宅建士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

宅建士 権利関係 問40|危険負担・引渡し後の危険移転

問題

宅建士 | 権利関係 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

宅地建物取引業者Aが媒介した建物の売買契約において、引渡し前後の危険負担および損害賠償に関する次の記述のうち、改正民法(2020年施行)の規定によれば、最も適切なものはどれか。

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答え合わせ

正解は エ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ

自信の3択

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解説

改正民法(2020年施行)では「危険の移転」は原則として引渡し時です(民法567条)。引渡し前の滅失は売主の責任(危険負担)であり、買主は代金支払い拒絶と解除の両方ができます。よってエが正答です。反対に、引渡し後の不可抗力による滅失・損傷は買主の負担となり、代金の支払を拒めません(民法567条1項)。

改正民法の危険負担(民法536条)は「債権者主義」(買主が危険負担)を廃止し、引渡し前の滅失については買主は代金支払を拒絶できます(民法536条1項:履行拒絶権)。さらに、売主に帰責事由がなくても引渡し前の滅失・損傷により契約の目的が達成できない場合は解除(民法542条1項1号:履行不能解除)が可能です。エは「代金支払い拒絶と解除が両方可能」という改正民法の正確な内容で正答。アについて、改正民法では危険負担と解除は別の制度であり、買主は代金支払い拒絶(民法536条)だけでなく解除(民法542条)も可能です。「解除できない」とするアは誤り。ウについて、引渡し完了後は危険が買主に移転します(民法567条1項:引渡しがあった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失・損傷したときは、買主は代金の支払を拒むことができない)。引渡し後に買主の故意・過失によらない滅失が生じた場合も買主はリスクを負い、代金支払義務を免れません。ウは誤り。イについて、引渡し前の損傷で追完請求(民法562条)ができるかは、損傷が「契約内容の不適合」に当たるかで決まります。引渡し前の不可抗力による損傷は危険負担問題(民法536条)であり、「常に追完請求できる」とするイは誤り(危険移転前は危険負担の問題として処理)。

改正民法(2020年施行)の危険負担制度変更は宅建試験の最重要改正事項の一つです。旧法(民法534条:債権者主義)は不動産売買において「特定物の滅失リスクは契約成立時に買主に移転する」としていましたが(目的物が特定された時点で危険は買主)、これは買主に酷な結果をもたらすため改正で廃止されました。改正後の危険移転時期は「引渡し時」(民法567条1項)です。引渡し時以後は買主の危険負担となり、引渡し後に生じた損傷・滅失について買主は代金支払義務を免れません(不可抗力であっても)。危険負担(民法536条)の処理方法として、引渡し前の一方当事者の帰責事由なき履行不能(天災等)では①買主は反対給付(代金支払い)を拒絶できる(履行拒絶権:民法536条1項)、②目的達成不可能なら解除(民法542条1項1号)も可能、となりました。なお売主の帰責事由がある場合は履行不能(民法415条・542条)として損害賠償も加えて請求できます。宅建実務では、決済・引渡しの同日実施(金消契約・代金支払い・引渡し・登記申請を同一日に実施)がリスク管理の観点から標準的です。

567条1項の危険の移転の対象は「売買の目的として特定したもの」に限られ、引渡し以後に当事者双方の責めに帰することができない事由で滅失・損傷したときは、買主はその滅失・損傷を理由として、履行の追完の請求・代金の減額の請求・損害賠償の請求・契約の解除のいずれもできず、代金の支払も拒めません。さらに、売主が契約の内容に適合する目的物で引渡しの債務の履行を提供したのに、買主がその履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合(受領遅滞)は、その提供の時以後に生じた不可抗力による滅失・損傷も同様に買主の負担となります(民法567条2項)。反対に、滅失が買主(債権者)の責めに帰すべき事由による場合は、買主は代金の支払を拒めず(民法536条2項前段)、契約の解除もできません(民法543条)。この場合、売主は自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを買主に償還しなければなりません(民法536条2項後段)。整理すると、「引渡し前か後か」「受領遅滞があったか」「誰の帰責事由か」の3点で結論が決まります。試験ではこの3点のうち1つをずらした記述がひっかけとして作られるので、事案を読むときは時系列と帰責事由を必ず書き出しましょう。なお実務の売買契約書では、引渡し前の滅失・損傷について特約(解除の方法や修補の扱い等)を置くことが多く、条文と特約の両方を確認します。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映しています(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

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