宅建士 権利関係 問16:民法総則
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
宅地建物取引業者Aが媒介に関与した不動産取引において、通謀虚偽表示(民法94条)に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- アAとBが通謀して、AがBに宅地を売ったように見せかける虚偽の売買契約を締結した場合、その仮装売買は当事者間でも有効である。
- イ通謀虚偽表示による仮装売買において、Bから更に善意のCが当該宅地を買い受けた場合、CはAに対して宅地の所有権取得を主張することができる。正答
- ウ通謀虚偽表示による仮装売買において、Bの一般債権者Dが宅地を差し押さえた場合、Dが差押え当時善意であれば民法94条2項の第三者として保護される。
- エ仮装譲渡人Aが死亡し、仮装譲受人Bが相続した場合、Bは当該虚偽表示の無効を主張することができる。
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通謀虚偽表示は当事者間では無効ですが、善意の第三者には対抗できません(民法94条2項)。BからCが善意で買い受けた場合、AはCに対して「あれは偽の売買だった」と言えず、CはAに所有権を主張できます。よってイが正答です。
民法94条1項は通謀虚偽表示を「無効」とし、同条2項は「善意の第三者に対抗することができない」と定めます。イはBからの転得者CがBとAの仮装取引について知らなかった(善意)場合、AはCに無効を対抗できないことを正確に述べており正答。アについて、通謀虚偽表示は当事者間でも無効です(民法94条1項)。当事者間でも有効とするアは誤り。ウについて、民法94条2項の「第三者」は「仮装の当事者・その包括承継人以外の者で虚偽表示について正当な利益を有する者」です。一般債権者Dが宅地を差し押さえた場合、判例(最判昭和48.6.28)は差押え債権者を94条2項の第三者として保護する場合があるとしますが、一般債権者の差押えは94条2項の第三者に含まれないとする見解もあります。本問題はDが「宅地を差し押さえた」という記述であり、一般債権者による不動産差押えが94条2項の第三者か否か(正当利益の有無)が問われます。判例上は正当利益あり(差押え前の段階での所有権帰属が問題)として第三者に含まれるケースがあります。エについて、仮装譲受人Bが仮装譲渡人Aを相続した場合、BはA・B間の通謀虚偽表示について当事者であり、自ら無効を主張することはできません(信義則・民法1条2項違反)。エは誤り。
通謀虚偽表示(民法94条)は宅建試験の中でも応用問題が多い領域です。民法94条2項類推適用(第三者保護の拡張)の判例法理も重要です。判例(最判昭和44.5.27等)は、虚偽の外観を作出した者は自らその責任を負うべきとの権利外観法理・禁反言の原則から、通謀虚偽表示ではない場合でも外観への信頼保護のために民法94条2項を類推適用します。典型的な類推適用場面として、①不実の登記(最判昭和45.9.22)、②意図的に外観を作出した場合(最判昭和41.3.18)、③過失による外観の作出(最判平成18.2.23)があります。「善意」の程度については、通謀虚偽表示の基本事例では善意のみで足り(無過失不要)とされますが、民法94条2項類推適用の場合は「善意かつ無過失」が要件とされます(最判平成18.2.23)。第三者の「登記の要否」については、民法94条2項の第三者は登記なしに対抗できるとするのが通説・判例です(対抗問題として処理するのではなく、無効の主張ができないことで保護される)。宅建業者が関与する実務では、仮装売買の後に業者が権利者として行動する問題(94条2項の第三者としての宅建業者の善意主張)や、権利者として登場した仮装譲受人との取引において業者・買主が善意であれば保護される点が重要です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。