問題
宅地建物取引業者Aが媒介する宅地の売買において、手付に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
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解説
民法では手付について特段の合意がなければ解約手付(手付放棄・倍返しで解除できる:民法557条1項)と推定されます(判例)。この「解約手付の推定」がウの内容です。よってウが正答です。手付解除は相手方が履行に着手した後はできなくなります(アが誤り)。
民法557条1項は「買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない」と定めます。ウは、特段の合意がなければ手付は解約手付と推定されるという判例の立場を正確に述べており正答。アについて、相手方(売主B)が履行に着手した後は、買主Cは手付解除できません(民法557条1項ただし書)。「履行着手後でも解除できる」とするアは誤り。イについて、売主Bが手付解除する場合は「手付の倍額を現実に提供」することが必要であり(民法557条1項)、口頭で告げるだけ(口頭の提供)では足りません。イは誤り。エについて、「相手方の履行着手後は手付解除不可」という特約は民法557条1項の要件(相手方が着手した後)を更に限定するものであり(着手前でも特約で制限可能)、当事者を拘束します。「特約を無視できる」とするエは誤り。
手付(民法557条)は宅建試験で特に重要な事項です。手付の種類として①証約手付(契約締結の証拠)、②解約手付(民法557条:放棄または倍返しで解除可)、③違約手付(違約罰・損害賠償額の予定)の3種がありますが、民法557条は「解約手付と推定する」規定であり、特約で違約手付・証約手付として合意することも可能です。「履行の着手」の解釈(民法557条1項ただし書の「相手方が契約の履行に着手した後」。2020年施行の改正で「当事者の一方が」から「相手方が」に改められ、自ら履行に着手した者も相手方が着手するまでは手付解除できることが明文化された)は、判例で「客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし、又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合」(最大判昭和40.11.24)とされています。売主の「履行着手」の典型は所有権移転登記の申請・目的物の引渡し準備(引越し・鍵の準備)、買主の「履行着手」は代金の準備(ローン契約締結・資金調達)です。単なる残代金準備(金融機関への融資申込み等)は着手に当たらないとする判例もあります。宅建業者(売主)に対しては宅建業法39条1項の制限があり、宅建業者が売主の場合の手付金額は代金の20%以内に制限されます(民法との特則)。手付解除と損害賠償の関係については、手付解除を選択した場合は損害賠償請求はできない(解約手付は損害賠償額の予定とは別)とする考え方が有力です。
- 民法第557条e-Govで原文を読む
- 宅地建物取引業法第39条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映しています(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

