宅建士 権利関係 問36:民法債権
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
宅地建物取引業者Aが媒介した不動産売買において、買主B・Cが連帯して売買代金1,000万円の支払義務を負っている場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- ア売主Aが連帯債務者BとCのうちのBのみに対して代金の支払いを請求した場合、BとCの双方に対して時効の更新の効力が生じる。
- イ売主AがBに対して代金1,000万円全額の履行を請求した場合、BはCに対して500万円の求償権を取得するが、求償できるのはAへの支払後に限られる。正答
- ウ売主AがBの代金債務1,000万円を免除した場合、Cはその免除を援用してCに対する1,000万円の支払請求全額の免除を主張することができる。
- エ売主Aが代金の一部(500万円)の支払期限をBについてのみ1か月猶予した場合、Cについても同額が猶予される。
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連帯債務では、一人が全額を支払うと他の連帯債務者の義務も消滅します(弁済)。全額を支払ったBはCに対してその負担割合(各500万円)の求償ができます。求償権はBがAに弁済した後に取得します。よってイが正答です。
改正民法(2020年施行)は連帯債務の「絶対効」を大幅に縮小し、「弁済・代物弁済・供託(消滅行為)」と「相殺(一定の場合)」のみを全員に効力が及ぶ絶対効とし、その他は相対効(当該債務者のみに効力が及ぶ)としました。イについて、連帯債務者の一人Bがすでに全額弁済した場合(または超過部分を弁済した場合)、他の連帯債務者Cへの求償権(民法442条)が生じます。求償の前提として弁済が必要(弁済前の求償は制限的)なため「支払後に限られる」の部分は概ね正確で正答。アについて、改正民法では「請求」は相対効となり(民法441条本文)、BへのAの請求はBの時効更新に影響しますがCの時効更新には原則影響しません(民法441条ただし書:当事者の別段の合意または前提事情がある場合を除く)。「双方に時効更新の効力が生じる」とするアは改正後の原則(相対効)では誤り。ウについて、AがBの債務を免除した場合、免除は相対効(民法441条)です(改正前は絶対効:現行法では相対効)。CはAから1,000万円全額の請求を受けた後にBへの求償(500万円)を行うことになります。「免除の相対効」によりCは全額義務を負うため「全額免除を主張できる」とするウは誤り。エについて、期限猶予(履行期限の変更)は相対効(民法441条)であり、Bへの猶予はCに影響しません。「Cについても猶予される」とするエは誤り。
連帯債務の絶対効・相対効の整理(改正民法441条・438条〜440条)は宅建試験の重要改正論点です。改正民法では絶対効は縮小され、以下のもののみが絶対効:①弁済・代物弁済・供託(民法438条:消滅行為)、②相殺(民法439条1項:相殺できる連帯債務者が相殺援用・拒絶した場合の処理)。相対効(民法441条本文)となったもの:③請求(時効更新の絶対効廃止)、④更改(絶対効廃止)、⑤免除(絶対効廃止)、⑥時効完成(絶対効廃止)。ただし民法441条ただし書で当事者間の「別段の合意(特約)」があれば絶対効化可能。求償権(民法442条〜444条)については、弁済した連帯債務者は他の連帯債務者に対して各自の負担割合に応じた求償ができます。負担割合は原則として連帯債務者間の合意、合意なければ均等(民法442条1項)。事前求償権(民法460条:保証での規定を連帯債務に類推適用)は一定の場合に弁済前の求償を認めますが、制限的です。宅建実務では、区分所有建物の管理費滞納(共有者連帯債務・民法434条等)、複数名義の連帯保証付き賃貸借の解除・滞納回収において、改正後の相対効原則の正確な理解が必要です。特に「請求の相対効(民法441条本文)」により時効管理が複雑になった点(連帯債務者全員への個別の時効更新措置が必要)は実務上の重要ポイントです。令和2年改正の絶対効縮小は行政書士・司法書士試験でも頻出の改正論点であり、旧法との対比(請求・免除・時効完成の絶対効廃止)を表にして記憶することが上位試験対策として有効です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。