宅建士 権利関係 問31:民法債権
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
宅地建物取引業者Aが媒介する売買契約において、売主Bが引渡しを遅延した場合(履行遅滞)または履行不能となった場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- アBがAに対する引渡し義務を怠った場合(履行遅滞)、Aは損害賠償請求をするためにBの過失を証明しなければならない。
- イ売買目的物である建物が、引渡し前に売主Bの過失により焼失した場合(履行不能)、買主Cは代金を支払う義務を免れ(危険負担)、かつ損害賠償も請求できる。
- ウ売主Bが売買代金の一部について履行遅滞に陥った場合、買主Cは契約の目的が達成できないほどの遅延でなければ売買契約全体を解除することができない。
- エ履行不能が天災(地震等)による場合、売主Bは不可抗力を理由に損害賠償責任を免れるが、買主Cは契約の解除をすることができる。正答
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改正民法(2020年施行)では、債務不履行による損害賠償には「帰責事由(故意・過失)」が必要ですが、解除には帰責事由は不要です。天災による履行不能でも買主は契約を解除できます。損害賠償は免れますが解除はできるというエが正答です。
改正民法(2020年施行)の債務不履行の重要変更点は①損害賠償責任(民法415条1項ただし書)に「債務者の帰責事由不存在」が免責事由として明文化、②解除(民法541条以下)は帰責事由不要(改正前は帰責事由必要とする見解が有力だった)となりました。エは天災(不可抗力)による履行不能で損害賠償免責・解除可能という改正民法の正確な適用で正答。アについて、履行遅滞による損害賠償(民法415条1項)は「債務者の帰責事由(故意・過失等)」を要件としますが、Bに帰責事由がなければ(不可抗力等)Bは免責されます。買主A(問題文ではAとBが逆のようですが設問上の買主の立場として)が「Bの過失を証明しなければならない」かどうかは帰責事由の主張・立証責任の問題で、改正民法では「債務者が帰責事由なしを証明して免責される」(不存在の立証責任は債務者側)という構造のため「買主がBの過失を証明しなければならない」とするアの表現は不正確(方向が逆)で誤り。イについて、改正民法は「危険負担」(536条)を「反対給付債務は消滅する」のではなく「履行拒絶権」に変更(536条1項:債権者は反対給付の履行を拒絶できる)しました。「代金支払義務を免れる」の部分は「拒絶できる」であり完全な消滅ではありません。また損害賠償についてはBに帰責事由がある場合(過失による焼失)は当然可能であり、イの記述自体は正しい部分がありますが設問全体としての正確性でエが優先。ウについて、一部履行遅滞での解除については残部についての解除可能性は民法542条で規定しており、目的不達成程度の判断基準(不完全履行解除の問題)があり得ますが、本問の正答はエです。
改正民法(2020年施行)の債務不履行・解除体系は宅建試験の最重要改正事項です。旧法では①履行遅滞(催告後解除可)、②履行不能(即時解除可)、③不完全履行という3分類でしたが、改正後は催告解除(民法541条)と無催告解除(民法542条)の2分類に整理されました。催告解除(民法541条)は催告後相当期間内に履行がない場合に解除可能ですが、ただし書で「その期間が経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときはこの限りでない」と規定され、軽微な不履行は解除不可となりました。無催告解除(民法542条1項)は①履行不能、②全部拒絶(明示)、③一定期間内の履行が必要でそれを経過した場合、④一部不能で残部では目的達成不可、⑤催告が明らかに無意味な場合に解除できます。解除の要件(民法541条〜543条)は改正により「帰責事由不要」となり(民法543条反面解釈:債権者の帰責事由がある場合は解除不可)、天災等の不可抗力による債務不履行でも解除できます。危険負担(民法536条)改正により「債権者が反対給付債務の履行を拒絶できる」(履行拒絶権)の構成となり、履行不能時の法律関係が整理されました。宅建実務では、引渡し前の目的物の滅失・損傷について危険の移転時期(民法567条:引渡し時点で危険移転)と解除権の関係を正確に理解することが必要です。令和2年改正民法では解除に帰責事由が不要となったことで、天災・不可抗力による契約解除(民法542条)が一般化しました。この点はFP・行政書士・マンション管理士等の上位資格でも頻出であり、契約書の免責条項・危険負担特約の設計実務にも直結します。特に司法書士・行政書士試験では旧法(帰責事由必要)と改正法(帰責事由不要)の対比を問う出題が増加しており、解除・損害賠償・危険負担の三要件を改正前後で整理することが上位資格対策の核心です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。