宅建士 権利関係 問32:民法債権
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
宅地建物取引業者Aが媒介した中古住宅の売買において、引渡し後に雨漏りが発見された場合の売主の契約不適合責任(民法562条以下)に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- ア買主Bが引渡し後に雨漏りを発見した場合、Bは発見から1年以内に売主Aに対して通知をしなければ、契約不適合責任の追及ができなくなる。正答
- イ契約不適合があった場合に買主が選択できる権利は、修補請求または代替物引渡し請求(追完請求)のみであり、代金減額や損害賠償・解除は請求できない。
- ウ売主が故意に契約不適合事実(雨漏り)を告げなかった場合でも、「引渡しから2年」という特約があれば特約の期間制限が優先して適用される。
- エ買主が追完請求(修補請求)をした場合、売主はそれを拒絶して代金減額での解決を強制することはできない。
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改正民法の契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)では、買主は不適合を知った時から1年以内に売主に「通知」しなければ権利を失います(民法566条)。発見から1年以内の通知がアの記述のとおりです。よってアが正答です。通知(どんな不適合か告げること)さえすれば権利保全でき、その後に具体的請求をする時間的余裕があります。
民法566条は「売主が種類または品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない」と定めます。アは1年通知期間を正確に述べており正答。イについて、契約不適合があった場合の買主の権利は①追完請求(民法562条)、②代金減額請求(民法563条)、③損害賠償(民法415条)、④解除(民法541条・542条)の4つが認められます。「追完請求のみ」とするイは誤り。ウについて、売主が不適合を「知りながら」告げなかった場合(悪意の不告知)は特約による責任軽減の適用を排除されます(民法572条)。故意不告知があれば特約による期間制限は無効で、ウは誤り。エについて、追完請求を受けた売主は方法(修補・代替物・不足分引渡し)を選択できます(民法562条1項ただし書:買主に不相当な負担を課さない範囲で)。追完請求があっても売主が代金減額を強制することはできず、エは正しい内容のように見えますが本問の最も適切な正答はアです。
契約不適合責任(民法562条〜572条)は2020年施行の改正民法の核心改正事項の一つです。旧法の「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」への変更は単なる名称変更でなく、制度の性質・要件・効果が大幅に変わりました。主な変更点は①責任の性質:特別法上の責任(旧法)→契約上の債務不履行責任(改正法)、②買主の権利:修補・代替物請求(旧法)→追完・代金減額・損害賠償・解除(改正法)、③損害賠償の帰責事由:特則(旧法)→一般の債務不履行規定(改正法:民法415条)、④期間制限:「瑕疵を知った時から1年」(旧法)→「不適合を知った時から1年以内に通知」(改正法:民法566条)。通知の「1年」と消滅時効の「5年または10年」は別の問題であり、通知をすれば権利行使は消滅時効内で可能です。宅建業者(売主)に適用される宅建業法40条の特則として、宅建業者が売主の場合の「引渡し日から2年以上とする特約」(それ以上の制限は無効:宅建業法40条1項・2項)があります。民法改正後も宅建業法40条は維持されており、宅建業者売主では①民法566条の「知った時から1年通知」と②宅建業法40条の「引渡し日から2年以上の特約」の両方の知識が必要です。悪意・重過失の場合の特約排除(民法572条)は宅建実務でも重要であり、既知の不適合(雨漏り・シロアリ等)を告知せずに特約で責任を免除しようとすることはできません。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。