宅建士 権利関係 問37:民法債権
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
宅地建物取引業者Aが関与する不動産取引における不法行為(民法709条以下)に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- ア不法行為による損害賠償請求権の消滅時効期間は、被害者が損害および加害者を知った時から5年(人の生命・身体侵害の場合)または行為の時から20年である。
- イ使用者責任(民法715条)において、使用者は被用者(従業員)の不法行為に対して無過失責任を負うため、相当の注意をしたこと等を主張しても免責されない。
- ウ工作物(建物・構造物)の占有者は、工作物の設置または保存の瑕疵により他人に損害を与えた場合、無過失であっても損害賠償責任を負う。
- エ不法行為による損害賠償債務は、損害発生の時点から遅滞に陥るため、損害賠償請求訴訟の判決確定後ではなく損害発生時から遅延損害金が発生する。正答
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不法行為による損害賠償債務は、損害の発生と同時に(催告なしに)履行遅滞に陥ります(最判昭和37.9.4)。そのため判決を待たず損害発生時から遅延損害金が発生します。よってエが正答です。
不法行為の損害賠償債務の遅延損害金(民法419条・709条)については、判例(最判昭和37.9.4)が「損害発生の時から遅滞に陥る」と確立しています。エは正確であり正答。アについて、不法行為の消滅時効(民法724条)は「損害及び加害者を知った時から3年」または「行為時から20年」です(2020年改正前は3年・20年のみ)。人の生命・身体侵害の場合は「知った時から5年」(民法724条の2)が適用されます。ただしアは「損害および加害者を知った時から5年」と述べており、これは「生命・身体侵害の場合」という限定が正確には必要です。生命・身体侵害に限定すれば正しい内容ですが、本問では「最も適切なもの」としてエが正答。イについて、使用者責任(民法715条)は過失推定責任(中間責任)であり、「使用者が相当の注意をしたこと、または相当の注意をしても損害が生ずべきであったこと」を証明すれば免責されます(民法715条1項ただし書)。「無過失責任で免責されない」とするイは誤り。ウについて、工作物責任(民法717条)は①占有者(過失推定:注意を尽くしても損害発生なら免責)と②所有者(無過失責任:免責なし)で異なります。「占有者は無過失でも責任を負う」とするウは誤り(占有者は免責可能・所有者が無過失責任)。
不法行為(民法709条〜724条の2)の体系は宅建試験での応用問題が多い領域です。基本的不法行為(民法709条)の要件は①故意または過失、②権利・法律上保護される利益の侵害、③損害の発生、④加害行為と損害の因果関係です。特殊不法行為として①使用者責任(民法715条:被用者の不法行為について使用者が責任)、②土地工作物責任(民法717条:工作物の占有者→免責可能、所有者→無過失責任)、③共同不法行為(民法719条:連帯責任)があります。消滅時効の改正(民法724条・724条の2):一般の不法行為は3年(知った時から)・20年(行為時から)、人の生命・身体侵害は5年(知った時から)・20年(行為時から)です。遅延損害金については不法行為債務が「期限の定めなき債務」に当たるかが問題となりますが、判例は「損害発生と同時に遅滞に陥る」として損害発生時から遅延損害金が発生することを確立(最判昭和37.9.4)。宅建実務では、宅建業者の説明義務違反(不法行為・民法709条)と宅建業法上の責任(業務停止・取消し・損害賠償)が競合する場面が多く、①物件の欠陥・不具合の不告知、②重要事項説明の不備・誤情報、③相場と大きく乖離した取引での説明義務違反等が典型的な宅建業者不法行為の問題です。令和2年民法改正で消滅時効が「生命・身体侵害は5年」(民法724条の2)に統一された点は宅建試験でも問われます。上位資格(行政書士・マンション管理士)では不法行為と契約責任の競合論・「加害者不知から3年」「行為時から20年」の起算点の違いが計算問題として出題されます。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。