問題
宅地の所有者Aが、その宅地の所有権に基づいて行使できる物権的請求権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例によれば、最も適切なものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
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解説
所有者Aは、占有者(不法転借人)に対して直接、物権的妨害排除請求(明渡請求)を行使できます。所有権は直接的・絶対的な権利であり、占有を妨害する者に対して誰に対しても請求できます。よってアが正答です。
物権的請求権には①返還請求権②妨害排除請求権③妨害予防請求権の3種があります(占有訴権の占有回収の訴え等とは別のものです)。いずれも所有権に基づき占有・妨害する者に直接行使できます。アについて、賃借人Cが無断転貸した転借人Dは賃貸人Aに対して正当な占有権限を持たないため、AはDに対して直接物権的妨害排除請求(明渡請求)を行使できます。正答。イについて、所有権に基づく物権的請求権は所有権と運命を共にし、所有権が消滅しない限り消滅しません。消滅時効の適用はないとするのが通説・判例です(民法166条の時効は適用されない)。「消滅時効が適用される」とするイは誤り。ウについて、登記手続請求権(所有権移転登記請求)の性質については争いがありますが、通説は物権的請求権(所有権に基づく登記の完全性確保の請求)と解します。「物権的請求権ではなく債権的請求権」とするウは誤り(通説と異なる)。エについて、Gの占有がAとの関係で正当な権原に基づかない場合(無断転貸等)、AはGに対して直接、所有権に基づく明渡しを請求できます。「必ずF経由でなければならない」とするエは誤り(Gの占有が適法な権原に基づく場合は、そもそもAはGに明渡しを求められません)。
物権的請求権は民法に明文の規定がありませんが(民法198条〜200条は占有訴権のみ)、所有権の本質から当然に認められる権利として判例・通説が確立した理論です。物権的請求権の特徴として①消滅時効にかからない(所有権に基づく返還請求権について大判大正5.6.23)、②費用負担の問題(妨害状態の除去費用は所有者か妨害者か:個別の事案判断)、③善意占有者・悪意占有者の区別(返還請求の場合は区別なし・費用償還請求等では区別あり)があります。登記請求権の性質については、①物権的登記請求権(所有権に基づく)と②契約上の登記協力義務(売買契約等に基づく債権的請求)の2種があります。物権変動の対抗要件として登記が機能する関係(民法177条)から、物権変動の当事者間では登記なしに物権変動の効力が生じており(民法176条:意思主義)、登記未了の状態を是正するための登記手続請求権は物権的請求権として構成されます。不法占拠者に対する明渡請求(物権的返還請求)においては、現在の占有者が誰かが重要であり(被告適格)、占有移転によって逃れることを防ぐために占有移転禁止の仮処分(民事保全法23条)が実務上広く活用されます。宅建取引実務では、取得した物件に不法占拠者がいる場合の対処(内容証明・仮処分・明渡訴訟)の法的フローを理解しておく必要があります。
- 民法第166条・第198条・第177条・第176条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映しています(数値確認日 2026-10-12)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

