宅建士 権利関係 問29:民法物権
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
宅地の時効取得と登記の関係に関する次の記述のうち、民法の規定および判例によれば、最も適切なものはどれか。
- アAが宅地を時効取得した場合、時効の援用をするためには登記を具備している必要がある。
- イAの時効が完成した後に、元の所有者Bがその宅地をCに売却した場合、AはCに対して登記なしに時効取得を対抗できる。
- ウAの時効が完成する前に、元の所有者Bがその宅地をCに売却し、Cへの所有権移転登記が完了した場合でも、Cへの移転後20年間占有が継続すればAはCに対して時効取得を主張できる。正答
- エAが宅地を時効取得した場合、時効の効力は時効援用の時点から生じる。
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時効は完成した後も援用(「時効を使います」という主張)が必要です。時効完成後に元の所有者が第三者に売却した場合、時効取得者は登記を備えないと対抗できません。一方、第三者が所有権を取得した後も20年間占有が続けばその第三者を相手に新たに時効取得できます。よってウが正答です。
時効取得と登記の関係(民法177条との交差)は判例で詳細に整理されています。ウは時効完成前の第三者(C)との関係で、Cの所有権取得後に占有を継続すればCに対して新たに時効取得を主張できるとする判例(最判昭和36.7.20等)の法理を正確に述べており正答。アについて、時効援用(民法145条)は登記なしに行使できます。援用に登記は不要。Aは登記なしに援用でき、援用後に登記を取得すれば第三者に対抗できます。「援用に登記が必要」とするアは誤り。イについて、時効完成後に第三者Cが所有権を取得した場合、AとCは「時効完成後の第三者」として対抗問題(民法177条)となり、Aは登記を備えなければCに対抗できません(最判昭和33.8.28)。「登記なしに対抗できる」とするイは誤り。エについて、時効の効力は援用により生じますが、遡及効(民法144条)により時効期間の起算点に遡って効力が生じます。「援用の時点から」とするエは誤り(起算点から遡及)。
不動産の時効取得と登記の関係は判例法理が精緻に積み上がった領域です。整理軸は「時効完成前の第三者」と「時効完成後の第三者」の区別です。時効完成前の第三者:Bが宅地をCに売却→その後Aの時効が完成→AはCに対して時効取得を主張できます(Cは時効の完成した権利を受けた「時効完成前の第三者」として登記があっても時効取得に優先できない:最判昭和41.11.22)。時効完成後の第三者:Aの時効完成後にBがCに売却→AとCは対抗関係(民法177条)となり先に登記した方が優先(最判昭和33.8.28)。二重売買における背信的悪意者論は時効完成後の第三者にも適用されます(最判平成18.1.17)。なお、ウのパターン(Cへの移転後に占有継続でCへの時効取得)については、判例(最判昭和36.7.20)が認めており「時効の起算点は主張者が自由に選択できる」とする判例(最判昭和35.7.27)と組み合わせると、Aが「Cの所有権取得後から新たな時効期間を起算する」と主張すれば、Cに対して時効取得できる場合があります。宅建実務では、占有者がいる物件の購入において時効取得の可能性(権利主張)を事前調査し、重要事項説明に含めることが必要です。20年以上の占有履歴のある物件には時効取得リスクの確認が必須です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。