宅建士 権利関係 問25:民法物権
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
不動産取引における占有権および占有訴権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- ア占有訴権(占有保持の訴え・占有保全の訴え・占有回収の訴え)は、本権(所有権等)の有無に関わらず占有という事実状態を保護するものであり、本権に関する訴えに対して独立して行使できる。正答
- イ占有者が占有物から生ずる果実を取得できる(民法189条)のは、占有者が善意である場合に限られ、悪意占有者は果実を返還しなければならない。なお善意とは本権があると信じること。
- ウ占有回収の訴え(民法200条)は、占有を奪われた者が占有物の返還を求めるものであり、善意の特定承継人に対しても提起することができる。
- エ自主占有(所有の意思をもって占有すること)と他主占有(賃借人・受寄者等)の区別は、占有者の内心の意思のみで決まる。
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占有訴権は「物を占有している」という事実状態を守る権利であり、本権(所有権など)を持っているかどうかは関係ありません。所有権がない人でも占有を守れます。また、本権に関する訴えとは独立して行使できます(民法202条1項)。よってアが正答です。
民法180条以下が占有権を規定します。占有訴権(民法196条〜200条)は本権の有無にかかわらず占有という事実状態を保護するものです(民法202条1項:占有訴権は本権訴権から独立して行使可)。アは正確に述べており正答。イについて、善意占有者の果実取得(民法189条1項)は善意占有者に認められますが、「善意」は「本権があると信じていること(過失なし)」であり過失の有無が問われます(無過失善意占有者)。「善意に限られ悪意は返還」は概ね正しいですが、「善意とは本権があると信じること」の記述が「無過失」要件を欠いている点で不正確です(過失ある善意占有者は返還不要という争いもあり)。ウについて、占有回収の訴え(民法200条)は侵奪者(奪い取った者)に対して提起できますが、善意の特定承継人(侵奪の事実を知らずに取得した者)には提起できません(民法200条2項:特定承継人への提起は悪意の場合のみ)。「善意の特定承継人にも提起できる」とするウは誤り。エについて、自主占有と他主占有の区別は占有者の内心の主観的意思だけでなく、占有開始の客観的事情(占有権原の性質)によって外形的に判断されます(最判昭和45.6.18)。「内心の意思のみで決まる」とするエは誤り。
占有権(民法180条〜205条)は物の事実上の支配状態を保護する制度です。宅建試験では取得時効(民法162条)との関連で占有概念の理解が重要です。占有の種類として①所有の意思を持つ占有(自主占有:取得時効の要件)、②所有の意思なき占有(他主占有:賃借人・使用借主・受寄者等)、③直接占有と間接占有(民法181条:代理占有)があります。自主占有の判断基準(最判昭和45.6.18)は占有者の内心の意思ではなく、「占有開始の原因たる事実の性質」によって客観的に決まります。占有訴権の3類型は①占有保持の訴え(妨害除去・民法198条:妨害の存する間または消滅後1年以内)、②占有保全の訴え(妨害予防・民法199条:妨害の危険が存する間)、③占有回収の訴え(返還請求・民法200条:占有奪取から1年以内)です。民法202条1項は「占有訴権は本権訴権から独立して行使でき」るとし、2項は「本権の訴えで占有訴権を判断せず、占有訴権で本権を判断しない」(相互不影響)を定めます。悪意占有者の責任(民法190条)は現存利益の限度でなく取得した全果実を返還し、かつ損害賠償責任も負います。宅建実務では、占有権(賃借権による占有)の対抗要件(建物の引渡し:借地借家法31条)や占有の移転(引渡し方法:現実の引渡し・鍵の授受等)が重要です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
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執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。