問題
宅地の時効取得と登記の関係に関する次の記述のうち、民法の規定および判例によれば、最も適切なものはどれか。
キーボード:1〜4で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
時効は完成した後も援用(「時効を使います」という主張)が必要です。時効完成後に元の所有者が第三者に売却した場合、時効取得者は登記を備えないと対抗できません。一方、第三者が所有権を取得した後も20年間占有が続けばその第三者を相手に新たに時効取得できます。よってウが正答です。
時効取得と登記の関係(民法177条との交差)は判例で詳細に整理されています。ウは時効完成前の第三者(C)との関係で、Cの所有権取得後も占有を継続して時効が完成すれば、時効完成時の所有者Cに対して登記なくして時効取得を主張できるとする判例(最判昭和41.11.22)の法理に沿っており正答。アについて、時効援用(民法145条)は登記なしに行使できます。援用に登記は不要。Aは登記なしに援用でき、援用後に登記を取得すれば第三者に対抗できます。「援用に登記が必要」とするアは誤り。イについて、時効完成後に第三者Cが所有権を取得した場合、AとCは「時効完成後の第三者」として対抗問題(民法177条)となり、Aは登記を備えなければCに対抗できません(最判昭和33.8.28)。「登記なしに対抗できる」とするイは誤り。エについて、時効の効力は援用により生じますが、遡及効(民法144条)により時効期間の起算点に遡って効力が生じます。「援用の時点から」とするエは誤り(起算点から遡及)。
不動産の時効取得と登記の関係は判例法理が精緻に積み上がった領域です。整理軸は「時効完成前の第三者」と「時効完成後の第三者」の区別です。時効完成前の第三者:Bが宅地をCに売却→その後Aの時効が完成→AはCに対して時効取得を主張できます(Cは時効の完成した権利を受けた「時効完成前の第三者」として登記があっても時効取得に優先できない:最判昭和41.11.22)。時効完成後の第三者:Aの時効完成後にBがCに売却→AとCは対抗関係(民法177条)となり先に登記した方が優先(最判昭和33.8.28)。二重売買における背信的悪意者論は時効完成後の第三者にも適用されます(最判平成18.1.17)。なお、時効の起算点は占有開始の時に固定され、時効を援用する者が任意に選択して時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできません(最判昭和35.7.27)。一方、第三者が登記を備えた後に、占有者がさらに時効取得に必要な期間占有を継続した場合には、その第三者に対して登記なくして時効取得を対抗できるとされています(最判昭和36.7.20)。ウは、Cが時効完成前の第三者に当たる場面であり、時効完成時の所有者Cに対して、Aは登記なくして時効取得を主張できます(最判昭和41.11.22)。宅建実務では、占有者がいる物件の購入において時効取得の可能性(権利主張)を事前に調査することが重要です。
- 民法第177条・第145条・第144条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映しています(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

