問題
不動産取引における占有権および占有訴権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
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解説
占有訴権は「物を占有している」という事実状態を守る権利であり、本権(所有権など)を持っているかどうかは関係ありません。所有権がない人でも占有を守れます。また、本権に関する訴えとは独立して行使できます(民法202条1項)。よってアが正答です。
民法180条以下が占有権を規定します。占有訴権(民法197条〜202条)は本権の有無にかかわらず占有という事実状態を保護するものです(民法202条1項:占有訴権は本権訴権から独立して行使可)。アは正確に述べており正答。イについて、果実を取得できるのは善意の占有者(果実収取権を含む本権があると誤信している占有者)です(民法189条1項)。悪意の占有者は果実を返還し、既に消費し、過失によって損傷し、又は収取を怠った果実の代価を償還する義務を負います(民法190条1項)。「悪意の占有者も返還不要」とするイは誤り。ウについて、占有回収の訴え(民法200条)は侵奪者(奪い取った者)に対して提起できますが、善意の特定承継人(侵奪の事実を知らずに取得した者)には提起できません(民法200条2項:特定承継人への提起は悪意の場合のみ)。「善意の特定承継人にも提起できる」とするウは誤り。エについて、自主占有と他主占有の区別は占有者の内心の主観的意思だけでなく、占有開始の客観的事情(占有権原の性質)によって外形的に判断されます(最判昭和45.6.18)。「内心の意思のみで決まる」とするエは誤り。
占有権(民法180条〜205条)は物の事実上の支配状態を保護する制度です。宅建試験では取得時効(民法162条)との関連で占有概念の理解が重要です。占有の種類として①所有の意思を持つ占有(自主占有:取得時効の要件)、②所有の意思なき占有(他主占有:賃借人・使用借主・受寄者等)、③直接占有と間接占有(民法181条:代理占有)があります。自主占有の判断基準(最判昭和45.6.18)は占有者の内心の意思ではなく、「占有開始の原因たる事実の性質」によって客観的に決まります。占有訴権の3類型は①占有保持の訴え(妨害除去・民法198条:妨害の存する間または消滅後1年以内・201条1項)、②占有保全の訴え(妨害予防・民法199条:妨害の危険が存する間・201条2項)、③占有回収の訴え(返還請求・民法200条:占有を奪われた時から1年以内・201条3項)です。民法202条1項は「占有の訴えは本権の訴えを妨げず、また、本権の訴えは占有の訴えを妨げない」とし、2項は「占有の訴えについては、本権に関する理由に基づいて裁判をすることができない」と定めます。悪意占有者(民法190条1項)は果実を返還し、既に消費し、過失によって損傷し、又は収取を怠った果実の代価を償還する義務を負います。宅建実務では、占有権(賃借権による占有)の対抗要件(建物の引渡し:借地借家法31条)や占有の移転(引渡し方法:現実の引渡し・鍵の授受等)が重要です。
- 民法第200条・第202条・第180条・第197条・第189条・第190条e-Govで原文を読む
- 借地借家法第31条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映しています(数値確認日 2026-10-12)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

