宅建士 権利関係 問19:民法総則
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
権利能力なき社団(法人格のない団体)が不動産を保有・取引する場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例によれば、最も適切なものはどれか。
- ア権利能力なき社団は法人格を有しないため、その社団の名義で不動産登記をすることはできず、構成員全員の共有名義で登記することも認められない。
- イ権利能力なき社団が所有する不動産は、代表者個人の名義で登記することができ、この場合でも登記は社団の財産として実質的に機能する。正答
- ウ権利能力なき社団の構成員が不動産を売却した場合、当該不動産に関する売買代金債務は構成員全員が連帯して負担する。
- エ権利能力なき社団が取引先との契約で負う債務については、代表者個人が無限責任を負う。
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権利能力なき社団(町内会・任意団体等)は法人格がないため、社団の名義で登記できません。実務上は代表者個人名義で登記します。この場合、実質的に社団財産として機能します(判例で認められた取扱い)。よってイが正答です。
権利能力なき社団(最判昭和39.10.15が定義を確立)は①団体としての組織を備えているか、②多数決の原則が行われているか、③構成員の変更にもかかわらず団体が存続しているか、④代表の方法・総会の運営等団体としての主要な点が確定しているか、の要件を満たす団体です。イについて、判例(最判昭和47.6.2)は権利能力なき社団の不動産は代表者個人名義で登記できるとし、社団の財産として実質機能することを認めました。正答。アについて、構成員全員の共有名義での登記は認められる場合があります(特に不動産登記法)。「構成員全員の共有名義も認められない」とするアは誤り。ウについて、権利能力なき社団の債務について、構成員は「社員(構成員)たる資格に基づく財産的責任」(総有という概念で処理)を超えて個人的な連帯責任を負わないとする判例があります(最判昭和48.10.9)。構成員全員の連帯責任とするウは誤り。エについて、代表者は社団を代表して行動する者であり、社団の債務について個人的な無限責任は原則として負いません(最判昭和44.11.4等)。「無限責任を負う」とするエは誤り。
権利能力なき社団(非法人社団)は実務上多数存在し(マンション管理組合・町内会・自治会・PTAなど)、宅建取引との関係でも重要な論点です。不動産登記法の観点からは、権利能力なき社団の名義では登記できないため、代表者個人名義(信託的構成)または規約で選定した者名義で登記します。最判昭和47.6.2は「社団の代表者が社団のために取得した不動産については、社団の代表者個人の名義で登記できる」と判示しました。代表者が死亡・交代した場合は登記名義を変更する必要があり(社団の名義変更は不可なため代表者個人から次の代表者個人への移転登記)、実務上は手間がかかります。区分所有建物のマンション管理組合については、2021年改正以前から法人格取得が可能(区分所有法47条:管理組合法人)でしたが、多くの管理組合は法人格を取得せず権利能力なき社団として運営されています。管理組合が区分所有者から徴収した管理費・修繕積立金の性質については、民法上の組合財産に近い処理がなされています。宅建取引実務では、権利能力なき社団(マンション管理組合等)が共用部分の修繕工事を発注する場面や、管理費滞納者(区分所有者)に対する法的措置において、社団の当事者能力(訴訟上の問題)が論点となります。改正民法では権利能力なき社団への規定整備は見送られましたが(法人法制の根本問題)、判例法理により実務は安定しています。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。