即時取得の適用が否定されます。登録のない自動車のみ即時取得が成立します。Aが善意無過失でも自動車に即時取得が「当然に」成立するとは言い切れないためアは誤り。イについて、占有改定(民法183条)は観念的な占有移転であり、即時取得の占有取得には現実の引渡しが必要です(最判昭和35.2.11)。占有改定では即時取得は成立しないためイは誤り。ウについて、盗品・遺失物の回復期間は2年間で正しいですが(民法193条)、競売・公の市場・同種の物品販売業者から善意で買い受けた占有者からの回復には、被害者・遺失者は代価を弁償しなければなりません(民法194条)。「補償は不要」とするウは誤り。
即時取得制度(民法192条〜195条)は動産の円滑な流通と取引の安全を保護するための制度で、公示方法(占有)を信頼して取引した者を保護します。要件の中核は「善意無過失」であり、無過失の立証責任については民法188条の占有に伴う権利推定規定と相まって、取得者側が無過失を立証する必要はなく(最判昭和41.6.9)、相手方が有過失を証明する必要があるとされています。占有改定での即時取得非成立の根拠は、占有改定では外部からの占有状態の変化が見えず、真の所有者保護のための公示効果が不十分であることにあります。自動車については登録制度があるため公示方法として登録が機能し、即時取得の適用については判例(最判昭和45.12.4)が登録されていない自動車についてのみ適用を認めています。盗品・遺失物の特則(民法193条・194条)では2年間の回復請求権が認められますが、競売や商人からの善意取得(民法194条)には代価弁償が必要です。即時取得の効果については「原始取得」であり、前主の制限物権(質権・留置権等)は消滅します(民法192条の文言「その動産について行使する権利を取得する」=制限のない完全な所有権取得の解釈)。宅建取引実務では不動産への適用はありませんが、付属設備・家具等の動産の扱い(建物売買における設備一覧表)との関係で知識として重要です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。