宅建士 権利関係 問40:民法債権
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
宅地建物取引業者Aが媒介した建物の売買契約において、引渡し前後の危険負担および損害賠償に関する次の記述のうち、改正民法(2020年施行)の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- ア売買契約締結後、建物の引渡し前に、売主の故意・過失によらない原因(落雷・地震等の不可抗力)で建物が滅失した場合、買主は危険負担(民法536条)を理由に売買代金の支払いを拒絶できるが、契約の解除はできない。
- イ売買契約締結後、建物の引渡し前に、売主の故意・過失によらない原因で建物が滅失した場合、買主は代金の支払いを拒絶でき、かつ契約を解除することができる。正答
- ウ建物の引渡しが完了した後に、買主の故意・過失によらない原因で建物が滅失した場合でも、買主はまだ売買代金を支払っていなければ代金支払義務を免れる。
- エ売買の目的である建物が引渡し前に損傷した場合、損傷が買主の帰責事由によるものでなければ常に買主は追完(修補)を請求できる。
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改正民法(2020年施行)では「危険の移転」は原則として引渡し時です(民法567条)。引渡し前の滅失は売主の責任(危険負担)であり、買主は代金支払い拒絶と解除の両方ができます。よってイが正答です。
改正民法の危険負担(民法536条)は「債権者主義」(買主が危険負担)を廃止し、引渡し前の滅失については買主は代金支払を拒絶できます(民法536条1項:履行拒絶権)。さらに、売主に帰責事由がなくても引渡し前の滅失・損傷により契約の目的が達成できない場合は解除(民法542条1項1号:履行不能解除)が可能です。イは「代金支払い拒絶と解除が両方可能」という改正民法の正確な内容で正答。アについて、改正民法では危険負担と解除は別の制度であり、买主は代金支払い拒絶(民法536条)だけでなく解除(民法542条)も可能です。「解除できない」とするアは誤り。ウについて、引渡し完了後は危険が買主に移転します(民法567条1項:「目的物の引渡しがあった時以後はその滅失又は損傷は、買主の負担に帰する」)。引渡し後に買主の故意・過失によらない滅失が生じた場合も買主はリスクを負い、代金支払義務を免れません。ウは誤り。エについて、引渡し前の損傷で追完請求(民法562条)ができるかは、損傷が「契約内容の不適合」に当たるかで決まります。引渡し前の不可抗力による損傷は危険負担問題(民法536条)であり、「常に追完請求できる」とするエは誤り(危険移転前は危険負担の問題として処理)。
改正民法(2020年施行)の危険負担制度変更は宅建試験の最重要改正事項の一つです。旧法(民法534条:債権者主義)は不動産売買において「特定物の滅失リスクは契約成立時に買主に移転する」としていましたが(目的物が特定された時点で危険は買主)、これは買主に酷な結果をもたらすため改正で廃止されました。改正後の危険移転時期は「引渡し時」(民法567条1項)です。引渡し時以後は買主の危険負担となり、引渡し後に生じた損傷・滅失について買主は代金支払義務を免れません(不可抗力であっても)。危険負担(民法536条)の処理方法として、引渡し前の一方当事者の帰責事由なき履行不能(天災等)では①買主は反対給付(代金支払い)を拒絶できる(履行拒絶権:民法536条1項)、②目的達成不可能なら解除(民法542条1項1号)も可能、となりました。なお売主の帰責事由がある場合は履行不能(民法415条・542条)として損害賠償も加えて請求できます。民法567条の危険移転時期「引渡し」については、鍵の引渡し・登記移転後の引渡しではなく実際の建物使用開始の事実が基準となる場合もあります。宅建実務では、決済・引渡しの同日実施(金消契約・代金支払い・引渡し・登記申請を同一日に実施)がリスク管理の観点から標準的です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。