問題
宅地建物取引業者Aが媒介する売買契約における債務の不履行・履行不能に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
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解説
当事者のどちらの責任でもない理由で契約の目的物が使えなくなった場合(例:引渡し前に地震で建物が滅失)、代金を支払う側は、その支払を拒むことができます(民法536条1項)。イはこの条文どおりで正答です。債務者に責任がない不履行では、そもそも損害賠償請求ができない点(415条1項ただし書)がアの誤りです。
民法536条1項は「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる」と定めます。イはこの条文どおりで正答です。アは、415条1項ただし書が「その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」と定めており、帰責事由がなければ損害賠償を請求できないため誤りです。ウは、541条ただし書が「その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない」と定めており、軽微な不履行では解除できないため誤りです。エは、536条2項が「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない」と定めており、拒むことができるとする点で条文と逆であり誤りです。
2020年施行の改正民法により、債務不履行に基づく損害賠償と契約の解除の要件は整理されました。損害賠償請求(415条1項)は、債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は履行が不能であるときに認められますが、その不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、損害賠償を請求することができません(同項ただし書)。これに対し、契約の解除(541条・542条)は、改正により債務者の帰責事由を要件としないことが明確化され、天災等の不可抗力による履行不能であっても、債権者は契約を解除することができます。ただし催告による解除(541条)は、催告後相当期間が経過した時点での不履行が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは認められません(同条ただし書)。危険負担(536条)は、双務契約の一方の債務が当事者双方の責めに帰することができない事由によって履行不能となった場合の反対給付の処理を定めるもので、改正前は反対給付債務が当然に消滅する構成でしたが、改正後は債権者が反対給付の履行を「拒むことができる」という履行拒絶権の構成に変わりました(536条1項)。他方、履行不能が債権者の責めに帰すべき事由による場合は、債権者は反対給付の履行を拒むことができず(同条2項前段)、債務者は自己の債務を免れたことによって得た利益があればこれを債権者に償還しなければなりません(同項後段)。宅建実務では、引渡し前の目的物の滅失・損傷について、危険の移転時期(民法567条:引渡し時に危険が買主に移転)と、536条の危険負担・541条の解除・415条の損害賠償の適用場面を正確に区別することが、契約書の免責条項・特約の設計にも直結します。
- 民法第536条・第567条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映しています(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

