宅建士 権利関係 問26:民法総則
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
宅地建物取引業者Aが媒介する不動産について、売主の相続に伴う遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- ア相続人が配偶者と子2人の場合、各人の遺留分の割合は配偶者4分の1、子各8分の1となる。
- イ遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額に相当する不動産の持分を当然に取得する。
- ウ遺留分侵害額請求権(民法1046条)の行使により、受遺者・受贈者は金銭を支払うことで遺留分を満たすことができ、不動産の共有状態は強制されない。正答
- エ相続人から廃除(民法892条)された者は、遺留分も失うが、廃除された者の子がいる場合、当該子が代襲相続するため遺留分も代襲される。
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改正民法(2019年7月施行)では、遺留分制度が大きく変わりました。遺留分侵害額請求権(旧:遺留分減殺請求)を行使した場合、以前は不動産の持分を取得していましたが、改正後は金銭の支払請求権(金銭債権)となりました。これにより不動産の共有状態が強制的に生じなくなりました。よってウが正答です。
2019年7月1日施行の改正民法は遺留分制度を大幅に見直しました。改正後、遺留分侵害額請求権(民法1046条)は金銭債権であり、受遺者・受贈者は遺留分侵害額に相当する金銭を支払えば足ります(不動産の共有持分を返さなくて良い)。ウは改正民法を正確に述べており正答。アについて、遺留分の総体は直系尊属のみが相続人の場合は3分の1、それ以外は2分の1です(民法1042条)。本問では相続人が配偶者と子2人なので遺留分総体は2分の1。配偶者の法定相続分(2分の1)×遺留分総体(2分の1)=配偶者の遺留分4分の1。子(各4分の1)×遺留分総体(2分の1)×2人で子1人各8分の1。したがってアの「配偶者4分の1・子各8分の1」は正しい計算ですが、最も適切な正答はウです。イについて、改正前(2019年6月30日以前)は遺留分減殺請求によって不動産の共有持分を取得するという物権的効果がありましたが、改正後は金銭債権となりました。「当然に持分を取得する」とするイは改正前の制度であり現行法では誤り。エについて、廃除(民法892条)された者は相続権を失いますが、代襲相続(民法887条2項)が発生するため子が相続します。廃除者の子が代襲する場合、遺留分も引き継ぐとするエは概ね正しい内容ですが、廃除者自身が遺留分を失うのは正確で(民法892条で「相続人となることができない」)、代襲相続人は独自に遺留分権利者となります(代襲であり遺留分「も」代襲されるという表現の正確性に問題あり)。
遺留分制度(民法1042条〜1049条)の2019年改正は相続税実務・不動産取引実務に大きな影響を与えました。改正前は遺留分減殺請求(物権的形成権)によって遺贈・贈与された不動産の共有持分が遺留分権利者に帰属していました(共有の強制)。この結果、不動産が細分化・多数人の共有状態となる問題がありました。改正後の遺留分侵害額請求権(民法1046条:形成権でなく請求権へ変更)は金銭債権であり、受遺者・受贈者は①金銭を支払うか、②裁判所への期限許与申立て(民法1047条5項:支払猶予)のいずれかで対応できます。遺留分侵害額の算定(民法1043条〜1044条)は複雑で、相続開始時財産+相続前10年以内の贈与(特別受益:民法1044条)−相続時の債務の計算で遺留分算定基礎財産を確定します。遺留分権利者は配偶者・子(代襲含む)・直系尊属であり(民法1042条2項)、兄弟姉妹には遺留分はありません(廃除・相続放棄者も失う)。宅建取引実務では、被相続人が特定の相続人または第三者に不動産を遺贈した場合、他の相続人から遺留分侵害額請求を受けた受遺者(第三者が購入した物件も含む)が金銭支払義務を負う可能性があります。購入後に遺留分問題が発生しないよう相続関係の調査が重要です。また遺留分放棄(生前の家裁許可が必要:民法1049条)の確認も購入前調査の対象になります。令和元年相続法改正は遺留分だけでなく配偶者居住権(民法1028条)・特別寄与料(民法1050条)も新設しており、不動産の相続絡みの案件では改正全体を俯瞰した実務対応が必要です。行政書士・司法書士試験では遺留分侵害額の算定式(民法1043〜1044条)が計算問題として出題されます。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。